小村大雲作
アメノウズメ( 天宇受売命 ・ 天鈿女命 )とはアマテラス(天照大神)が天岩戸に閉じこもってしまった際に踊りを披露してアマテラスの興味をひいた日本最古の踊り子。
その官能的な踊りが注目を集める、現代でも魅惑的な女性として知られています。
『みちひらきの神』サルタヒコ(猿田彦大神)の妻、おかめ(お多福)のモデルともなった女神様です
目次
アメノウズメ(天鈿女命・天宇受賣命)サルタヒコの妻になった踊り子
梶田 半古作
アメノウズメとは
アメノウズメ、「あめのうずめのみこと」は『古事記』では天宇受売命、『日本書紀』では天鈿女命と記されています。
『岩戸隠れ』では、裸体を晒し、ユニークな踊りで窮地を救った日本最古の踊り子。
天孫降臨の際には五伴緒の一柱としてニニギノミコト(瓊瓊杵尊))に同行。
サルタヒコ(猿田彦大神)の妻となり、名を猿女君(さるめのきみ)と改め、お多福のモデルともなった女神様。
「鎮魂の神」「芸能の祖神」として今も広く信仰を集めています。
『古語拾遺』(こごしゅうい)(官人・斎部広成編纂、平安時代の神道資料)には、宮中で行われていた鎮魂の儀式『鎮魂』(たましづめ)はアメノウズメに由来すると記されています。
『岩戸隠れ』のアメノウズメ
三代歌川豊国作「岩戸神楽ノ起顕」
高天原を訪れたスサノオは、田畑の溝を埋めて壊したり、御殿に糞を撒き散らしたりの乱暴を働き、それを怒ったアマテラスはついに天岩戸に引き篭ってしまいます。
そのために高天原・葦原中国が闇に包まれ、さまざまな禍(まがい)も生まれます。
そこで思金神(おもひかね)の案でアメノウズメが天岩戸の前で踊ることになります。
「槽伏(うけふ)せて踏み轟こし、神懸かりして胸乳かきいで裳緒(もひも)を陰(ほと=女陰)に押し垂れき。」
出典:wikipedia
桶を伏せて踏み鳴らし、神憑りし、胸や陰部を晒して踊ります。
それを見た八百万の神々は高天原が鳴り轟くほどに一斉に笑い出します。
これを聞いたアマテラスは「自分が岩戸に篭って世界は闇になっているのに、なぜ、皆楽しそうに舞い笑っているのか」と怪しんで、天岩戸の扉を少し開け、外の様子を伺います。
アメノウズメが「貴方様より貴い神が表れたので、喜んでいるのです」と答えます。
天児屋命(あめのこやねのみこと)と布刀玉命(ふとだまのみこと)がアマテラスに鏡を差し出し、アマテラスがその正体を見るために岩戸をさらに開ける瞬間、隠れていた二柱がアマテラスの手を取って岩戸の外へ連れ出します。
『天孫降臨』のアメノウズメ
葛飾北斎作
アマテラスは孫のニニギ(瓊瓊杵尊)に豊葦原瑞穂の国を治めるよう神勅を与えます。
ニニギ(瓊瓊杵尊)はアマテラスの命を受け、葦原中国に降臨(天孫降臨)。
この時アメノウズメは天児屋命(あめのこやね)、布刀玉命(ふとだま)、玉祖命(たまのおや)、伊斯許理度売命(いしこりどめ)と共に五伴緒の一柱としてニニギに随伴して天降りしています。
そして高天原から葦原中国までを照らす(一説では)後に夫となる、異様な風体のサルタヒコと出会います。
アメノウズメは高木神(たかみむすびのかみ)から名を問うよう仰せつかり、この時も、裸体を晒し、サルタヒコにむかっていったと記されています。
「その胸乳をあらわにかきいでて、裳帯(もひも)を臍(ほそ=ヘソ)の下におしたれて、あざわらひて向きて立つ。」
「猿女君」とアメノウズメ
内海輝邦(内海広精)作
猿女君(さるめのきみ)は、アメノウズメを始祖とする、巫女にして神楽職を司り朝廷の祭祀に携わったとされる一族。
「戯(さ)る女」の意味であると考えられています。
アメノウズメはサルタヒコと婚姻を結ぶことでこの名になったと伝えられています
おかめ、お多福になったアメノウズメ
北斎漫画
『おかめ』は丸顔、鼻が低く丸い、頬が丸く張り出した女性の仮面。
お亀、お多福、文楽ではお福、狂言では乙御前(おとごぜ)・乙(おと)と呼ばれます。
これらは宮中の神祇官として神楽を行った女官、『猿女君』の始祖アメノウズメを起源としています。
ちなみに「おかめ」「お多福」「乙御前」ともに見た目通りの醜女。
起源となったアメノウズメが美形であったかの記述については定かではありません。
アメノウズメの御神徳
日本最古の芸能のアメノウズメ神(天宇受売命 天鈿女命)は「鎮魂の神」「芸能の祖神」として
・あらゆる芸道の向上
・縁結び
・夫婦円満
の守護神として信仰されています。
アメノウズメ、露出があってもなくても「妖艶な踊り子(?)
「女神転生」のアメノウズメは癒し系、身軽、道祖女神という特徴を持つ、芸能の神というイメージの女神様。
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『戦国パズル』でのアメノウズメはうさぎの耳を持つ、妖艶(?)可愛い系ギャル(?)。進化すると『神懸かり・天宇受賣命』、『芸能の女神・天宇受賣命』になり、露出度も上がってゆきます。
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アメノウズメ まとめ
椿大神社 由緒
猿田彦大神(さるたひこ)と天鈿女命(あめのうずめ)が夫婦であったとすれば、お多福と天狗も夫婦の仲ということになるのでしょうか。
ちなみにおかめの相方「ひょっとこ」とは夫婦の関係ではないようなので、重婚にはなっていないようですが。。。
けれど、猿田彦大神との出会いの場で、名を聞くためになんで裸体を晒してむかってゆく必要があるのかが疑問。
余談ですが、今ならもしそんな異性に近づいてこられたら、たとえ美形でも逃げますよね(^_^;)💦