ゲルマン神話の主神オーディンの愛馬で、「馬のうち最高のもの」と称されるスレイプニル(スレイプニール)。8本の足を持ち、俊足であったのはもちろんのこと、空中を駆けることもできた神馬。
そして驚くことに、スレイプニルはなんとあのロキ自らが出産した、ロキの子供なのです!
今回は終末戦争ラグナロクでもオーディンに付き従った、神獣スレイプニルについてご紹介させていただきます。
ロキが出産、マジ? ホント!?
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神と魔法の馬より生まれし神獣
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北欧を中心に展開するゲルマン神話には「馬のうち最高のもの」と称される名馬が登場します。
その名もスレイプニル。
灰色の体毛と八本の足を持っていたとされる神獣です。
神獣スレイプニルは空を飛び、馬上の人物を全ての世界へ運ぶことができたとされます。ゲルマン神話における死者の国、ヘルヘイムにもなんなく駆けていくことができたといわれています。
スレイプニルはロキと、スヴァジルファリという馬の子供です。
ロキが両性の神であったというのは驚きです、しかも自身が子供を出産していた。そしてそれがなんと馬の子供というのは、なんとも冗談のようなホント?
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その経緯については
1222年アイスランドの詩人スノッリ・ストゥルルソン著「スノッリのエッダ」によって語られています。
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ある日ミズガルズ(人間が住まう国)に人間の石工に化けた巨人が現れます。その巨人は、「ミズガルズを囲う大きな壁を建造するのでその報酬に月と太陽、女神フレイアと結婚したい」という提案をします。
さすがにそんな提案を受け入れるわけはいかない神々は怒りました。
そこにロキが、「とても無理な期限を設定して、それまでに完成しなければ報酬は渡さなければいい」と入れ知恵します。
その条件は冬至から夏至までの間に完成させられたらというもの。それに対して巨人は、スヴァジルファリを使っても良いならという返答。交渉は成立し、巨人たちはスヴァジルファリという魔法の馬を使い、すごい早さで壁を建造していきます。
慌てた神々はロキに向かって何とかしろと詰め寄ります。
そこでロキは、なんと、雌馬に化けてスヴァジルファリを誘惑するという行動に出ます。その結果、頼みのスヴァジルファリが骨抜きにされてしまい、巨人は期限内に壁を建造することができなくなります。
どうしようもなくなった巨人は正体を現し、雷神トールに倒されてしまいました。
そしてロキはスヴァジルファリとの子であるスレイプニルを出産。スレイプニルはオーディンに献上されました。
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ゲームでも優秀? スレイプニル
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スレイプニルはゲームの世界でも名馬としてオーディンを支えています。
「ファイナルファンタジー」シリーズでは召喚獣オーディンが六本足のスレイプニルに騎乗している姿を見ることができます。オーディンと共にプレイヤーの力強い味方となってくれます。
スマートフォン向けのゲームアプリ「パズル&ドラゴンズ」ではスレイプニル単体で登場します。伝承からかサポートに特化した性能になっています。
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まとめ
何かとお騒がせキャラのロキ。大抵のことならあり得ると納得できそうに思いますが、さすがに馬の子供を出産していたとはオドロキです。
それでも生まれたスレイプニルは由緒正しい血筋。さすがに「名馬の中の名馬」である由縁に納得です。
古来より人間にとって相棒であり続けた馬ですが、ゲルマン神話の主神ともなるとやはりそれ相応の馬に騎乗しています。同じくゲルマン神話に登場するワルキューレたちも馬に乗り空を駆けたとされますが、スレイプニルはその馬たちの親玉といったところでしょうか。