エルフ、美しく、聡明で、気高い、人間以上な存在の妖精。エルフのイメージです。
けれど、実はドワーフも元はエルフなんです。
そんな北欧神話の妖精エルフに注目です。神話や伝説、ファンタジーの世界にも数多く存在する妖精エルフ。
今まで知らなかったエルフの意外な一面に出会えるかも。
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エルフ、妖精、あるいは神? 起源は北欧神話
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キリスト教以前の時代から伝承される「北欧神話」、この中に「妖精エルフ」が登場します。
エルフもケルト地方のフェアリーと同様に、北欧の妖精の総称。
広義では北欧地方の人ならざる存在、ドワーフ、トムテ、トロールなどもエルフに含まれる存在です。
エルフは自然をつかさどる「小さな神」。
「目に見えない小人」あるいは「背に翼がある女性」であったり その存在は地域によって容姿も性格も様々。日本でいう「八百万の神」のような存在です。
エルフの起源、神話の中のエルフ
北欧神話は、元はキリスト教の布教以前のノース人の信仰にもとづく神話。
エルフの名は古代ノルウェー語の「妖精」を意味するアールヴ(alfr)から来ているとされます。
** 明るい(光の)エルフと暗い(闇の)エルフ **
北欧神話の中で、エルフは明るいエルフ(あるいは光のエルフ)『リョース・アールヴァー/ライト・エルフ』と、暗いエルフ(あるいは闇のエルフ)『デック・アールヴァー/ダーク・エルフ』が存在しています。
アイスランドの詩人スノッリ・ストゥルルソンは『エッダ』の中で、エルフは[光のエルフ:リョースアールヴ]、ドワーフは[闇のエルフ:デックアールヴもしくはスヴァルトアールヴ]と記しています。
◾️ 明るいエルフ(光の)(リョース・アールヴァー/ライト・エルフ)
明るいエルフ(リョース・アールヴ)は神に近い存在であり、色白で美しく、善良で高尚、人間に対しては友好的で、繊細な存在です。
光に包まれ、「アルヴヘイム、エルフェイム」と呼ばれる妖精界に住まいます。
男女が存在し、人間ほどの大きさで美しい金髪、空を飛び、別名「白妖精」呼ばれます。
明るいエルフ(リョース・アールヴ)の中には人間の導き手となる 守護聖人のような存在の者もおり、彼らは「ノルニル」と呼ばれ、 神に属する者と考えられました。
時に人間と結婚し、子供(ハーフエルフ)を宿します。また優れた人間の男性は死後 明るいエルフ(リョース・アールヴ)になるという言い伝えも残されています。
◾️ 暗いエルフ(闇の)(デック・アールヴァー/ダーク・エルフ)
暗いエルフ(デックアールヴ)(ドワーフ)は醜く性格は邪悪。巨人ユミルの死体からウジ虫として生まれました。
けれど、神々から知性を与えられ、暗い(闇の)エルフ、ドワーフとなります。
「暗いエルフ」は岩や丘の中に住む小さい生き物。明るいエルフ「白妖精」に対して黒いエルフ「黒妖精」と呼ばれることもあります。
冶金術にすぐれ、魔力や霊力のある武器を作る鍛治職として匠の技術を発揮します。
背が低く、手が長いのに対して足が短く、直立すると手が地面につくという外見。
人間にいたずらをする機会を伺う邪悪な存在と信じられています。
エルフの生態
出典:Wikipedia
かつては、霧深い朝か夜の草原で、エルフたちが踊るのを見ることができた、あるいは、エルフが踊っている姿は人間には見えないが、エルフリングに入った人間には妖精の姿が見えるようになるといわれています。
彼らが踊ったあとにはälvdanser(エルフの踊り)またはälvringar(エルフの輪)と呼ばれる円状の輪ができ、この輪の中で小便をすると性病になってしまいます。
ただし、エルフの舞を見た人間は時間を忘れ、ほんの短い間のつもりが、現実で多くの歳月が過ぎて、時間を失ってしまった事に気付くことになります。
エルフが長命であるという説については、エルフの寿命はおよそ600歳〜1000歳。
