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アトランティスは実在した? 高度な文明の謎多き幻の大陸、その謎とは

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アタナシウス キルヒャー作(1669年 南が上)

現代でも語り継がれる幻の大陸、アトランティス。

この大帝国はかの哲学者プラトンが自身の著書の中で、かつて存在した大陸をモデルに描いたとされています。

その全貌をご紹介。

 

アトランティスの謎とは

アトランティスの民は超人的な能力を有していた?

 

これってホント?

 

 

アトランティス、謎多き幻の大陸

フランソワ・ド・ノメ作『アトランティスの崩壊』

アトランティス(Atlantis)は古代ギリシャの哲学者プラトンの著書『ティマイオス』と『クリティアス』(紀元前 4 世紀半)で語られる伝説上の大陸

プラトンはその中で「強大な文明を築き上げていた大陸」として記述。

資源や肥沃な土地に恵まれ、極めて優れた文化や科学技術を誇る理想国家であったと語っています。

 

エクメーネ地球の中で人間が居住している地域)西部全域を支配したとされる大海軍帝国。

Atlantic Ocean(大西洋)の語源になった大国。

古代アテネを征服しようと試みたため神々の支持を失い、一昼夜で消滅、大西洋に沈んだとされます。

 

アトランティスは実在した?

ニコラス・レーリッヒ作『アトランティスの最後』

アトランティスはプラトンの著書『ティマイオス』と『クリティアス』の中で、『プラトンの時代の9000年前に海中に沈んだ』と記述される、実在した大陸を元に描かれた伝説であると考えられます。

 

プラトンの『ティマイオス』『クリティアス』の中のアトランティス

プトレマイオスのエクメーネ

ティマイオス』『クリティアスは両書共にプラトンの師であるソクラテス、古代ギリシャの都市ロクリスの哲学者ティマイオス、プラトンの曽祖父クリティアス、シュラクサイの軍人ヘルモクラテスの4名の対話という形で語られています。

アトランティスの内容については紀元前 590 年から 580 年の間にエジプトを訪れたアテネの立法者ソロンがエジプトの女神ネイトに仕えるサイスの神官から聞いたと内容として紹介されます。

 

ティマイオス

『ティマイオス』では、冒頭でソクラテスが前日の饗宴で語った理想国家論が紹介されます。

そして、そのような理想国家がかつてのアテネであり、その敵対国、多くの島々や大陸を支配する、偉大で驚異的な力を持つアトランティスの伝説が語られます。

 

クリティアス

『クリティアス』では先の『ティマイオス』と同じ日に行われた続編として、主にプラトンの曽祖父・クリティアスが実家に伝わっているアトランティス伝説を語っています。

 

アアフメス2世が即位した後の紀元前570-560年頃、ソロンは賢者としてエジプトのサイスの神殿に招かれます。

そこでソロンは、デウカリオンの洪水伝説(ギリシャ神話のノアの方舟)に始まり、ギリシアは水害によって歴史の記録が何度も失われてしまったと語ります。

けれどエジプトでは、デウカリオン以前にも大洪水は起こり、大惨事をもたらしている古い記録が残されているとし、アトランティスとはいかなる大陸であったのかを語ります

 

「アトランティス」の場所 

プラトンは『ティマイオス』の中で、ヘラクレスの柱」の向こうにある島と記しています

 

「ヘラクレスの柱の入口」とはジブラルタル海峡の入口にある岬

ギリシャ神話の中で、ヘラクレスは10番目の偉業でゲーリュオーンを倒すためエリュテイア島へ向かう途中アトラス山を横断しなければならず、巨大な山をその怪力で砕き、大西洋と地中海がジブラルタル海峡を繋ぎます

以降、分かれた2つの山はヘラクレスの柱と呼ばれます。

 

つまり、アトランティスは南大西洋にあった島と推測されます。

 

「アトランティス」の消滅 

アトランティスが水没した原因についてもいくつもの説が伝えられています

主なものとして

 

氷河期の地殻変動で沈んだ

プラトンの著書の中でソロンがエジプトに行き、そこでエジプトの神官が「アトランティスは9000年前に沈んだ」ことを聞いています。

これによるとアトランティスが沈んだのはソロンの時代より9000年前、つまり紀元前9500年のこととなります。

これは氷河期の終わりにあたります。

氷河が急速に溶けたことで海面が急激に上昇し、それに合わせた地殻変動で地球の地図は大きく変化しています。

 

ノアの方舟に見る大雨で沈んだ

著書の中で語られるデウカリオンの洪水伝説は聖書にあるノアの方舟の物語。

この物語は同じ内容のものが世界中の主な地域で神話として語り継がれています。

また、その痕跡となるものも発掘されており、現代では史実であったと認識されています

プラトンはアトランティスを実際にあった島をモデルとして語っているなら、アトランティスはこの大雨、あるいは洪水によって沈んだという説も成り立ちます

 

