神々にもそれぞれのドラマがあります。けれど神々の生涯(?)と我々人間の人生を比較すれば、良くも悪くも圧倒的なスケールの違いを感じます。
そんな破天荒な神々の中でテレビドラマになりそうな人間臭い運命に翻弄されるのが、豊穣の女神にしてハデスの妻ペルセポーネの母デーメーテール 。
豊穣の女神の辿る運命とは。
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豊穣を司る母神デーメーテール
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デーメーテールは豊穣神であり、クロノスとレアーの娘。ゼウスの姉であり、オリュンポス十二神の一柱。その名は古典ギリシア語で「母なる大地」を意味し、穀物の栽培を人間に教えた神としても知られています。
デーメーテール信仰の歴史は非常に古く、紀元前10世紀にも遡ると考えられます。デーメーテールの名の前半の「デー」は大地を意味する「ゲー」(ガイア)が変形したもの、後半の「メーテール」は古代ギリシャ語の母を意味すると考えられ、この名前が示す通り、ギリシャの土着の農耕民族に崇拝された大地の女神、豊穣の女神。
デーメーテールは神々の始祖であるガイアからレアーに続く地母神の正当な後継であり、ギリシャの多数の女神の中でも最高位の「大女神」として崇められています。
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デーメーテールの出産
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デーメーテールはクロノスとレアの子。かまどの神・ヘスティア、結婚と出産の神・ヘラ、冥界神・ハデス、海神・ポセイドンそして主神ゼウスを兄弟に生まれました。
ヘラの前に生まれ、ゼウスやポセイドンの姉にあたります。
デーメーテールとゼウス
弟ゼウスとの間に娘コレー(冥府ハデスの王妃ペルセポネー)をもうけたものの、その経緯については多くが謎に包まれています。広く知られる物語としては牡牛に変身したゼウスがデーメーテールに無理やり迫った挙句、身篭った子がコレー(ペルセポネ)。そして、ゼウスの息子にして愛人のイーアシオーンは父であり恋敵であるゼウスの嫉妬によって稲妻に撃たれ死亡。
姉を強姦し、嫉妬に狂って我が子を殺めるゼウスの非道が見て取れます。
デーメーテールとポセイドン
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デーメーテール はゼウスと同じく弟でもある海神ポセイドーンからも無理強いされ、秘儀の女神デスポイアと1頭の名馬アレイオーン(アリーオーン)を出産しています。
アルカディアに伝わる神話では、デーメーテールは娘を捜して地上を放浪していた際、ポセイドーンに迫られます。デーメーテール は牝馬の姿となり、オンコス王の馬群の中に紛れ込みポセイドンから逃れようとしますが、ポセイドンに見つかり、ポセイドン自身も牡馬の姿となってデーメーテールと無理矢理に性行為に至ります。
この結果、デーメーテールは一人の娘デスポイアと名馬アレイオーンを出産します。
デーメーテールは弟二柱、ゼウスとポセイドンから強姦されそれぞれの子供を生んでいるのです。そうしてシングルマザーとなり、娘ペルセポネを溺愛するようになっていった。自然な成り行きのように思います。
デーメーテールとペルセポーネ
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デーメーテールとペルセポネは豊穣を司る仲の良い女神親子。けれどある日冥王ハデスがペルセポネを見初めてしまいます。デーメーテールはペルセポネをシチリア島に隠して暮らしていましたが、ゼウスの入れ知恵でハデスはニュサの野で侍女たちと花摘みに来たペルセポネを美しい水仙の花で誘い出し、拉致、冥界に連れ帰ってしまいます。
主人を連れ去られた侍女たちはセイレーンとなって空を飛んでペルセポネを探します。
娘を失ったデーメーテールはペルセポネを探し、世界中をまわります。
そして一部始終を見ていた太陽神ヘリオスによってゼウスの企みでハデスが冥界にペルセポネを連れ去ったことを知ります。
デーメーテールはゼウスに抗議しますが「ハデスならペルセポネの夫に相応しい」と取り合いません。デーメーテールは激怒し、神界を捨て、老婆の姿に身をやつし、素性を隠しエレウシースの王ケレオスの元に身を寄せることになります。
デーメーテールが去った世界は作物も実らず大地は荒廃します。ゼウスは女神イーリスをおくり、デーメーテールを説得しようとしますが、デーメーテールの怒りは収まりません。
ペルセポーネを帰還させるなら豊穣神としての務めに戻ると言い切ります。ゼウスはついにペルセポネ帰還を許し、ペルセポネはデーメーテールのもとに戻ります。
けれど、ペルセポネは冥界でザクロの実を食べてしまっています。冥界の食べ物を口にしたものは冥界の住人となる定めに従い、ペルセポネは一年の3分の1を冥界で過ごし、3分の2を天界で暮らすことになります。
そのため、娘が冥界に行っている間の期間、デーメーテールは仕事が手につかず、地上の実りに周期が生じるようになります。これが季節の起源となっています。
現代でもグラマラスな豊穣神デメテル
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『真・女神転生 STRANGE JOURNEY』では少女のような姿をした悪魔で、麦の穂とコルヌ・コピア(豊穣の角)を持ちます。口癖は『ハーベスト』
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「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか」でのデメテルはファミリアの主神でグラマラスな女神。
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まとめ
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豊穣の神はある意味最強といえるかもしれません。戦いや学問ができなくても死には至りませんが、作物が収穫できなければ生きてはいけないですものね。
なら、筆者個人の意見ですがデーメーテールはもっとゼウスやポセイドンに対して強い態度で、冒した罪を後悔させるべきだと思います。