カルル・フリードリッヒ・シンケル作
ウラノスは天を意味する天空神。ガイアの息子であり夫。
天界を統治したギリシャ神話最古の神の王であります。
そんなギリシャ神話の頂点に立つ神がなぜ主神の座を追われたのか。
天界を支配した最高神ウラノスのご紹介です。
目次
ウラノス、神々を統べる原初の王
ウラノス( Ouranos)は「天」を意味する天空神。
オリュンポス十二神以前、原初の神々の末子にして世界の統治者
ヘシオドスの『神統記』では、大地の女神ガイアが自力で産んだ子であり、夫とされています。
星々を内包する大神であり、ガイアと同等の存在。
天そのものを神格化した存在であり、全宇宙を最初に治めた原初の神々の王とされます。
ウラノス 星々を内包する天空神
ギリシャ神話の天地開闢では、世界の初めにカオス(混沌)がありました。
カオスから最初に大地の神ガイア、夜の神ニュクス、闇の神エレボス、愛の神エロース、奈落タルタロスが生まれます。
夜のニュクスと闇のエレボスは結婚（これが世界で初の婚姻）
2柱から光の神アイテルと昼の神ヘメラが生まれます。（オルフェウス教の讃歌ではウラノスはニュクスの息子とされています。）
ガイアは自身の力だけで天空神ウラノス、海の神ポントス、山の神ウーレアを産み、子のウラノスと結婚。
ウラノスはこれまで生まれた大地と夜、闇、愛、奈落、そして海、山を覆い、世界が出来上がります。
天空神ウラノスはその神々の頂点に立ち、神々の王となります。
ウラノスは全身に星のきらめく宇宙の神と考えられていました。そのためギリシアでは信仰の対象とはされなかったといわれています。
夜の神ニュクスの娘昼の神ヘメラが日ごと母と交代して世を覆う時、空は昼の青空となり、星々は見えなくなります。
夜に暗く星々が輝くのは、ウラノスがガイアと交わるためニュクスを伴って大地に近づくためだといわれます。
ちなみにウラノスの名は
- 天王星（Uranus）
- 元素ウラン
- オウラノサウルス
の名の由来になっています
ウラノスの失脚
ジョルジョ・ヴァザーリ作
ウラノスはガイアとの間にティーターン族、キュクロプス（サイクロプス）達、ヘカトンケイル達をもうけます。
けれど、キュクロプスとヘカトンケイルは醜く、
ウーラノスは彼らを嫌って冥界タルタロスに閉じ込めてしまいます。
これに怒ったガイアは我が子を冥界に閉じ込めたウラノスを許せず、その報復を農耕神クロノスに命じ、自らが作った万物を切り裂く鎌・アダマスをクロノスに与えます。
ガイアの手引きでクロノスは眠っているウラノスの男根を切断。
ウラノスは「やがてお前も自分の息子に王位を退けられることになるだろう」と予言を残し、王位を去ります。
これにより、クロノスは神々の支配者となりますがのちにわが子ゼウスと争い、これに破れてタルタロスに幽閉されることになります。
ちなみにその後のウラノスについては諸説あり、
- アダマスの鎌で全身もバラバラに切り刻まれ、世界各地に放逐された、
- 地の果てへ追放された、
- 幽閉された
ともされ、定かではありません。
ウラノスとガイアが生んだ神々
ウラノスとカイアから生まれた神々は
まず
🔳ティータン十二神
- オケアノス 海洋神
- テテュス 水の女神 オケアノスの妻、ヘラの乳母
- イアペトス 武器と死の神 アトラス、プロメテウスの父
- コイオス 知恵の神
- ポイベ 予言の女神 アポロンを産んだレトの母
- クレイオス 星の神 西風の神ゼピュロス、北風の神ボレアス、南風の神ノトスの祖父
- ヒュペリオン 太陽神、太陽神ヘリオス＆月の女神セレネの父
- テイア 輝きの女神 ヒュペリオンの妻
- テミス 掟の女神
- ムネモシュネ 記憶の女神 ミューズの母
- レア 大地の女神 クロノスの妻
- クロノス 農耕の神 ゼウス、ポセイドン、ハデス、ケイロンらの父
- ディオネ ティターン十二神の十三番目の神として数えられることもある天空の女神
- アイトナ エトナ火山の女神も二人の娘とされます。
🔳ウラノスが失脚する原因になった醜い怪物
- キュクロプス 一つ目の巨人、
- ヘカトンケイル 百腕の巨人
🔳クロノスに倒されたウラノスの飛び散った血がガイアに降り注いだ際に生まれたとされる
- エリーニュス 復讐の女神、メガイラ、ティシポネ、アレクトの三姉妹
- メリアス トネリコの木のニュンペー達
- ギガース オリュンポス十二神らと宇宙の覇権をかけて戦うことになる巨人族が生じている。 クレテス ゼウスを守った勇猛な戦士たち
また
- アフロディーテ 美の女神 切り落とされた男根が海に落ち、そこに出来た泡からが誕生。
ウラノス、現代でも威厳を保つ正義の味方
『ドラゴンクエストXI』では伝説の勇者ローシュと共に邪神ニズゼルファと戦った魔法使いとして登場しています
ーーーーーーーーーーーー
『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』のウラノスは千年前に地上に降りてきて来た神の一柱で『ギルド』の主神。ギルドの地下でダンジョンに『祈祷』を捧げ、モンスターの地上進出を防いでいます。
ーーーーーーーーーーーー
ウラノス まとめ
出典：deviantart
ウラノス神、醜い子を嫌ったとはいえ、子に裏切られ、寝込みを襲われる。ガイアの仕打ちも惨すぎるようにも思います。
けれど、今も星々は輝いているんで、どこかで静かな余生を送っていることを祈ります。
