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オデュッセウスの冒険譚、ホメロス「オデュッセイア」の英雄

更新日:

フーベルト・マウラー作

トロイア戦争でのトロイの木馬考案、単眼の巨人・キュクロプス退治、海の怪物・セイレーンに勝利するなど、功績をあげたらキリがないギリシャの英雄・オデュッセウス(オデッセウス)。

そのオデュッセウスの冒険譚をギリシャの吟遊詩人・ホメロスが「オデュッセイア」という叙事詩でひとつにまとています。

今回は、そんなホメロスが語るオデュッセウスの物語「オデュッセイア」をご紹介します。

英雄の10年に渡る冒険とは

 

 

ホメロスが語るオデュッセウス

ジョヴァンニ・ドメニコ・ティエポロ 作

オデュッセウス(Odysseus オデッセウス)はギリシア神話の英雄で、イタケーの王

ホメーロスの叙事詩『オデュッセイア』の主人公

イタケー王ラーエルテース(あるいはシーシュポス)とアンティクレイアの子、妻はイーカリオスと水のニュンペーペリボイアの娘ペーネロペー。

戦略に長けた知将で「策略巧みなオデュッセウス」と称されます。

トロイア戦争ではアカイア勢(ギリシャ軍)に加勢しアキレウスと共に戦います。

アキレウスの死後はその武具を大アイアースと争って勝利木馬の策を立案し、アカイア勢を勝利に導いた人物でもあります。

 

「オデュッセイア」で語られるオデュッセウス

サミュエル・パーマー作「オデュッセウスの船出」

「オデュッセイア」

オデュッセイアは紀元前8世紀後半ごろ、ギリシャの吟遊詩人・ホメロスによって語られた長編叙事詩です。

トロイア戦争をテーマにした「イリアス」の続編であり、オデュッセウスのトロイア戦争後から帰国までの冒険譚と妻との再会を描いています。

 

「ムーサよ、あの男のことを私に語ってください。数多くの苦難を経験した、あの男のことを……」「オデュッセイア」は、このような文章から始まります。

ムーサとは、ギリシャ神話の文芸をつかさどる女神のこと。

この作品は、語り部である吟遊詩人にムーサが宿り、オデュッセウス (あの男) の物語を語る、という形式で進んで行きます

 

あらすじ

見事ギリシャを勝利へと導いたオデュッセウス。終戦後、故郷へ帰ろうとしますが、訪れる島々でさまざまな試練が彼を阻み、なかなか故郷へ帰れません

 

ロトパコス島

快く受け入れられるも、島の人々からもらったロートスの実を食べ、あまりの美味しさに故郷に帰りたくなくなりかけてしまいます

 

単眼の巨人・キュクロプスの島

ヤーコブ・ヨルダーンス 

ポセイドンの息子でキュクロプスであるポリュペーモスに襲われます。彼らはキュクロープスたちによって洞窟に閉じ込められ、部下たちが2人ずつ食べられてゆきます。部下4人が犠牲になるものの、ポリュペーモスの眼をくいで突いて、難を逃れ脱出

けれどこれによって、ポリュペーモスは父ポセイドンに罰を与えるよう祈願し、ポセイドンの妨害によって以降の航海が困難を極めることになります。

 

風神・アイオロスの島

ポセイドンの起こした嵐のため一行はアイオロス島に漂着。アイオロスは彼らを歓迎し、島を出港する際西風ゼピュロスを詰めた安全な航海の加護の袋をもらいます。けれどそれを部下が開けてしまい、再びアイオロスの島に逆戻り

せっかくの贈り物を失ったことで神の怒りを受けた存在としてアイオロスに嫌われます。

 

人食い巨人・ライストリュゴン族の島

アーノルド・ベックリン 作

風の力を失った一行は近くの島に寄港。島は夜が極端に短く、人食い巨人ライストリュゴネスが住んでいました。この巨人は難破した船や寄港した船の船員たちを食べる恐ろしい怪物。

大岩を投げ付けて船を壊し、部下たちを次々と丸呑みにします

この島でオデュッセウス一行数人の部下以外は皆食べられてしまいます

 

魔女・キルケーの島

オデュッセウス一行は次にイタリア西海岸にあるアイアイエー島に寄港します。ここは魔女キルケーの支配する島。一行はキルケーの歓迎を受けますが、妖艶な美女キルケーの美しい声で部下をブタに変えられてしまいます。オデュッセウスは伝令神ヘルメスから魔法を無効化する薬を授かり、その薬の効力で部下の救出に成功

