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ヘカテー、魔女の女王。崇める者を成功へ導く、闇と魔術と死の女神

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ヘカテーはギリシャ神話に登場する死を司る女神。魔女集会「サバト」では魔女たちの女王として崇められました。

けれど一説には古代エジプトの水の女神ヘケトが起源であるとされ、人間に成功を与え、出産や豊穣を司る神としての側面も持つ女神。なんとも色々な側面を持つ、恐ろしくもあり、魅力的な女神様のように思えます。

今回はそんな、謎に包まれた女神ヘカテーに注目です。

画像出典:deviantart


女神ヘカテー(へカティア)

ウィリアム・ブレイク作

ヘカテー(へカティア)はティーターン神族のペルセスとアステリアの子。その名は太陽神アポロンの別名ヘカトス「遠くにまで力の及ぶ者」に由来しています。

死の女神」「魔女の指導者」「闇の女王」などの別名や「救世主(ソーテイラー)」の称号を持ち、古代ローマでは「十字路」を意味するトリウィアという形容詞もつけて呼ばれていました

ヘカテーの起源は古代エジプトに遡り、蛙の姿をした水の女神ヘケトであるといわれています。カエルは胎児のシンボル。ヘケトは夫クヌム神と共にあらゆる生命の創造主、呪術、出産、等を司る地母神でした。

ヘカテーは魔術と出産、月を司り、冥府神の一柱としてはハデス、ペルセポネに次ぐ地位にあるとされています。

 

ヘカテー信仰

出典:ウィキペディア

ヘシオドスの『神統記』でのヘカテーは、望む者にはあらゆる分野での成功を与える女神様神々に祈る際にはまずヘカテーに祈りを捧げておけば御利益が増すとまで賞賛されています

月と同一視される冥界の女神。一説にはアルテミスと従姉妹であるとも伝えられています。

豊穣を司り、情け深く、暗い夜の女神

古代ギリシア人は、この女神の「老婆」の相を冥界の神とし、天界・地上・冥界を支配する原初の三相一体の女神のひとりとしました。

その後、3つの体に松明を持ち、地獄の番犬を連れ、精霊が訪れる特殊な場所であるとされる夜の十字路や三叉路に現れると考えられるようになります。

3つの体とは三相一体、天上、地上、地下の三世界に影響を及ぼすことであり、新月、半月、満月という月の三相、過去、現在、未来という時の三相などを意味しているといわれています。

また、一説では天界ではセレーネー、地上ではアルテミス、冥界ではペルセポネー。「天界の女王」の三相一体では、乙女ヘーベー、母親ヘーラー、老婆ヘカテーの一相ともされています。

 

神話の中のヘカテー

出典:ウィキペディア

ヘカテーは神話の中のさまざまな場面に登場しています。

―ハデスによるペルセポネ誘拐の話ではー

ペルセポーネを溺愛する母デメテルにハデスがペルセポネーを連れ去ったことを伝えています。

ヘラクレス誕生の際にはー

出産の女神エイレイテュイアの怒りをかい、トカゲ(あるいはイタチ)に変えられてしまったことを憐れみ、ガランティスを自分の召使の聖獣としています。

ギガントマキアにも参加しておりー

ギガースのクリュティオスを松明の炎で倒しています。ちなみにギガントマキアには多くの神々が参戦していますが、実際にギガンテスを倒しているのはヘカテーとモイライのみであるとか

アルゴナウタイではー

イアソン率いるアルゴナウタイの冒険を成功に導いた王女メデイアはヘカテー神殿に仕える巫女。ヘカテーの魔術によって彼らを支えました。

 

闇の女神、あるいは魔女ヘカテー

マクシミリアン・ピルナー作

古代、死者は城壁の外の道端に葬られ、中世においても交差点のそばに犯罪者や自殺者を埋葬しており、そのため十字路や三叉路のような交差点は神々や精霊が訪れる特殊な場所であるとされました。古代人は交差点で集会を開き神々を傍聴人としたといいます。

その三叉路を守護するヘカテーはヘカテー・トレヴィア「三叉路のヘカテー」といわれ、魔術と予言の女神として崇められるようになります。

後期のイメージでは、支配する十字路からあらゆる方角が見渡せた3つの体はデーモン化され、犬、ライオン、馬の3つの頭を持つように表現されるようになります

ヘカテーは2つの道の交差するところ、殺された人の血の近くに住まいます

サバトのヘカテー

ギュスターヴ・モロー作

魔術、幽霊とも関係し、アテナイ人は毎月末に卵、黒い仔犬、幼女、魚、黒い牝の仔羊、玉葱といった「ヘカテの御馳走」といわれる供物を十字路に供えます

中世の魔女集会『サバト』では、ヘカテーは庇護者として秘儀の中で礼拝されたといいます。

また妖怪変化の女王や黒魔術の本尊ともされ、中世に至るまで密かに崇拝されました。
ギリシャテッサリアではヘカテーの崇拝者たちは「魔女の軟膏」なるものを作り、ハエや鳥に変身して空を飛んだといわれています。

ちなみに人を殺せる毒を持つトリカブトはヘカテを司る花とされています。


現代でも決して優しくはない存在、ヘカテー

出典:pixiv

灼眼のシャナ」では「三柱臣(トリニティ)」の巫女として、仮装舞踏会(バル・マスケ)に所属する紅世の王。

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ヘカテー-7

出典:pixiv

カードゲーム「ロードオブヴァーミリオン」では二人の吸血姫、モルモーとエンプーサを従えている色っぽい不死の使い魔として登場しています。

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ヘカテー まとめ

 

出典:deviantart

ヘカテーにある称号は「魔女の女王」や「闇の指導者」「死の女神」。たとえ望む者を成功に導くとしても、いえいえだからこそハンパなく怖い存在であると思います。

こ、これは、絶対に近づいてはならない闇、ですよね。



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