後世でイメージされたアトランティス 

アトランティスの物語はそれ以降の文学に多大な影響を与えています。

理想国家としてはフランシス・ベーコンの『ニュー・アトランティス』やトーマス・モアの『ユートピア』の構想の中でアトランティスが語られています。

 

他方、19 世紀の作家イグナチウス L. ドネリーはプラトンのアトランティスに関する記述は事実と考え、疑似考古学本『アトランティス: 古代の世界』を執筆。

アトランティスは先史時代のあらゆる進んだ文明を有し、その多くは当時の他の民族をはるかに超えた文明とテクノロジー、現在のすべての人種と文明の起源であると考えました。

 

それ以降アトランティスについて様々な伝説が生まれます。

 

アトランテイス人は超人的な能力を有していた

アトランティスの民は非常に聡明な民族であったとされます。

彼らは超常的な力(テレパシー)を有していたとも伝えられています。

 

優れた文明とテクノロジー

彼らの技術力は卓越したもので、電話のような通信手段や重いものを運べる輸送手段、エレベーターのような移動手段、コンピューターのような都市をコントロールする機器を有していたとされます。

 

アトランティスは宇宙人であった、あるいは宇宙人の恩恵を受けた民族

エジプトのピラミッドと同じく、12000年前に存在したアトランティスが他の民族をはるかに凌駕した文明を持つのは他の何者かの関与があったものと考えられました。

 



 

アトランティスとは、プラトンの語るアトランティス

海底二万里』の挿し絵(1869年)

アトランティス王国の誕生

神々は大地を分割し、ポセイドンには海とアトランティス大陸が与えられました。

ポセイドンはアトランティスを同心に陸地帯、水地帯を外側とする円をなす2つに分割。

2つの陸地帯と3つの水地帯が中央の島を取り囲み、陸地帯には大陸を灌漑する2つの泉を作ります。

また、ポセイドンは土より生まれた原始人エウェノルと妻レウキッパノアの間に生まれた娘クレイトを妻とします

ポセイドンは大陸の中央に位置する山の頂に住まいとする宮殿を作り、ふたりの間には男子が2人づつ5回生まれます。

ポセイドンはアトランティスを10人に配分し、長男アトラスを大王とします。

そしてアトラスを称えて国をアトランティス、周辺の海をアトランティック(大西洋)と名付けます。

以降、アトラスとその子孫が首都を統治し、彼の弟の系譜が他の地域を統治することになります。

 

アトランティスの環境

アトランティス大陸は「リビュア(現在の北西アフリカ西側)とアジアを合わせたよりも大きい」と記されています。

本島の中心部は 3,000 × 2,000スタディア(400~600キロメートル)の大平原

平原は10スタディオン平方(約3.42km2)を単位とする6万の地区に分割され、その外側を高い山々が囲います。

 

アトランティスは無限に思われるほどの自然資源に恵まれていました。

金、銀、「ヘラクレスの盾」で言及されたオリハルカス(オリハルコン)などの貴石鉱物。

野生動物や家畜、多種の木材、さまざまな香料、植物、葡萄、穀物、野菜、果実など。

亜熱帯特有の豊かな自然を享受していたとされます。

大陸は等分に区画され、大陸に張り巡らされた運河を通じて十分な水が供給され、年に2回の作物の収穫を可能とし、運河によって材木や季節の産物の輸送も行われていました。

 

運河には各所に橋が架けられ、大海に向かう岩壁に巨大な3つの波止場、内外の環状水路には2つのドックが作られます。

都市への通路はすべて強固な門と塔で守られ、都市の各環状部は城壁で囲まれていました。

 

中央島の首都アクロポリスある宮殿には金・銀・オリハルコンで装飾されたクレイトとポセイドン神を祀る神殿。

そこには6頭の翼のある馬の引く戦車に乗るポセイドンの巨像をイルカに乗る100人の海の精・ネレイスたちが周囲をとりまきます。

建物の外側には初代10人の国王の黄金像、小さな森と庭園には温泉と冷泉が湧き出ています。

内側の3つの島々の最奥部に王族や神官、支配者の層の邸宅、郊外には一般市民の暮らす住宅地。内側から外側に向けて衛兵、戦士、市民の居住区が連なります

中央複合施設には競馬場、さまざまな神々を祀る多数の神殿、人間と動物のための公園、公衆浴場、競馬用の大競争路が完備されていました。

各地の戦略地点には要塞があり、港へは国内外の船舶が往来します。

旅行者はアトランティスを拠点に、島々や他の大陸を行き来することができました。

港と市街地は世界各地からやって来た商人や軍人で満ち溢れ、昼夜を問わず活気に溢れていたとされます。

 

