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ヨトゥン(霜の巨人)とは北欧神話の巨人族。
ラグナログは神々に戦いを挑み、世界の終焉を迎えたことで知られています。
ロキとその名だたる子供達フェンリルやヨルムンガンド。実は、トロールもヨトゥン族なのです。
そんな怪物種族、ヨトゥンとヨトゥンが住まうヨトゥンヘイムに注目です。
目次
ヨトゥン、原始の巨人とヨトゥンヘイム
カール・ラーソンとグンナー・フォルセル作
ヨトゥンとは
ヨトゥン(jǫtunn 複数形はヨトナール(jötnar ))(霜の巨人)は北欧神話の超人的な強さをもつ巨人族
アース神族やヴァン神族と敵対する種族です。
北欧神話の創造神ユミルや主神オーディンの母・ベストラもヨトゥンとされ、彼らの存在は北欧の創造神話に深く関わりを持ちます。
民間伝承で様々に伝えられるトロールも古ノルド語でヨトゥン(あるいはヴァン神族グッルヴェイグの末裔)
最終戦争ラグナログにおいても神々に戦いを挑み、世界の終焉を招いています。
ヨトゥンの特徴
ルイ・モー作(1898年)『ラグナロクのヨルムンガンド』
エッダにおいてのヨトナールは神と同等の力を持つ存在。
フレイの妻ゲルズのように美しい女性のヨトゥンもいますが、霜の巨人は醜悪な背格好、恐ろしい容姿、奇形の顔つきが特徴です。
9つの頭を持つスリヴァルディのように、人間とは異なる形態の者も多く存在します。
霜の巨人の血を引くロキの子供たちのうちの2人、ヨルムンガンド(大蛇)とフェンリル(狼)も霜の巨人に属し、恐ろしく醜い容姿と劣った知性を持った巨人たち。
一説ではシグルズの養父・レギンやシグルズに倒されたファフニール(竜)もヨトゥンとされます
キリスト教の影響が強まると共にヨトナールは悪魔と化し、知能の低い怪物として後のゲルマン民間伝承に伝えられてゆきます。
そして、ヨトゥンたちは多くの同胞を殺した人間と神に敵意を持ち、最終戦争ラグナロクで戦うことになります。
『ギュルヴィたぶらかし』ではフリュムに率いられたすべての霜の巨人が、神々との決戦の場に集まると語られています。
ヨトゥンとヨトゥンヘイムの誕生
ローランス・フレーリク作
エッダの詩『ヒュンドルヨーズ』の中で、すべてのヨトゥンはユミルの子孫とされます。
そのユミルはギンヌンガ・ガップ(太古の混沌)の中で雌牛アウズンブラと共に最初に誕生します。
ユミルは眠っている間に脇の汗から男女の巨人が生まれ、そして彼の2本の足がまぐわい、「霜の巨人」と呼ばれる巨人族の男子、6つの頭を持つ怪物が生まれました。
一方、雌牛アウズンブラは最初の神ブーリを、ブーリは息子ボルを、ボルはオーディンら三柱の神々を生みます。
けれど、オーディンらボルの息子たちによってユミルを含む乱暴な「霜の巨人」の多くは倒されてしまいます。
そしてユミルの身体から世界が誕生します。
オーディンたちがユミルを殺害して、その身体から世界を創ったときに、その血液の大洪水に巻き込まれて、ヨトゥンのほとんどは死滅。
ベルゲルミルとその妻だけがヨトゥンヘイムに逃れ生き延びます。
そして再び繁栄し、神々を脅かす存在になってゆきます。
ヨトゥンヘイムとは
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ヨトゥンヘイムは霜の巨人族と丘の巨人(山の巨人)族が住む国
『古エッダ』や『スノッリのエッダ』によると、ヨトゥンヘイムは人間の世界ミズガルズの東、あるいは北に位置するとされています。
その南には炎の巨人の住まう火の国「ムスペル」があります。
エッダ文献では、ヨトゥンヘイムは、人間が住まう国からあらゆる方向に存在し、はるか遠くまで辿れば、ヨトゥンヘイムに到達できるとされています。
けれど、そのヨトゥンヘイムは険しい山々、暗闇、揺らめく炎などに囲まれ、人間では辿り着くことのできない地。
ヨトゥンヘイムと神々が住まうアースガルズとの間にはイヴィング川が流れます。
スリュムが王となり支配するヨトゥンヘイムには、
- ウートガルザ・ロキの治めるウートガルズ、
- メングラッドのガストロープニル、
- スィアチの住むスリュムヘイム
などの都市があります。
「ギュルヴィの惑わし」には「大地は外側円く、その外側を深い海がとり巻いており、そこの海辺ぞいに彼らは巨人の諸族に居住地を与えた」とあります。
主な巨人族
ジョセフ・スケルトン作
⚫︎ ユミル ー ヨトゥンの祖先
⚫︎ ウートガルザ・ロキ ー 巨人族の王
⚫︎ ロキ ー 悪戯好きのトリックスター
⚫︎ ベルソル(ボルソルン) ー オーディンに9つの神秘的なまじないを教えた巨人
⚫︎ ベストラ ー ボルソルンの娘、オーディン、ヴィリ、ヴェーの母
⚫︎ スリヴァルディ ー トールに殺される「3倍強い("thrice mighty")」を意味する名を持つ巨人
⚫︎ エーギル ー 海の巨人
⚫︎ ゲルズ ー 大地の女神 ギュミルの娘でフレイの妻。
⚫︎ ミーミル ー ミーミルの泉を守る賢者
⚫︎ グレンデル ー ベオウルフに敵対する巨人
⚫︎ ファーバウティ ー ロキの父親
⚫︎ フェンヤとメンヤ ー 『グロッティの歌』の中でグロッティの奴隷の姉妹(山の巨人)
⚫︎ フルングニル ー トールに倒された頭部と心臓が石でできているスレイプニルの持ち主(山の巨人)
⚫︎ ヨルズ ー トールの母でオーディンの妻
⚫︎ スィアジ ー イドゥンと黄金の林檎を奪ったヨトゥン
などがいます
ヨトゥン、ゲームの世界でも恐ろしい怪物(?)
死せるヴァイキング戦士が伝説の巨人族に挑むアクションゲーム『Jotun(ヨトゥン)』。ヴァイキングの女戦士「トーラ」となって壮大なスケールの中5体の巨人ボス(ヨトゥン)との死闘を繰り広げます
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「バハムートブレイブ」のヨトゥンは隔絶されたヨトゥンヘイムから人間と神の世界を狙っている、ラグナロクで神々と戦うことを宿命づけられた「霜の巨人」。
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「ゴッド・オブ・ウォー4」ではヨトゥンヘイムでテュールの神殿でのイベントや、バルドルとの戦いが待ち構えています。
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『 Fate/Grandorder』では無間氷焔世紀ゲッテルデメルングに仮面をつけた霜の巨人エネミーが登場
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ゲーム『エレメンタルストーリー』に登場するフルングニルは強力な全体攻撃が可能、クラックロックで活躍するアタッカー
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ヨトゥン、ヨトゥンヘイム まとめ
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フェンリル(狼)ヨルムンガンド(蛇)がヨトゥンであるのを考えれば、トロールやファフニール(竜)がヨトゥンで不思議ではないのですが、なんか意外な気もします。
神々に恨みを抱くのはユミルやヨトゥンがオーディンたち神々に滅ぼされたことに由来しているのでしょうか。
なんであれ、ただの人間である我々には、たとえ人間の姿をしたヨトゥンであっても、巨人は怪物、
怖いです💦