けれど、オデュッセウス自身がキルケーの魅力に惹かれ、1年間キルケーと共に暮らすことになります。

帰還を決めた際、キルケーに「冥界にいるテイレシアスという預言者に会いなさい」という助言と冥界への道のりを伝授されます。

冥府

ヨハン・ハインリヒ・フュースリー 作

冥府ではハーデースの館の前で儀式を行い、預言者テイレシアスを召喚

預言者・テイレシアスから「まだ苦難の連続ではあるけれど必ず故国へ帰れる」ことの予言を受けます。

そして、アキレウスアガメムノンの霊と再会。その後、冥界から現世へと戻り、再びアイアイエー島へと帰還。キルケーはこの後の難所セイレーンやスキュラの海峡についての助言を与え、オデュッセウスはアイアイエー島を出港します。

 

セイレーン・スキュラとの遭遇

ハーバード・ジェイムズ・ドレイパー 作

航海の途中、魅惑の歌声で船乗りを海中に引きずり込み殺害する怪物セイレーンと遭遇。けれど、キルケーの助言のおかげで難を逃れます

その時、セイレーンの歌声を何としても聞きたかったオデュッセウスは、身体を船のマストに縛り付け難を逃れています。

次の難所では渦潮で船を沈没させるカリュブディスの海峡か、6本の首で船員を喰らうスキュラの海峡か、どちらかを選ばねばなりません。

オデュッセウスはスキュラの海峡を航行し、6人の船員を失うことになります。

 

太陽神・ヘリオスの島

次にオデュッセウス一行は、トリナキエ島に寄港。この島は太陽神ヘリオス家畜を飼育しており、テイレシアスから「トリナキエ島には近寄るな。もし島についても、決して太陽神の家畜には手を出すな」と忠告を受けていました。

けれど嵐で足止めされ、食料が尽きてしまいます。部下の一人がヘリオスの家畜に手を出し食べてしまいます。

怒ったヘリオスは、ゼウスに船を難破させるように懇願。ゼウスは嵐を呼びオデュッセウスの船を雷霆によって粉砕

怪物カリュブディスによって船の残骸は船員もろとも丸呑みされ、オデュッセウスはただ一人生き残り、九日間も海を漂流することになります。

 

海の女神・カリプソの島

10日目、オデュッセウスは海の女神カリュプソーの島に漂着。海の女神の寵愛を受け、7年間島に囚われてしまいます。

故郷に帰れないオデュッセウスを哀れに思ったアテナが女神に助言し、オデュッセウスはカリプソの島から無事脱出

 

けれど再度ポセイドンは航海を邪魔し、船を難破させます。この時オデュッセウスは死を覚悟。けれどカドモスとハルモニアーの娘で海の女神レウコテアーが決して溺死しない魔法のスカーフを彼に授け、オデュッセウスはまたも神の助けで難を逃れ、アテーナーが起こす風を受けパイアキア人の国にたどり着きます

 

パイアキアの島

マルク=シャルル=ガブリエル・グレール 作 「オデュッセウスとナウシカ」

パイアキアの島に到着したオデュッセウスは。王女・ナウシカアに出会います

その国では手厚い歓迎を受け、王女に好意を抱かれながらも、故郷にいる家族のために旅立ちます。

 

ちなみに、イアキアの王女・ナウシカアは、ジブリのアニメ映画「風の谷のナウシカ」のヒロイン・ナウシカのモデルになりました。

 

故郷への帰還

トーマス・デジョージ 作

20年かけて、なんとか故郷に帰還できたオデュッセウスですが、彼にまだ安息はありませんでした。

オデュッセウスが死んだと思っている男たちが、妻ペーネロペに求婚しているのです。

アテネの加護を受けているオデュッセウスは、アテネから助言をもらい、乞食に変装します。

その格好で求婚者たちと弓比べをし、見事勝利

正体を明かし、ついにペーネロペと再会無事な帰還を喜びます。


 

オデュッセウス、創作作品では意外とマイナー?

テレビアニメ「コードギアス 反逆のルルーシュR2」では、オデュッセウスの名前を借りた、オデュッセウス・ウ・ブリタニアが登場します。凡庸な第1王子として描かれています。

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ゲーム「ペルソナ2」では、謎の人物・パオフゥのペルソナとして登場。シュノーケルにサングラス、着物と特徴的な見た目をしています。

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オデュッセウス まとめ

ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス 作

トロイア戦争には無理矢理参加させられ、帰還に20年かかったという苦労人オデュッセウス。

彼も大変だったには違いありませんが、20年も夫の帰還を信じて待っていた妻ペーネロペも素晴しいです。

当の夫は、旅の途中で美魔女や女神の愛人になって、子どもまで作ったりしていますが…

 



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