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お盆とは。お盆の由来や行事、お供え、正しいお盆の過ごし方、あれこれ

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日本人にとっては正月と並ぶ大イベントである『盆』。今回はお盆について改めて考えます。

ご先祖様の里帰り、お盆行事の由来や、バチの当たらない正しいお盆の過ごし方。そもそもお盆ていつからいつまでをいうのか。茄子や胡瓜を動物に見立てるのはなぜ?

意外と知らならかったことも色々とありそう。

お盆、あれこれ、再考です。

お盆

お盆の由来

お盆は正式には「盂蘭盆会(うらぼんえ)」といいます。これはインドサンスクリット語のウラバンナ(逆さ吊り)を漢字で音写したもの、ペルシャ語の「ウラヴァン」(霊魂)からきた言葉であるともいわれる夏の御霊祭です。

お盆の最初の日は先祖の霊をお迎えする盆入り、期間中はご先祖様と共に過ごし、最後の日の盆明けでご先祖の霊をお送りします。

出典:ウィキペディア

日本のお盆は、仏教の盂蘭盆会に神道の祖先崇拝や農耕儀礼など、古来の様々な風習が合わさって現代に至ったと考えられています。

現在と同じように祖先供養のお盆として催されたのは、推古天皇(606年)の時代に斎会を設けたのが最初、斎明天皇(657年)の時代には飛鳥寺で盂蘭盆会が催されたとあります。
その後、宮廷・武家・貴族・僧侶の催事となり、一般庶民に広まったのは江戸時代のことになります。

 

ちなみに「お盆休み」という慣習は、奉公人が主人から休暇をもらって里帰りする「藪入り」が起源であるという説や、仏教での地獄の看守も休みを取る「閻魔の賽日(えんまのさいじつ)」が由来しているという説があります。

盂蘭盆会

「盂蘭盆会」はお盆の正式名。「魂祭り」「お精霊祭り」とも言い、毎年新盆(7月13日〜15日)あるいは旧盆(8月13日〜15日)の3日間、祖先の 御霊 (みたま) をまつり、その冥福を祈る行事

梵語 (ぼんご)インドサンスクリット語、ウランバナの音訳「逆さまに吊されるような苦しみ」を除くという意味の行事です。

仏教の開祖であるお釈迦様の弟子目連尊者(もくれんそんじゃ)が地獄に落ちた母親を救うため、7月15日に霊を供養した、というのが起源とされています。

目連尊者(もくれんそんじゃ)は神通力によって、亡き母が地獄に落ち逆さ吊りにされて苦しんでいると知りました。お釈迦様の「夏の修行が終わった7月15日に僧侶を招き、供物をささげて供養するよう」とのお告げによって母親は救われます。以降、精霊を供養する盂蘭盆会の行事が生まれたといわれています。

**2023年のお盆**

新盆 7月13日(木)(盆入り)― 14日(金)(中日) ―  16日(日)(盆明け)

旧盆 8月13日(日)(盆入り)― 14日(月)(中日) ―  16日(水)(盆明け)

**新盆(しんぼん、にいぼん、あらぼん)とは**

新盆とは初盆ともいい、49日を過ぎて初めて迎えるお盆、故人の霊が初めて家に戻ってくる期間をいいます。

**お盆のスケジュール**

  • 7日: 7日盆 お墓の掃除
  • 13日:迎え盆、(お盆の入り) 盆棚をしつらえ、墓参り。盆提灯に火を灯し、玄関で「迎え火」を焚いて祖先の霊を迎えます。
  • 15日:藪入り 家族の帰省。ご先祖様と家族で御膳を共にし、過ごします。
  • 16日:精霊送り(送り盆、お盆の明け)

