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ギリシャ神話・伝説 神・英雄・怪人

ヘルメス(ヘルメース)、ギリシャ神話の伝令神、実はスゴイ!今時の知恵者

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アンドレア・マンテーニャ作「パルナッソス」

ヘルメスはゼウスの使徒、伝達の神として知られています。

他の神々に比較して少し影が薄い感がありますが、実は情報を操る知恵者。

シーフとしてのステータスもあり、技能や芸術にも長けた、なんか今の時代に似合った新しいタイプのヒーロー、そんな印象を持つ神。

アルゴスという怪物を倒した英雄でもあるヘルメス、再認識する必要アリ、かも、です。

 

 

トリックスターなヘルメスとは

ジュリオ・ボナゾーネ作

ヘルメス(Hermes)ローマ神話ではメルクリウス (Mercurius)、 英語ではマーキュリース (Mercury)。ゼウスと巨人アトラスの娘マイアの間に生まれます。

カードゥーケウス(ケーリュケイオン)という魔法の杖を持ち、冥界・地上・天界を自由に疾走

英雄の魂を冥界に導く魂の導者

オルペウスが妻を冥界から連れ戻すとした際もその手助けをしています。

戦いとは縁のないようなイメージのヘルメスですが、ゼウスの命を受けて百眼の巨人アルゴスを倒しニュンペーのイオを救出。

ゼウスとテューポーンとの戦いでは形勢不利なゼウスの救出に向かい、ゼウスを勝利に導いています。

ギガントマキアではハデスの隠れ兜を被って姿を消し、ギガンテスの一人ヒッポリュトスを倒すという快挙も成す勇者。

 

ヘルメスの起源

ヘルメスは元はアルカディアの先住民族ペラスゴイ人の神であったと考えられています。

薄明(夜明け)の神や風の神、牧畜の神、豊饒神

 

古代ギリシアにはヘルマと呼ばれるヘルメス神の石柱像が建てられていました。

ヘルマは道端や四辻に立てられた街道を示す道しるべの役割を果たします。

そうししたところから、ヘルメスは旅人の庇護者、生者と死者を導き、貿易や交通を司る神としての性格を持つようになったと考えられます。

 

ヘルメスの誕生

ジャン・ジャック・ラグレニー作「マーキュリー、地球上の豊かさの担い手」

ゼウスはオリュンポス神族の伝令となる神を作るため、妻ヘラに気付かれないようにマイアに会いに行き、ヘルメスを成長させることで、泥棒と嘘の才能をヘルメスに培わせたのだと伝えられています。

その甲斐あって(?)ヘルメスはアルカディアのキュレネ山中の岩屋で生れ,その日のうちに早くも揺籠から抜け出し、アポロンから牛を盗むという才能を発揮したとか。

また、ヘルメスはアレスと入れ替わり、義母ヘラの母乳を飲んでいたと言われます。

ヘラはヘルメスと分かった後も情が移り、我が子同然に可愛がったということ。

 

ヘルメスの神格と役割

ヘルメスは神々の伝令使。幸運と富を司る商業の神であり、 旅人の神、 使者の神、そして、 泥棒の守り神、風よりも早く走り情報を司り、その他「学術」・「発明」・「体育」「死者の魂」など多くを司る神。

策士としての才を持ち、雄弁で、竪琴や笛を奏でることを好む音楽の神でもあります。

数字やアルファベット、天文学、度量衡などを発明し、火の起こし方を発見した、感性の鋭い、まさに才長けた、トリックスターな知恵者です。

 

ヘルメスと錬金術

ヘルメスは錬金術では水銀、占星術では水星をいいます。

ヘルメスは12世紀頃から錬金術と結びつけられ、錬金術師の守護者にして「聖なる救済者の化身」とされ、学芸・医学をも司るとされます。

「ヘルメースの術」(hermetic art)は錬金術を意味し、中世ヨーロッパではヘルメース哲学は、錬金術と医学が合わさった形で伝えられてゆきます

 

ヘルメスの風貌

ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロ作

「ペタソス」というつば広の丸い旅行帽を被り、神々の伝令の証である杖「ケーリュケイオン」を手に執り、翼の生えた黄金のサンダル「タラリア」で天空を疾走します。

戦いの際には鎌鍛冶神ヘーパイストスが特殊な金属アダマント鍛造した「ハルペー」を武器とします。

 

