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ヘカトンケイル、ガイアが生んだ50頭100腕の醜い怪物。その意外な素顔

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出典:deviantart

ヘカトンケイルはガイアが生んだ原初の怪物。

醜いがため父ウラノスに疎まれ、タルタロスに堕とされた50の頭100の腕を持つギュゲス・コットス・アイガイオンの三柱の兄弟たちです。

その素顔を探ります。

アップルシードではサイボーグになったプリアレオス・ヘカトンケイルの活躍が印象的。

意外な側面が見えてくるかもしれません。

 

 

ヘカトンケイル、ウラノスに疎まれた醜い巨人

出典:deviantart

ヘカトンケイルHecatoncheir、複数形はヘカトンケイレス(Hekatonkheires)、ギリシア神話に登場する3柱の兄弟の怪物です

その名は「100の手」を意味する50頭100腕の巨人。百腕巨人とも呼ばれます

原初の神、地母神ガイアと天空神ウラノスとの間に生まれました。

ガイアは自らで生んだウラノスと交わり、数多くの巨人たちを生んでいます。

クロノスティターン十二神。次にサイクロプス、そしてヘカトンケイル、ギュゲス・コットス・アイガイオン(ブリアレオス)の3兄弟。

ちなみに、この兄弟の順位については定かではありません

多くの場合コットスが長男でブリアレオス・ギュゲスの順で記されますが、多くのエピソードを残すブリアレオスが長兄とされることもあります。

 

ヘカトンケイルの醜さを疎ましく思った父ウラノスは彼らをタルタロスに幽閉

(けれど古代ギリシアの叙事詩人ヘシオドスの叙事詩神統記では、ウラノスがヘカトンケイルらの精神と外見に嫉妬したための所業であると記されています)

ティーターノマキアーの際、ガイアの助言でゼウスは巨人たちを解放し戦力とします。

ヘカトンケイルの戦いは素晴らしく、ゼウス側の勝利の一因となります。

勝利後はタルタロスに幽閉されたティーターンの監視に就くことになります。

 

ガイアに救われた巨人たち

ヘカトンケイルはその異様な巨体から父ウラノスから疎まれ、後に生まれたキュクロプスと共に母ガイアの胎内に戻されてしまいます。

それを悲しんだイアは最初に産んだクロノスとの子ティーターン族のクロノスにウラノスを倒し彼らを開放するようにと頼みます。

けれどウラノスを倒し主審に就いたクロノスもまた彼ら異形の者たちを嫌い、タルタロスへ幽閉してしまいます。

ガイアは兄弟を飲み込まれたクロノスの子ゼウスにその開放を求めます。

ゼウスによってタルタロスから開放された巨人たちはクロノスとの戦いで、ヘカトンケイルは戦闘能力で、キュクロプスは神々に優れた武器を製作することでゼウス側を勝利を導きます。

 

その後ヘカトンケイルたちはタルタロスに封じられたティターン神達を監視する役目をゼウスから与えられ、ルタロスの青銅の門の門番としてその役割を果たしています。

 

ヘカトンケイル3兄弟とは

ジョン・フラックスマン作

ブリアレオス

その名の意味は強く大きな者」「力あふれる者

三兄弟のなかでもひときわ豪胆な神であったと思われ、ヘカトンケイルの長兄、あるいは次兄とも言われる巨人。

また一説ではのみが、原初の海の女神タラッサの子とされています。

 

別名はアイガイオーン。エーゲ海を意味します。

エーゲ海の嵐の神でもあり海神ポセイドンの娘で大波の女神キュモポレイアを娶ります。

キュモポレイアとの間には波の妖精オイオリカをもうけています。

また、一説にはエトナ山の女神アイトナもブリアレオスの娘とされています。

 

ホメーロスの叙事詩『イーリアス』では、ヘラ、ポセイドン、アテナオリュムポスでゼウスを拘束したとき、ブリアレオスと海の女神でアキレウスの母テティスがゼウスの窮地を救っています

