グリム童話の中でも「眠れる森の美女」「シンデレラ」そしてこの「白雪姫」は、女の子なら誰もが憧れるステキな王子様とハッピーエンドするお話、と思われます。
けれど、この「白雪姫」も「シンデレラ」と同じくらいに、原作のグリム童話の中では怖いお話。
そこで、そのグリムの初版本に記された原作のご紹介です。
ホラー好きな方なら、しっかりホラコメ・シュチュエーションがイメージできちゃいそうなその原作とは
目次
白雪姫、肝心な部分が削除されてしまった(?)怖い原作
白雪姫とは
白雪姫, 原題はドイツ語で「Schneewitchen」「雪のように白い子」を意味します。
元々はドイツの小都市バート・ヴィルドゥンゲンの民話。
1812年「グリム童話」初版の第53話として掲載されました。
以降、7回改訂され、現在伝わっている物語は1857年の第7版のものとされています。
ストーリー
雪の降る冬のある日、ある国の女王が窓辺に座り裁縫をしていました。
女王は針で指を刺し、窓枠の黒檀に降った白い雪の上に赤い血が三滴落ち、それを見た女王は独り言を呟きます。
「雪のように白い、血のように赤い、黒檀のように黒い娘が欲しい」
しばらくして、女王は女児を出産、白雪姫と名付けます。
女王は美しく、魔術を使うことができました。
魔法の鏡を持っており、毎朝「鏡よ、鏡、世界で一番美しいのは誰?」と尋ねます。
鏡はいつも女王に、「貴方が一番美しい」と告げます。
魔法の鏡は決して嘘をつきません。
けれど、白雪姫が7歳になる頃、女王が再び鏡に同じ質問をすると、鏡は白雪姫が一番美しいと答えます。
女王は娘に嫉妬し、彼女は次第に白雪姫を敵対するようになり、時間が経つにつれ、ますます憎むようになります。
ある日、女王はついに猟師に白雪姫を森に連れて行って姫を殺し、死んだ証拠として、姫の肺臓と肝臓を持ち帰るよう命じます。
猟師は白雪姫を森に連れて行きますが、幼く無垢な姫を殺すことに躊躇います。
白雪姫は涙ながらに猟師に懇願しました。
「私は森に逃げます、そして二度と城には戻りません」
猟師は姫を助け、代わりに猪の肝臓を持ち帰ります。
女王はその肝臓をを白雪姫のものと思い、塩茹でにして食べてしまいます。
白雪姫は何時間も森をさまよった後、小さな小屋を見つけます。
小屋は小人のものらしく、全てが小さくできていました。
そしてその家には誰もいないので、姫は食事を食べ、小さなすべてのベッドを試してみます。
最後のベッドは姫にとっても快適で、姫は眠りに落ちてしまいます。
小人たちが家に帰ると、室内が荒らされ、家に何者かが侵入したよう。
2階で眠っている白雪姫を発見します。
姫は目を覚ますとこれまでの経緯を小人たちに説明します。
小人たちは話を聞き、家事仕事をしてもらうという条件で一緒に暮らすことを承諾。
そして、家に一人でいるときは誰も家には入れないよう注意します。
そして、10年の月日が経ち、姫は可憐で美しい乙女に成長します。
一方、女王は鏡に尋ねます。
「鏡よ、鏡、世界で一番美しいのは誰?」
鏡は、白雪姫が今でも一番美しいと告げます。
女王は激怒し、自身で白雪姫を殺そうと決意。
老いた行商人に扮して小屋を訪れ、白雪姫に美しいコルセットの紐を売ります。
女王は白雪姫を息ができないほどきつく紐を結びます。
けれど戻ってきた小人たちが倒れている姫を見つけ、紐を緩め、白雪姫を助けます
次に、女王は櫛売りに扮し、白雪姫に美しい毒を塗った櫛を使わせます。
白雪姫は毒のため気を失ってしまいます。
けれどこの時も小人たちが髪から櫛を外し、姫は再び生き返ります。
最後に、女王は農家の妻に変装し、白雪姫に毒リンゴを差し出します。
白雪姫がためらったので、女王はリンゴの白く無害な半分を食べ、毒のある赤い半分を白雪姫に与えます。
少女は一口食べた後、倒れ、女王はついに白雪姫を亡き者にしたと思います。
仕事から戻った小人たちは、けれど白雪姫を生き返らせることができません。
ついに姫は亡くなったものと思い込み、棺台に姫をのせ、小人たちは3日間泣き続けました。
小人たちは姫を埋めようとしましたが、赤い頬をした、生きているような白雪姫を見て「この子を暗い土に埋められないよ。」と言って透明なガラスの棺を作り、その中に姫を寝かせました。
そして棺に金の文字で名前を書き、王様の娘と記し、小屋の前に置きました。
そこには鳥たちも来て、白雪姫を悼んで泣きました。
最初にふくろう、それからカラスが、最後に鳩が来ました。
そして白雪姫は長い間、棺の中で横たわっていましたが、その肌は雪のように白く、唇は血のように赤く、生きているときと変わらないまま眠っているかのように見えました。
あるとき、他国の王子が山に入ってきて、一晩泊めてもらうため小人たちの家を訪れました。
王子は棺の美しい白雪姫を見て買い取りたいと申し出ます。
けれど小人たちに断られ、「もう白雪姫を見ないでは生きられない。私は姫を最も大切にするつもりだ。どうかこの姫を連れ帰ることを許してほしい」と懇願します。
