アンデルセンの童話「人魚姫」やそれをアニメ化したディズニーの映画「リトル・マーメイド」でおなじみの人魚。
童話では、最後は泡となって海に散り、映画では王子と結ばれてハッピーエンドです。どちらにしろ、人魚はかわいいイメージがありますよね。
ですが、その人魚の元ネタとなったギリシャ神話のセイレーン、実は海で船乗りを食い殺す怪物だということを知っていましたか?
今回は、人魚のモデルになったセイレーンをご紹介。これを読んだら、今までの人魚のイメージが変わるかも?
画像出典:pinterest
悪魔の歌声・セイレーン
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セイレーンは、ギリシャ神話に登場する半人半鳥の怪物です。
海の中から美しい歌声で航海中の船乗りを惑わし、船を難破させたり、海に誘い出された船乗りを食い殺したりしていました。
セイレーンは、川の神・アケローオスと文芸の女神・メルポメネの間に生まれました。
元は自然の精霊・ニンフで、後に冥府神・ハデスの妻となるペルセポネに仕えていました。
なぜセイレーンが怪物になったかについては諸説ありますが、ひとつには、ペルセポネがハデスに誘拐され、ペルセポネを探すために鳥の翼を得たといいます。また、別説では、ペルセポネの誘拐を許したことをペルセポネの母・デメテルに責められ、罰として半人半鳥になったとも伝わっています。
出典:calabria
セイレーンになった以降は、海で旅人を惑わせていました。それにまつわる有名な話が、オデュッセウスと遭遇したものです。
トロイア戦争でトロイの木馬を考案し、その後さまざまな活躍をしたオデュッセウス。
旅の終わり、セイレーンがいる海域を通ることになったオデュッセウスは、セイレーンの歌声をなんとしても聞きたいと思いました。そのため、船員には耳栓をさせ、自分は動かないように船のマストに身体を縛り付けました。
耳栓をしていた船員と身体を縛り付けていたオデュッセウスは、無事海域を通り抜けたといいます。
ちなみに、船乗りを惑わせられなかったセイレーンは、海に身を投げて自殺しました。
セイレーンの歌声を聞いて生き残った者がいた場合、セイレーンは死ぬ運命にあったのです。
中世以降、絵画や書物でセイレーンはなぜか半人半鳥ではなく、人魚として描かれるようになります。同じく半人半鳥のギリシャ神話の怪物・ハーピーと区別するため?
意外なところにもセイレーン
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漫画『聖闘士星矢』には、海魔女のソレントというセイレーンの能力を持つ闘士が登場します。
相手の脳に直接響く笛を使い、敵を攻撃します。女性のような容姿ですが、れっきとした男性です。
出典:LaLaport
コーヒーショップ・スターバックスのロゴマークの二又の尾が特徴的な女性は、セイレーンがモデル。年々、こちら側に近づいていることでも話題になっていますね。
エターナルリンケージ
主人公アレックスが謎の少女と出会うことで物語が始まる人気王道ファンタジーRPG。セイレーンは召喚獣として登場しています。
まとめ
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人魚の伝説はギリシャ神話に限らず、世界各地に点在しています。日本でも人魚の肉を食べて不老不死になった「八百比丘尼」の他にも各地に言い伝えとして残され、「日本書紀」にもその存在が記されています。
人魚が単なる怪魚か、怪物か。実際に男を食い殺す魔物であるのか。
まあ、美女が男を惑わすのは世の常、今も人魚のような女性が身近にいるかもしれません。
男性諸氏、ご用心、ですよ。