エーコーやカリストのようにニュンペーはただ神々に弄ばれるか弱いだけの存在という訳ではありません。ちゃんと正妻の座におさまった勝ち組もいるのです。
今回はそんなポセイドンの妻アムピトリーテーとアキレウスの母テティスのご紹介です。
近寄りがたいイカツイポセイドンも女神の前では一所懸命な男性であった、女性にとってはちょっと小気味好いお話です。
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海の妖精ネーレーイス
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ネーレーイスは海に棲む女神やニュンペーたちの総称。海神ネーレウスと、外洋の海流を神格化した海神オーケアノスの娘、女神ドーリスの間に生まれた子供達。総数50人とも100人いるともいわれています。
様々なニュンペーたちの中でも一際美しいと評判です。
アムピトリーテー
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アムピトリーテーは青黒い瞳のとても美しい海の女神。同じネーレーイスの娘たちとともに、海洋を操る力を持ち、大津波や嵐を起こすことも、荒れ狂う風を鎮めることできました。
また、海の巨大な怪魚や海獣を飼っていたことでも知られています。
アムピトリーテーは姉妹たちとともに小島で踊っているときにポセイドンによってさらわれてしまいます。けれど、アムピトリーテーは粗野なポセイドンを嫌って海の西端にいるプロメテウスの兄アトラス(またはオケアノス)のもとに逃げ、彼女の姉妹たちによって匿われていました。
そこでポセイドンはイルカにアムピトリーテーを探させることにします。そのうちの一匹が見事アムピトリテを見つけ出し、ポセイドンと会うように彼女を説得しました。
ポセイドンはアムピトリーテーと結婚し、この功績によってイルカは天に登ってイルカ座となりました。
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ポセイドンとアムピトリテのあいだには、海神トリトン、太陽神ヘリオスの妻ロデー、ベンテシキューメーが産まれています。
この結婚により、本来は大地の神であったポセイドンは海洋を支配するようになったと伝えられています
テティス
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アキレウスの母テティスもネーレーイスのひとりです。
慈悲深い女性であることで知られ、醜いという理由で生まれてまもなくヘラから海に捨てられたヘーパイストスを育てたのもテティスでした。
美しいテティスにポセイドンもゼウスも結婚を望みます。けれど「テティスが生む子供は父親を超える」という予言を受け、ゼウスもポセイドンも父親になることを断念。
そして、テティスには人間のプティーアの王ペーレウスに嫁ぐよう画策します。
婚礼には争いの神エリスを除く全ての神々が参列しました。けれどだだひとり招かれなかったエリスは怒り、宴席に「最も美しい女神にあたえる」として黄金の林檎を投げ入れます。これが女神ヘーラー、アテーナー、アプロディーテーの争いの元となり、トロイア戦争にまで発展してしまいます。
結婚後テティスはアキレウスを出産。アキレウスの死の予言を受けて、不死の身体にするために冥界に流れる川ステュクス川にアキレスを浸したり、女装させ、戦いから遠ざけようとさせますが、結局予言の通りトロイア戦争で名誉の戦死。英雄としてその名は長く語り継がれることになります。
なぜか戦士として活躍する現代のネーレーイス
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ソーシャルゲーム『デスティニーチャイルド』でのテティスは★5のチャイルド。「魔鏡の欠片」を集めるとゲットできるレアアイテム ただし期間限定!!
美少女カードバトルRPG『幻獣姫』ではレアアイテム「清純」タイプアムピトリーテーとして登場。「姫調教」「姫昇天」「服従」といったシステムで育成・進化させていきます
アムピトリーテーとテティス まとめ
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勝ち組といえどやはり自分の人生を自分で決められないのがネーレーイスに与えられた定めのように思います。
女神でも妖精でも力には屈しなければならない、今も神話の世界でも変わらない現実ってあるんですね。