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ギリシャ神話・伝説 怪獣・魔物・妖精

ニュンペー・ニンフ、美しすぎるギリシャ神話の妖精たち 

更新日:

ガストン・ブシエール作

ギリシャ神話の中の妖精は若く美しい成熟した女性。

神々に愛され、時として翻弄され、人間に恋し、惑わせることもある。

万物にやどり、歌い、踊る、妖艶な精霊。

 

ギリシャ神話の妖精ニュンペーとは、男性が望む官能的な女性を形にしたもののように思います。


 

ニュンペー・ニンフ、さまざまな自然に宿る自然神

ニュンペー・ニンフとは

ハンス・ザツカ作 「ニンフと白鳥」

ギリシャ語でニュムペー(Νύμφη)、英語ではニンフ(Nymph)。ギリシア・ローマ神話の妖精たちです。

その名はギリシア語で「花嫁」や「新婦」を意味します。

ニュンペーは女性だけの種族、自然が擬人化された存在です。

山や川、湖などの地形や、花や風、大木など、さまざまな自然に宿る、官能的で美しい乙女として描かれます。

 

性格は奔放、歌や踊りを好み、優美な姿で見るものを魅了します。

神の娘や、下級女神であることも多く、日本でいう「八百万の神々」のような存在

 

ニュンペー・ニンフの役割

ウィリアム・アドルフ・ブーグロー作

ニュンペーは多くの場合、神々に仕え、神々に楽器や歌を披露します。

アルテミスの従者としても知られ、ディオニュソスヘルメスにも支え、神の言葉を人間たちに伝える代弁者の役割を果たしたり、幼い神を育てることもあります。

最高神ゼウスもニュンペーに育てられたひとりです。

神々と結婚、出産もします。

ポセイドンの妻アムピトリーテーは海の妖精

一説にはヘルメスもニュンペーを母親に持つ神として伝えられています。

 

樹木を育て、泉を守り、花々を咲かせ、時として予言や病を治したりなど、人々に恩恵を与えることも多くあります。

けれど同時に、旅人を惑わせたり、正気を失わせたり、さらってしまう、など恐ろしい一面も伝えられています。

 

ニュンペー・ニンフの外見

エドワード・バーン=ジョーンズ作

ニュンペーは年を取ることはありません

皆それぞれに美しく、宿る対象が存在する限り、若い乙女の姿のままで、山々や木々、花々、泉、森や谷間を守ります

 

ニュンペーは外見や特徴にそれぞれに違いがあります。

木の精霊は優れた身体能力で森を駆け、海の精霊は人魚のように下半身は魚、泉の精霊には予知能力があると伝えられています。

 

その美しさゆえ、神々から恋愛感情を寄せられる事も多いけれど、神々に対して恋心を抱く事は少ないよう。

時に人間の男性に恋をし、その物語は数多く神話に残されていますが、そのほとんどが悲恋で終わっています

 

ニュンペー・ニンフの寿命

ロバート・ファウラー作

ニュンペーの中には女神と同一視させるものも多くいますが、女神との決定的な違いがあります。

妖精は不老で、長命ですが、全てのニュンペーが不死ではありません

妖精たちには対になるものがあります

木の妖精には木、森の妖精なら森、谷、泉。これらが枯れたり、無くなってしまうと、妖精たちも共に死んでしまいます

 

ただし、海や水の妖精はそれらが存在する限り、妖精たちも永遠に生き続けることができます。

 

ニュンペー・ニンフの種類

 

ハンス・ザツカ作

ニュンペーは自然が擬人化された存在。

特定の場所や樹木に宿る場合もあり、その種類の具体的な数は定かではありません

 

主なニュンペー・ニンフ

海の妖精ネーレーイス(Nereis)

ガストン・ビュシエール作

ネーレーイスは「海の老人」ネーレウスとティーターンの一族であり海神オーケアノスの娘ドーリスの間に生まれた娘たち。

エーゲ海の海底銀の洞窟で父ネーレウスとともに暮らし、イルカなどの海獣の背に乗って海を移動します。

 

ネーレーイスは妖精の中でも一際美しいことで知られています。

ペルセウスの伝説では、カッシオペイアが自分の娘であるアンドロメダーのほうがネーレーイスよりも美しいと言ったことでネーレーイスを妻に持つポセイドンを怒らせます。

 

そのポセイドンの妻アムピトリーテー英雄アキレウスの母テティス、アイアコスの妻プサマテーがネーレーイスです。

 

水の妖精ナーイアス(Naias)

ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス作

ひとつの泉や湖には少なくともひとりのナーイアスがいます

ナーイアスは主神ゼウスやティーターン族の海神オケアノスの娘であるという説もあります。

ナーイアスがいる川や泉の水は癒しの効果があるとされ、その水を飲むと病気も回復すると伝えられています。

ただし、その水に入ることは冒涜であるとされ、呪われたり気が狂ったりすることもあるので要注意です。

アポロンに恋され、月桂樹になったダフネがナーイアスです。

 

木の妖精ドリュアス( Dryas)

チャールズ・マリオン・ラッセル作

木々に宿るドリュアスたちはその木が枯れてしまうと共に死んでしまいます

そのためギリシャ神話の時代の神々は木を傷つける人間を容赦なく懲らしめます。

ドリュアスたちは人前に姿を現すことはほとんどありません。

けれど、惹かれた異性の前には緑色した髪の美しい女性としての姿を表し、その男性を木の中に誘い込みます

その中で1日を過ごすと時として外界では数十年や数百年経ってしま場合があるようです。

オルペウスの妻エウリュディケーがドリュアスのひとりです。

 

山の妖精オレイアス(Oread)

ウィリアム・アドルフ・ブグロー作、1902年

女神アルテミスの狩猟のお供についているのが山の妖精オレイアスたち。

木霊となったエコーもオレイアスの1柱です。

 

雨の妖精ヒュアデス(Hyades)

ヘラルト・デ・ライレッセ作

ヒュアデスの名前は「雨を降らす女」を意味します。

ティーターン族のアトラスとオーケアニスのプレイオネの間に生まれた5人。

古代ギリシャの神話学者ペレキューデースによるとアムブロシアー、エウドーラー、ペディーレー、コローニス、ポリュクソー、ピュートー、テュオーネー7人姉妹とされています。

幼いディオニュソスを育て、テーバイの王女イーノーのもとに連れて行ったことで知られています。

兄弟であるヒュアースが狩りの最中に亡くなったことを嘆き、自ら命を断ち、ヒアデス星団になっ

古代ギリシャの著作家アポロドーロスはディオニュソスを育てた功績により星に変えられたとしています。

 

また

  • カリュプソ  オーギュギアー島の洞窟に住み、島を訪れたオデュッセウスを愛した奸知に長けた女神
  • ィオーネー、 アトラス ウラノスガイア、オーケアノス、ネーレウスの娘ともされ、一説ではゼウスとの間にアプロディーテーをもうけたとされます。
  • プレイアデス、 アルテミスの侍女であり、ヒュアデスと共に、幼いディオニュソスの乳母兼教師を務めています
  • ヘスペリデス 下記

とは異母姉妹にあたります

 

西の妖精ヘスペリデス(Hesperides)

フレデリック・レイトン作 (1892年頃)『ヘスペリデスの園』

ヘスペリデスは世界の西の果てにある「ヘスペリデスの園」に住むニュンペーたち。

その名も「黄昏の娘たち」を意味します。

ヘーシオドスの『神統記』では夜の女神・ニュクスが1人で生んだ娘たち。一般的にはアトラスと、宵の明星・ヘスペロスとの間に生まれた娘たちとされます。

ヘラの果樹園である「ヘスペリデスの園」で黄金のリンゴを守り、育てていま

 

冥界の妖精ランパス(Lampas)

マクシミリアン・ピルナー作

ランパスは冥界のアケローン川のニュンペー

女神ヘカテーの忠誠な従者です。

ヘカテーとともに冥界を松明で照らす役割を担います。

彼女たちの松明の光輝は人を狂気に陥れる力を持つと伝えられています。

アケローン河神との間にアスカラポスを産んだオルプネーも冥界のニュンペーとされます。

 

 

ニュンペー・ニンフ、現代でもちょっと怖い存在?

そらのおとしもののニンフはイカロス回収の命を受けて地上に派遣された、シナプスから地上に降りた第2のエンジェロイド。

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ファイナルファンタジー9』でのニンフはイーファの樹周辺などで出現し、原石を3つ要求してくる精霊モンスター。ドロップアイテムはエメラルド

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ニュンペー・ニンフ まとめ

エドワード・バーン=ジョーンズ作 『ヘスペリデスの園』

妖精も様々。

ギリシャ神話のニュンペーは官能的な存在。

人間を翻弄させる、神以下、人間以上な存在。

 

まあ、人間にとっては近づくべきでない要注意な存在であることは確かなよう。

 

そう思えば、余計に近づいてみたくなるのですが。。。

 

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