小人たちは切望する王子に、棺を持ち帰ることを許します。
王子は白雪姫に夢中になり、片時も離れず、どこに行くにも彼女の棺を共にします。
それは、棺が横にないと食事も喉を通らない程でした。
けれど、使用人の一人がそれを疎ましく思い、姫を棺から持ち上げて彼女の背中を蹴ります。
その衝撃で白雪姫が食べたりんごの芯が喉から出ました。
そしてまもなく姫は目を開け、棺のふたをあけて、起きあがりました。
「まあ、ここはどこ?」と姫は叫びます。
王子はこの奇跡に大喜びし、これまでの経緯を説明し、「私は世界中の何よりもあなたを愛しています。私の父の宮殿へ一緒に来て、私の妻になってください。」と言いました。
白雪姫はその申し出を受け、王子と共に王子の王国へ向かいました。
二人の結婚式はとても豪華に行われました。
そして、白雪姫の母も宴に呼ばれました。
女王は身支度を整え、鏡の前で「鏡よ、鏡、世界で一番美しいのは誰?」と問いかけます。
鏡は王子の花嫁だと答えます。
式場で王子の花嫁が白雪姫であることを知った女王は激怒。
女王は再び白雪姫を殺そうとしますが、その正体を知っている王子はそれを許しません。
王子はこれまでの所業の罰として、女王に真っ赤に焼けた鉄の靴を履き、踊るように命じます。
踊り続けさせられた女王はとうとう倒れて死んでしまいます。
そして、白雪姫と王子の結婚式は続きます。
グリム童話集とは
『グリム童話』はヤーコプとヴィルヘルムのグリム兄弟が編纂したドイツの昔話集(メルヒェン)です。
初版の物語は、口承のかたちを保つ、短く説話的な短編集でした。
以降、7回の改訂が行われ、いくつかの物語は削除されています。
物語の内容も、風景や心理描写、会話が加えられ、残酷な描写や性的な描写も削除されています。
こうして現在に至る『グリム童話集』は、かつて「語り伝えたメルヒェン」から現代の子どもたちが「読むメルヒェン」へと編纂されてきました。
けれど当時の人々の間で持たれていた偏見がそのまま伝えられた部分もあり、現代でも『グリム童話集』は子どもへの読み聞かせに適しているか、初版刊行時以議論の的となっています。
変更、追加、削除された箇所
🔳 子を虐待する実母
白雪姫の母親。
初版本(1812・15年版)やエーレンベルク稿(1810年手稿)では実母。
第2版(1819年版)以降、生母は亡くなり、継母(父王の後妻)が白雪姫を殺そうと企んでいます。
🔳 7人の小人の名前
7 人の小人の名前は、1912 年のブロードウェイ劇『白雪姫と七人の小人』で初めて個別の名前が付けられ、その後ディズニー作品1937 年の映画『白雪姫と七人の小人』では別の名前が付けられました。
🔳 王子のキス
王子の口付けは1937年に発表されたディズニー初の長編カラーアニメーション映画『白雪姫』が最初。
🔳 黒い髪
白雪姫の容姿を「雪のように白い肌」「血のように赤い唇」「黒檀のように黒い髪」と表現されますが、原作では最後の部分で瞳の色が黒いと記述されています。
🔳 削除された過度に残酷な描写
- 白雪姫の(と思って)肝臓を塩茹でにして食べた(作品によっては心臓と描写されています)
- 最後の罰で焼けた鉄の靴を履かされ死ぬまで踊らされた
白雪姫 現代でも美しいプリンセス
『白雪姫』は1937年ディズニー作品として長編映画第1作目の不朽の名作。世界初の長編アニメーション作品です。この作品で初めて白雪姫は王子の口付けで目を覚まします。
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『スノーホワイト』は2012年公開のダークファンタジー映画. 「トワイライト」シリーズのクリステン・スチュワート、シャーリーズ・セロン 、クリス・ヘムズワースという豪華な出演人が話題を読んんだ人気作。
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ソーシャルゲームRPG「グリムノーツ 」の「白雪姫」は『プリンスキッス・エフェクト』の主要人物の一人。七人の小人に助けられ、幾多の危機を乗り越え、他国の王子と結婚。継母の魔の手から逃れます。
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人気アニメ 『赤髪の白雪姫』は女の子なら誰もが憧れる、ステキな彼と結ばれる不滅の王道ラブストーリー?。赤い髪の少女白雪がゼンと名乗る少年と出会い、宮廷薬剤師として働きながら自身の運命を切り開いてゆきます。
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白雪姫 まとめ
民話はどれも怖いというイメージがあります。
かつて、自然が今以上に脅威であった時代、恐れ知らずの子供を諭すための戒めの物語であったのでしょう。
ベットの中、あるいは布団を囲んで大人に聞かされる怖い物語は、一生トラウマとして残りそうなほど強烈なものだっただろうと思います。