 

また、ポセイドンと太陽神ヘリオスが古代ローマの主要都市コリントスの領地をめぐって争ったときにも、ブリアレオースはコリントス地峡をポセイドーン、アクロコリントスをヘリオスのものとす仲裁役を務めています

 

その他、帝政ローマ時代の詩人オウィディウスは『祭暦』の中で、ティータノマキアの大戦においてブリアレオスはゼウスと敵対したとする神話を伝えています。

ゼウスに敗れたクロノスは、まだ運命は我々を見放していないとティーターンに告げまず。

なぜなら、ガイアから生まれた半牛半蛇の怪物オピオタウロスの臓物を捧げた者は不死の神々を倒すことができ、この怪物は運命の女神モイライに命じられた地下の大河の女神ステュクスが守っているというもの。

そこでブリアレオースその怪物を屠殺し、臓物を捧げようとしますが、ゼウスの遣わした鳶がそれを持ち去りその企ては達成されず、クロノスの敗戦が決まってしまいます

 

コットス

その名は一撃・突撃」、あるいは「恨む者」「怒る者」を意味する、一般的には長兄とされ、高い志と雄弁さを持つ神であると評されます。

ティータノマキアに大戦の際、ゼウスがヘカトンケイルらタルタロスに幽閉されている巨人たちの戦力が必要であることを神々に説いた際には、コットスはそれに応えて神々の戦意を高めています

こうして彼らはティーターン族と戦いに加わり勝利に貢献。

終戦後にはタルタロスで敗れたティーターン族の見張りを務めることになります。

そしてコットスとギューゲースはオケアノスに館をを持ち、移り住んだとされれています。

 

ギュゲス

名は曲がりくねった者」「大地」「多くの手足を持つ者」を意味する三兄弟の末弟

勇猛な性格であったと思われます。

終戦後には兄たちと共にタルタロスでティーターン族の監視を務め、コットスと共にオーケアノスに館を建て、移り住んだと思われます。

 

ヘカトンケイルの容貌・能力

出典:deviantart

ヘカトンケイルらは醜悪で知能は低く性格は野卑で凶暴とイメージされます。

けれど、兄弟ともに勇猛果敢で豪胆な性格と評されており、神や人に襲いかかったという神話は残されていません

 

外見上の特徴としては
  • 山ほどもある巨体
  • 無数の手と頭を持つ
  • 山を根こそぎ引き抜いて投げてしまえるほど怪力がある。

無数の腕で1度に大量の大岩を敵に投げ付けるその剛腕の前にはティターンの巨人族でさえ太刀打ちできない

その大岩の着弾の衝撃で大地が揺れ動くほどであったと伝えられています

 

性格については

思慮深さと雄弁さを兼ね備える怪物

特にブリアレオスは神々の争いに仲裁を果たすほど。

その采配力は神々さえ受け入れさせるほどのものであったと伝えられています

また、タルタロスの牢番を務める能力から、百眼巨人アルゴスと同じ眠らないという能力もあったとも思われます。

 

 

ヘカトンケイル、現在も悪にも善にもなる戦士

SF漫画[アップルシード」では主人公デュナン・ナッツのバディ「ブリアレオス・ヘカトンケイレス」として登場。高機能情報処理システム「ヘカトンケイル」を搭載した戦闘サイボーグ

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ファイナルファンタジー」シリーズではⅢで初登場、13では巨大なモンスターとして登場しています

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「仮面ライダーウィザード」のヘカトンケイルは目に映るもの全てを破壊し尽くす、6本の腕を持つ巨大なファントム

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ヘカトンケイル まとめ

出典:deviantart

恥ずかしながらアップルシードのブリアレオスがヘカトンケイルなのだと初めて知りました。

個人的には大好きなキャラ。ディナン・ナッツを支える健気さが好きです。

神話の中のヘカトンケイルも性格はこんなだったのかも。

なら外見に関係なく惚れちゃう奥様の気持ちも理解できます。

 

 

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