ヘルメスの宝具
神々の伝令の証ケーリュケイオン

柄に2匹の蛇が巻きついている杖。眠っている人を目覚めさせ、目覚めている人を眠りにいざなうと伝えられています。

死にゆく人に用いれば穏やかになり、死せる人に用いれば生き返るという魔法の杖。

 

有翼のサンダルタラリア

伝令神ヘルメスを象徴するアイテムのひとつです。

空を飛ぶことができるサンダル。ヘーパイストスによって、不朽の金を用いて作られたとされ、どんな鳥よりも速く飛ぶことができたといいます。

ペルセウスはヘルメスから借りたタラリアを履いてメドゥーサを退治しています。

 

ヘルメスの恋愛と子供達

ボン・ブーローニュ作『アフロディーテとヘルメス』

ヘルメースはアプロディーテーに焦がれますが、相手にされません。

そこでヘルメスはゼウスの鷲を使ってアプロディーテーの黄金のサンダルを盗みだします。ヘルメースはこのサンダルを返すことを条件に関係を迫ったということ。

ちなみに2人の間には両性具有の美少年ヘルマプロディートスと生殖と豊穣を司るプリアーポスが生まれます

その他、ペルセポネーヘカテー、多数のニュムペーたちと関係を持ち、アルゴナウタイのひとりアイタリデース、トロイア戦争でアキレウスに従ったエウドーロス、オデッセウスの祖父アウトリュコスなどの父になっています。

ちなみに、子孫にはアルゴナウタイに参加した大盗賊アウトリュコスやオデュッセウスなどが生まれています。

 

ヘルメスのエピソード

アポロンとヘルメス

ノエル・コイペル作 『 アポロンとヘルメス』

 

ヘルメスはその日の朝に生まれ、昼には、犯人の証拠になる品や足跡などを消して、アポロンの飼っている雄牛50頭を盗みます。

盗まれたことに気付いたアポロンは激怒し、それでも占いで犯人を突き止めヘルメスに詰め寄ります。

ヘルメスは「自分ではない」とうそぶきますがゼウスの審議を仰ぐこととなり、ゼウスはヘルメスの嘘を見抜き、牛を返すように命じます。

けれどただ返されるだけでは納得のいかないポロンはヘルメスが作った竪琴を牛と交換することでヘルメスを許します。

そしてヘルメスは葦笛を作りアポロンに贈り、そのお返しとしてポロンはケーリュケイオンの杖をヘルメスに贈り友好の証としました。

 

アルゴス退治の英雄ヘルメス

作者不詳「マーキュリーとアルゴス

ある時ゼウスは河の神イーナコスの娘とも伝えられるイオという美女を愛しました。

それに気付いたヘラはゼウスを責め、ゼウスはイオを美しい雌牛に変えてごまかそうとします。

ヘラはイオを捉え、百眼の巨人アルゴスを見張りにつけます。アルゴスは眠る時も半分の50の眼は開いたままの巨人、見張り役には最強。

そこでゼウスはイオ救出をヘルメスに命じます。

ヘルメスは葦笛でアルゴスの全ての眼を眠らせて殺害、イオの救出の任を果たします。

この時からヘルメスは「アルゲイポンテース」(アルゴス殺し)と呼ばれるようになります。



 

戦闘能力が増してる?、今時のヘルメス

ペルソナシリーズのヘルメスは『ペルソナ2』では黒須淳の初期ペルソナ、『ペルソナ3』では主人公のクラスメイト伊織順平のペルソナ。魔術師のアルカナを持ち、火炎のアギ系や物理攻撃が得意

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『ゴッドオブウォー』シリーズでのヘルメス羽根の付いた頭飾りとブーツを持ち、俊足を誇る神々の伝令k神。旅人・商業・泥棒の守護神でゼウスの子。息子をクレイトスに殺害され恨んでいます。

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ヘルメス まとめ

イーヴリン・ド・モーガン 作

知恵があって、小回りが効いて、日本でいうなら忍者。しかも博学で富や幸運も運んでくる、まさに最強、もう絶対、戦力として欲しい存在ですよね。

力や戦闘力といった派手さはないけれど、今の時代でも時代を先駆する天才っていえる神。

マクガイバーやスティーブ・ジョブズも負ける凄みがあります。

 

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