容姿の特徴としては、頭髪以外に目立った体毛は少なく、尖った耳は「エルフ耳」「長耳」と呼ばれます。
性格はプライドが高く、他の種族との交流は比較的苦手。頑固で保守的な性格とされます。
** エルフのいたずら **
エルフは「イタズラ者」としても有名です。
今もエルフ「elf」という言葉には「いたずらっ子」という意味が含まれています。
エルフは時に得意の弓でエルフ・ショット「elf shot」あるいはフェアリー・ストローク「fairy stroke」エルフ・ダート「elf dart」という見えない矢を射かけます。この矢に当たるとしびれたり、突然命を失うこともあります。
エルフ・ダンス「elf dance」、踊るエルフを見た者は目が見えなくなったり、奇病に襲われたりするので、絶対にエルフが集まる場所に近寄ってはならないと伝えられています。
かつて、解明されなかった病気の原因を「妖精のイタズラ」として解したのだと推測されます。
国々に伝わるエルフの伝承

リチャード・ドイル 作
妖精に様々な種類が存在するように、エルフも、国々よってさまざまに語り継がれています
現代のエルフは容姿も美しく、不老、優れた能力を有しますが、19世紀頃までは老人の姿のものや、醜悪な姿のエルフも存在していました。
エルフの中には人間そっくりの姿をした者もいます。
そのため人間を見分ける方法については、昔から「エルフは身体のどこかに人間ではない部分を持っている」と伝えられていました。
北欧のエルフは、灰色の服に白いヴェール、人間の男性を誘惑する、長い牛の尻尾がはえた美しい乙女。王のもとで国をつくり、暮らしています。
デンマーク、ノルウェー、スウェーデンを含むスカンジナビア半島のエルフは「ハルダーフォルク(隠れた人)」とも呼ばれ、人間そっくりの容姿。ただし、牛の尻尾を持っています。
- スウェーデンのエルフ
男性がalv、女性がälva。「エルフヴォル」、「森の人々」、「森の乙女」などと呼ばれ、主に金髪で白い装いの美しい少女、長命で森の中にエルフ王と住む者、あるいは丘や石の塚に好んで住まいます。
彼らはしばしば病気を起こす精霊となり、älvablåst(エルフのひと吹き)と呼ばれるひりひりする吹き出物を起こさせます。
- ノルウェーのエルフ
ノルウェーではalv、民間伝承ではフルドフォルク(huldrefolk)やヴェッテル(vetter)とも呼ばれます。 大地に住む、エルフというよりはドワーフに近い存在。
- デンマークのエルフ
デンマークではelver、パンや小麦粉など人間の食べ物を盗むことがあります。「エレン」「エルレの人々」と呼ばれるニワトコの木の精のエルフは森に住む妖精。出合った人間には悪意を向けるので要注意です。
男女とも美しい容姿ですが、背中が木の洞のような空洞になっています。
◾️アイスランドのエルフ
「スパエー・ワイフ」と呼ばれ、人間に親切なこともありますが、 敵対する人間に恐ろしい復習をするので要注意です。人間に似た外見で、素朴で穏やかな性格。 岩や丘に住まい、人間と結婚して子どもをもうけることもあります。
人間の赤ちゃんや、牛、牛乳、パンなどを盗み、若い男性を誘惑して長い間虜にしてしまうこともあるそうです。
ちなみに、アイスランドでは2012年には「妖精遺産保護法」が成立し、エルフの報復に合わないよう、エルフに関係する岩などが保護指定されています
■イングランドのエルフ
イングラントのエルフは、アングロ・サクソン人とともに英国に上陸しています。
エルフ(ælf)は人間ほどの大きさ(あるいは小さく)イタズラ好きで、超自然的な力を持つ、透明である場合もある、見つけにくい存在。邪悪な存在ではありませんが、人に危害を加えることもあるよう。
病気や傷害が妖精によって引き起こされるという「エルフの一撃」 (elf-shot) という言葉は、スコットランドや北イングランドで見られる信仰。
髪のもつれは「エルフロック」(elflock)。突然の麻痺は「エルフの一突き」(elf stroke)といわれます。
