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セレネ(セレーネー)月の女神。ネメアの獅子、ナルキッソスの母(?)

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セレネ(セレーネー)はギリシャ神話の月の女神。

太陽神ヘリオス、暁の女神エオスと共に世界を照らす光明3神の1神。

魔術にも関わりを持ち、アルテミス、ヘカテーとも同一視される三神一体。

生涯、羊飼いの青年エンディミオンを愛し、50人の子をもうけます。

一説にはネメアの獅子の母であるという説もある、セレネに注目です。

絶世の美女セレネとは

 

 

セレネ(セレーネー)、天駆ける光明神

ステファノ・トレッリ作『ディアナとエンデュミオン』

セレネセレーネー(Selēnē)はギリシア神話の月の女神

ウラノスとガイアの息子・ティタン族のヒペリオンと、同じくティタン族のテイアの娘。

兄に太陽神ヘリオスと、妹に曙の女神エオスがいます。ローマ神話ではルナ。

セレネは、太陽神の兄ヘリオス、曙神の妹エオスとともに、世界を照らす光明の3神の一神

曙神エオスが太陽神ヘリオスを先導し東の空から昇り、ヘリオスが西に沈むと月神セレネがヘリオスの後に従います

セレネは自らが2頭だての黄金(あるいは銀色)の馬車の手綱を取り、天空を駆け抜け、東の空に暁の女神エオスが昇る頃西に沈んでゆきます

聖獣は馬、ロバ、白い牡牛。額にをつけた黄金のを戴き、を持つ柔らかな月光の矢を放つ絶世の美女

「華やかな夜の女王」「星の女王」「全能の女神」など呼び名を持ちます。

ギガントマキアでのセレネはゼウスに協力し、夜に現れず、敵ギガース側のガイアが薬草を見つけられないようにしています。

日毎に姿を変える月を司る神であるところから、後にアルテミスヘカテーと同一視され、三つの顔を持つ魔法の女神とも考えられるようになってゆきます。

美しい人間の羊飼いエンディミオンとの恋愛は有名な物語として語り継がれています、

 

セレネ(セレーネー)の系譜

紀元前700年頃、古代ギリシャの叙事詩人ヘーシオドスの『神統記』でのセレネは、天体の運行と季節の変化の関係を説いたとされる光明神ティタン神族のヒュペリオンと、同じティタンのテイアーの間に生まれたとされます。

両親についてはその他、父はパラース、あるいはヘリオス。母はアイトレー、バシレイア、エウリファエッサという説があります。

兄は太陽神ヘリオス、妹が曙の女神エオス。

ゼウスとの間にパンディーア、ヘルセー、ネメアの娘たちをもうけます。

一説では、兄ヘリオスとの間に四季の女神ホーライが誕生

春の女神エイア、夏の女神テロス、秋の女神プティノポロン、冬の女神ケイモンら四姉妹はヘラに侍女として仕えます。

 

古代ギリシャの七賢人のひとりエピメニデースによると、セレネはヘラクレスの12の偉業の最初の難行になったネメアのライオンを生んだとされています。

それによるとネメアのライオンは身震いをしたときに誤って地上に落下。

紀元前64年頃の著作家ヒュギーヌスによると、セレネはネメアのライオンを洞窟で育てています。

 

人間の美しい羊飼いエンデュミオーンの間には50人の娘をもうけます。また、復讐の神ネメシスの呪いで自分しか愛せなくなったナルキッソスもセレネとエンデュミオーンの子といわれます。

 

月とセレネ(セレーネー)

ヘリオスが日中の天空の監視役であるのと同じく、セレネは夜の世界を見渡す保護神

セレネの月光に照らされて旅人は夜も道に迷わず、闇に紛れた悪行を防ぎ、夜間の安全が保たれると考えられていました。

月経と月との関連から生物の繁殖に影響力を持つとされます。

 

また、日毎に姿を変える月は魔法と関係付けられ、ヘレニズム時代には霊魂の棲む所とも考えられていました。

セレネは月の女神として、後にアルテミスやヘカテーと同一視されてゆきます

新月、満月、半月の3つの月相を、新しく生まれる月処女神アルテミス満月は豊穣の月のセレネ半月の欠けていく月はへカテーであるとされ、セレネは三相一体神の一面ともされます

 

セレネ(セレーネー)の男性遍歴(?)

フィリッポ・ラウリ 作 『パンとセレネ』

セレーネーはゼウスとの間に、満月の女神パンディア(輝く女)、エルセ(露)、ネメア(ネメア地方の女神)をもうけます
また兄妹のヘリオスとの間に四季を司るホーライを生んだともされます。

牧神パーンもセレネの美しさに魅了され、恋い焦がれた神の一柱。

パーンは純白の羊毛皮でセレネを誘惑します。その時、セレネは毛皮の美しさに魅了され、パーンを拒まなかったと言い伝えられています。

 

エンディミオンとの恋物語

エドワード・ポインター 作 『夢の中のエンデュミオーン』

兄妹のヘリオスやエオスは幾度も恋愛を経験していますが、セレネが自らが恋慕ったのはただひとり、ゼウスの息子アエトリオスとアイオロスの娘カリュケーとの間に生まれた美しい羊飼いの青年エンディミオンだけであるとされます。

 

ある日、セレネは山頂で寝ていたエンディミオンをひと目見て恋をします

けれど、人間であるエンディミオンが年老いていく事に耐えられない彼女はゼウスに彼を不老不死にするよう願い出ます

ゼウスは人間に神と同じ不老不死は与えられないとし「永遠の眠りと引き換えに永遠の若さを保つ」ことを提言。

エンディミオンは不老不死と引き換えに永遠に眠り続ける事になります。

セレネは夜ごとエンデュミオンのもとを訪れて、夢の中でエンディミオンと会瀬を重ねます。(あるいは眠るエンディミオンと交わり)セレネはエンデュミオンとの間に暦月を司る女神メーネ50人を出産。

一説には悲劇の美青年ナルキッソスもセレーネーとエンディミオンの息子ともされています。


 

セレネ(セレーネー)、今でも変わりなく月の美少女

出典:marry-xoxo

美少女戦士セーラームーン」では月野うさぎの前世で、月の王女プリンセス・セレニティとして登場。

千年前の月の王国シルバー・ミレニアムの王女。地球国『ゴールデン・キングダム』の第一王子プリンス・エンディミオンと愛し合うようになります。

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出典:animeanime

スター☆トゥインクルプリキュア」のキュアセレーネは香久矢まどかが変身する月のプリキュア。持ち技は一撃で数百の兵士を吹き飛ばすプリキュア・セレーネ・アロー

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神姫プロジェクト」でのセレネは己の信じる正義を掲げて、闇を駆け抜け悪しき者からお宝を頂戴する怪盗

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セレネ(セレーネー) まとめ

ジャン・オノレ・フラゴナール作「ディアナとエンデュミオン」

額に月の冠というのは、日本人の筆者はまず兜のマークをイメージしてしまいます。

で、月のマークを調べたら、伊達政宗の兜でした。

伊達政宗は好みの武将のひとりですが、そのイメージが重なるので、正直月の冠を被るセレネには違和感があります。

美女、円熟した女性であるので、一層奇妙に思えるのは筆者だけでしょうか。。。

 



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