アトランティスの軍事力

アトランテシスは兵役制度が定められ、

その軍事力は

平原全体で1万台の戦車と戦車用の馬12万頭と騎手12万人、騎馬12万頭、騎馬兵12万人、歩兵30万人、弓兵12万人、投石兵12万人、投槍兵18万人、1200艘の軍船、24万人の水夫が常駐していたとされます。

山岳部もまた、それぞれの地区に分割され軍役を担っています。

それ以外、トラス王の支配する中央島以外の他の9つの王国ではこれとは異なる軍備体制が敷かれていたとされます。

 

アトランティスの滅亡

時が経つにつれて、アトランティスの支配者達は原住民との交配を繰り返す内に神性が薄まり、堕落し、強力な海洋大国に変化してゆきます

 

そして『クリティアス(プラトンの著書の主人公)』は、自身が生まれる9000年前にヘラクレスの柱の外にいる者たち(アトランティスの民)とその中に住んでいる者たち(ギリシャの民)との間で戦争が起こったと語っています。

その頃のアトランティス人はリビアの一部からエジプト、そしてヨーロッパ大陸のティレニアに至るまで征服していました。

アトランティスはアテネに領土を広げるための戦争を仕掛けます。

これに対してアテネ人はアトランティス帝国に対抗する近隣諸国と連合し、同盟を率い、激しい戦いを繰り広げます

同盟が崩壊するとアテネは単独で帝国に勝利し、アトランテスの占領地を解放。

 

そしてある日、激しい地震と洪水によってアトランティスの巨大な大陸は一昼夜のうちに大海に沈んでしまいます

 

神々を敬わなくなってしまったアトランティスに憤慨したゼウスはオリュンポス山に神々を召集し、アトランティス大陸を沈めることを決議します。

そしてゼウスが大雨を降らせてアトランティス大陸を海中に沈ませました。またはポセイドンが自ら三叉の矛で大陸を海に引きずり込んでいます

 

ちなみに

プラトンは、古代ギリシャにアトランティスの記録、物語、伝説が存在しない理由として、古代ギリシャもまた地震と洪水によって、山岳地帯に住んでいた読み書きができる農民のほんの一部だけを残し水没したことを挙げています。

その結果、リシャ人がそれまでに得ていた知識もすべて失われてしまいました

 

 

アトランティス、現代でも失われた王国

DCコミックスのヒーロー・アクアマンを主人公に、2018年「アクアマン」、2024年にはその続編『アクアマン 失われた王国』も公開。アクアマンは海底王国アトランティスと地球の海の統治者。超人的な強さと速さ、海の生物を指揮する能力を持つアトランティス人。彼は海と地球の平和を守るため悪との戦いに挑みます。

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手塚治虫作品『海のトリトン』アニメ版は1972年にTV放送されています。トリトン族の末裔トリトンは白いイルカのルカーと共に、地上の支配を目論むポセイドン族に戦いを挑みます。

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ふしぎの海のナディア』1990年にNHKで放送されたTVアニメ。19世紀、古代アトランティスの科学文明を利用して世界征服を企む秘密組織・ネオアトランティスとそれを阻止しようとする潜水艦ノーチラス号の戦いに巻き込まれたジャンとナディアの冒険を描いています。

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海底二万里』はSF作家 ジュール・ヴェルヌの代表作。洋学者アロナックス博士たち3人が謎のネモ船長と共に潜水艦ノーチラス号に乗って世界中の海洋を巡る冒険譚。途中クラーケンに襲われ、海底深くへと沈んで伝説のアトランティス大陸に辿り着きます。

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太陽の子エステバン』は1982年NHKより放送されたアニメ作品。16世紀、スペインのバルセロナで育った少年エステバンは行方不明になった父の手掛かりでもある黄金都市を探しに、途中出会ったインカの少女シア、ムー大陸の少年タオと共に新大陸へ旅立ちます。

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アトランティス まとめ

ウィリアム・スコット=エリオット作(1910年

今更かもしれませんが、私は宇宙人の存在を信じます。

そして、プラトンは実在したとされる島をモデルにアトランティスを描いたのなら、アトランティスの領地であったエジプトのピラミットの秘めた謎は全てアトランティスにつながっていると推測できます。

そして、人類が成し得るはずもない高い文明によって建築されたピラミッドは紛れもなく人類以外の何者かの関与があったことの証であると思えます。

 

アトランティスの民が持つ叡智は地球外生命体によるものと考えるのが一番納得いくと思うのですが・・・

 

 

 

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