■ドイツのエルフ
ドイツのエルフも人々や家畜を病気にさせたり、悪夢を見せたりするいたずら者。
ドイツ語の悪夢(Albtraum)」には「エルフの夢」という意味があります。これは「エルフが夢を見ている人の頭の上に座るから」悪夢を見る事になると考えられているため。
◾️クリスマスエルフ
北欧ではサンタクロースの助手、あるいはサンタクロースと同一視させる妖精エルフが存在します。
尖った耳で緑色の服を着た小人。サンタクロースの工場でクリスマスのプレゼントになるおもちゃ作りに励みます。
彼らはノルウェーではニッセ(nisse)、スウェーデンではトムテ(tomte)と呼ばれます。
作品の中のエルフ
民間伝承のエルフもまた様々なイメージが存在します。
◾️ウィリアム・シェイクスピアの作品に登場するエルフは小柄でフェアリーと同族種に扱われています。
『ヘンリー四世』の中では “痩せこけた、エルフのやから”。
『夏の夜の夢』の中のエルフたちは昆虫ほどの大きさ。
◾️アンデルセン『バラの花の精』のエルフ(alf)は、“肩から足に届くほどの翼”を持つ花の中に住めるほどの大きさ。『妖精の丘』のエルフは丘や岩場に住む美女。けれど、背中は木の洞のようになていて、男たちを死ぬまで躍らせることもあるので要注意な妖精。
◾️グリム兄弟の『こびとのくつや』、英訳では『靴屋とエルフ』という題名の作品です。そこには靴屋の仕事を手伝うHeinzelmännchenと呼ばれる種族が登場します。
彼らは身長1フィートほどの裸の妖精。
◾️イギリスの作家J・R・R・トールキンの「指輪物語」のエルフは神話の中の光のエルフをイメージさせます。
外見や能力、全てにおいて人間を上回り、長寿あるいは不死。睡眠も必要なく、魔術にも長けた、神に近い存在として描かれています。
** エルフの種族 **
創作物の中でのエルフは幾つかの種族が存在しています。
◾️ハイエルフ エルフの中でも優秀な種族。神に近い存在として人間を見下していることも多い。
◾️ウッドエルフ 森の中で静かな生活を送ることを好み、他の種族や人間との交流を避ける。
◾️ダークエルフ 堕落したエルフとその子孫。
いまどきのエルフ、美しすぎる妖精
出典 :4gamer.net
エルフと聞いて思い出すのは、美しい外見・長命であること。そして尖った耳。
けれど『指輪物語』や『ホビットの冒険』に登場するエルフ、レゴラス(オーランドブルーム)はそこまで尖った耳ではなかったように思います。
長耳(通称:エルフ耳)と呼ばれる外見的特徴を持つエルフの起源は、意外かもしれませんが日本の作品『ロードス島戦記』の“ディードリット”ではないかといわれています。
『そのエルフさんは世界樹に呪われています。』ご飯をあげたばっかりに……土下座エルフが離れない!? あったかご飯で世界を救う、カイとエルフ達の物語が幕を開ける!
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そのエルフさんは世界樹に呪われています。 1 「ご飯を食べに来ましたえうっ!」 (オーバーラップ文庫) [ ぷぺんぱぷ ]
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『リジュネ2 レボリューション』のエルフは世界樹の加護を受けた俊敏性に優れた種族。その美しさには定評があります。
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エルフ、ゲルマン神話から生まれた神に近い妖精
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神話の中のエルフとは違って、民間の伝承の中のエルフは、以外にも「牛の尻尾のある、いたずら者」。
『レゴラス』(指輪物語)やハーフエルフの『エミリアタン』(リゼロ)とはかなりイメージが違います。
なんか、あまり会いたくない妖精に部類するかも。。。