送り火を焚き、霊を送り、ちょうちんや盆棚を片づけます。


お盆の準備

お盆に入る前にはお墓の掃除をし、先祖の霊を気持ちよくお迎えしたいものです。あまり早すぎない一週間前頃に掃除をしておくのが良いでしょう。

一般のお盆では毎年使う「盆提灯」を、新盆では白紋天といわれる「新盆提灯」を用意し、精霊を迎える祭壇となる「盆棚」を準備します。

**盆棚(精霊棚)**

盆棚は精霊棚(しょうりょうだな)ともいう、ご先祖様の精霊を迎えるために位牌を安置しお供えをする棚。8月12日の夕刻または13日の朝に作ります。

**盆花**

桔梗(キキョウ)、萩(ミソハギ)、ほおずき、菊、ユリ、リンドウなどが献花に適している花。

逆にトゲのあるバラ、毒のある彼岸花、トゲのあるアザミ、花が落ちる椿などは適さない花

**お供え物**

お盆のお供え物は霊棚又は盆棚とも言われる棚に、位牌を安置し、先祖の霊が行き来するためのナスの牛とキュウリの馬、迎え団子や送り団子などのお供えをします。

ナスの牛やキュウリの馬は、ご先祖様の霊が牛に荷を引かせ、馬に乗って行き来するという言い伝えによるもので「精霊馬(しょうりょううま)」と言われます。

お供えはお盆の期間中飾ります。お盆が終わった後、ナスとキュウリは川や海に流すか土に埋めるようにします。ゴミとして出す際は、塩で清めて白紙に包んでから出しましょう。

お盆の過ごし方

**迎え火**

迎え日である13日の午前中までに盆棚とお供え物を用意し、日中はお墓参り。

お寺で迎え火の火種をいただき、提灯に火を灯します。家の門口や玄関に焙烙(ほうろく)の器を置き、オガラと呼ばれる麻の茎を折り積み重ねて燃やし、合掌。これを「迎え火」といいます。

オガラを燃やした煙に乗って、ご先祖様の霊が家に帰ってくるといわれています。

ちなみにオガラの灰をタンスに入れておくと、着るものに困らないという言い伝えがあります。オガラは花屋やスーパーなどで手に入ります。

**送り火**

送り日である16日には、迎え火と同じようにオガラを燃やし合掌、ご先祖様を送り出します。

お盆のお膳メニュー

お盆期間は、先祖の霊に供える「霊供膳」を用意します。

献立は、基本的に精進料理です。ご飯、汁もの、お漬物、煮物、壺ものの5点をそれぞれお椀に盛りつけて捧げます。肉や魚、たまごなど、殺生につながるものはなるべく使用しないようにします。

**精進料理**

精進(しょうじん)とは、「仏の教えに従って、修行に努める」こと

「殺生をせずに、心身を清める」、野菜・山菜・穀類などのみの粗食も修行の一つと考えられています。精進料理は二汁五菜が基本です。

全国のお盆行事

お盆の風習は地域によって特徴がありますが、全国に日本を代表する様々な行事が催されます。盆踊りも、お盆に踊って念仏を唱えた仏教の行事が由来だといわれています。

 

奈良県「大文字送り火」8月15日

出典:じゃらん

高円山の「大文字」、日本最大級の大きさの送り火は奈良市の各所から見ることができます。

 

京都府「五山送り火」8月16日

京都を囲む五山に「大文字」「舟形」「妙法」「左大文字」「鳥居形」の火文字が浮き上がり、ご先祖様をお送りします。

京都府「嵐山灯篭流し」8月16日

出典:じゃらん

送り火を眺めつつ、桂川に精霊をのせた灯篭を流します。

 

大阪府四天王寺盂蘭盆会「万灯供養」8月9日~16日

約1万本のご先祖の霊名が記されたローソクに火が灯され、般若心経にあわせ、僧侶が伽藍内を練り歩きます

 

徳島県阿波踊り8月12日〜15日

出典:pinterest

四国三大祭の1つに数えられる盛大なお盆行事です。

 

福井県「敦賀とうろう流しと大花火大会」8月16日

出典:じゃらん

気比の松原に打ち上げられる盛大な花火とともに灯篭を海に流します

 

長崎県「精霊流し」8月15日

爆竹と鐘の音が響く中、初盆の霊をのせた精霊船を極楽浄土へ送り出します。

お盆 まとめ

当たり前のことなのかもしれませんが、こうして改めてお盆について考えてみると、日本人は(日本人に限りませんが)いかにご先祖様と親密に共存しているのかがよくわかります。

お盆はただ夏の大型連休というだけのものではなく、日本の国(政府)が認めた「霊とのコンタクト」なのだと考えれば、何か全く違った視点からお盆が見えてくるような気がするのです、が。。



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