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オーディン、世界と人間の創造神。叡智を求め、死を司る最高神

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画像出典:deviantart

オーディンは様々なメディアに登場する日本でも知名度の高い北欧神話の最高神。

世界と人間を生んだ原初の創造神、死と叡智を司どる偉大なる神です。

そんなオーディンを探ります。

 

いろんなキャラで登場させるにはバチが当たりそうな、オーディンのなるほどな側面とは

 

オーディン  神々を統べる王

アーサー・ラッカム作

欧古語で「激昂する者」を意味するオーディン Oden、またはOdin)は、死・戦・農耕・知恵・魔術をつかさどる、すべてのゲルマン種族の間で崇拝されるゲルマン神話の最高神です。

古代ヨーロッパに存在したテュートン族の神、アース神族の主神

原初の神ボルの子として生まれ、兄弟のビリ、ベーとともにユミルを倒し、その身体から世界と最初の人間を造った創造神。

アースガルズにあるヴァーラスキャールヴに住まい、世界を見渡せる椅子フリズスキャールヴに座り、神々や全ての人間を見渡していると言います。

古英語は Ƿōden(Wōden, ウォーデン)。ドイツ語では Wotan, Wodan (ヴォータン、ヴォーダン)。

帝政ローマの歴史家コルネリウス・タキトゥスは著書『ゲルマーニア』の中で、ゲルマン人の最も尊崇する神をメルクリウス(マーキュリー)と記していますが、これはメルクリウスと同様の知恵と計略に長けたヴォーダン(オーディン)を指すものと推定されています。

それに由来し、ローマ暦で「メルクリウスの日」にあたる水曜日は、ゲルマン諸語では「オーディンの日」と呼ばれます。

 

オーディンの家族

ロバート・スペンサー作

オーディンは雌牛のアウズンブラによって作り出されたブーリの子ボルと女巨人のベストラの間に生まれます原初の神ブーリはオーディンの祖父にあたります。

兄弟は、アシーア(アジア)の川タナクヴィースル(ドン川)の東の国アーサランドの統治者となったヴィリとヴェー(ヴェーリル)

妻はオーディンと共に玉座フリズスキャールヴに座す権利を持最高位の女神フリッグふたりの間には光の神バルドルが誕生。

子はその他に

  • 『ギュルヴィたぶらかし』では大地の化身ヨルズとの間に雷神トール
  • 巨人族グリーズとの間にトールと同等の力を持つとされるヴィーザル
  • ルテニア(ロシア)王の娘リンドとの間に司法神ヴァーリ

他に盲目の神ホズヘルモーズ、詩の神ブラギ、光の神ヘイムダルなどがいます

 

オーディンの誕生と世界の創造

オーディンは、世界で最初に生まれた神・ブーリの息子・ボルと女巨人・ヨトゥンのベストラとの間に生まれました

弟のヴィリとヴェーと共に、当時世界を支配していた巨人族の王・ユミルを殺害し、その肉体から天地創造を行います。

三人はまた、トネリコとニレの2本の流木から人類の始祖アスクとエムブラをつくった創造神です。

オーディンは始祖に命と魂、ヴィリは力と知性、ヴェーが言語、聴覚、視覚を与えたとされます。

 

オーディンの神格・役割

出典:deviantart

オーディンは、さまざまな世界を渡り歩いたという逸話も残されており、本来は風神、嵐の神(天候神)としての神格を持っていたと考えられます。その後に軍神・農耕神・死者の神という神格を得ます。

民俗学では魔軍ワイルドハントの長

死や戦い、知恵や魔術等のさまざまな性質を持った神であるため、気まぐれで裏切り策略など、善悪が入り混じった性格をしているといわれます。

 

オーディンの外見と日常

ゲオルク・フォン・ローゼン作

オーディンは片眼の長い髭をはやした隻眼の老人

ヴァルハラにあるフリズスキャールブの王座に座って全世界を見渡します。

つば広の帽子をかぶり、手には魔法の槍・グングニル、腕には黄金の腕輪・ドラウプニル、肩には2羽のワタリガラス、足元には2匹の狼を従えています。愛馬は8本の足を持つスレイプニルで、これに乗って戦場を駆けぬけました。

2羽のワタリガラスは、フギン (思考) とムニン (記憶) といい、世界中の情報をオーディンに知らせました。また、狼は共に「貪欲なもの」という意味のゲリとフレキという名を持ち、オーディンは毎食出される豪華な食事を2匹に与えていました。オーディンは食べる必要がなかったため、食事の代わりに葡萄酒だけを飲んで生活していたといいます。

 

オーディンは自由に姿を変えることができる神

鳥になって一瞬のうちに遠い国へ行くことも、獣になって人間の計り知れない世界や人間を威嚇することも可能。

人間の住まうミズガルズでは、老いた旅人、片目の美青年、貧しい小百姓などの姿で現れ、人間に紛れて行動したり、通りすがりの老人を装って英雄に助言を与えます。

また、巨人族の住まうヨーツンヘイムを彷徨い彼らの動向を探ります。

そのため多くの異名を持ちます

  • 知恵者(フロプト、フロプタチュール)、
  • 勝利を決める者(ガグンラーズ)、
  • 仮面をかぶる者(グリームニル)、
  • 姿を変えるもの(スヴィパル)、
  • さすらうもの(ヴァーヴズ)、
  • 目覚めたるもの(ヴァク)、
  • 高座につくもの(スキルヴィング)、
  • 魔法(魔杖ゲンドゥル)の心得あるもの(ゲンドリル)

そして

  • 万物の父(アルフォズル)とも呼ばれています



戦の神、オーディン

ペーテル・ニコライ・アルボ作

軍神としてのオーディンには戦いの勝敗を決定する力がありました

オーディンに勝利を願えば、その戦士に加護を与えてくれたため、人間は危機に陥ると必死にオーディンに願ったといいます。

しかし、気まぐれでもあるため、必ず加護が与えられるわけではありません。時には、英雄に敗北を、価値のない戦士に勝利を与えることもあったといいます。

オーディンは英雄に勝利を与えるため、ワルキューレに加勢を命じたり、味方に戦術を授ける一方で敵の刃を使えなくしたりするなどの策を弄します。

ちなみに英雄シグルドの父は戦場でオーディンに剣を破壊されたことが原因で致命傷を負っています

戦場で勇ましく倒れた戦士たちをエインフェリア(エインヘルヤル)として、ワルキューリによってワルハラ宮殿導きます

彼らはそこで、世界の終末の巨人族との決戦にそなえ武芸に勤しむことになります。

英雄に死を与えたのも、来たるべき終末・ラグナロクにそなえヴァルハラに迎えたかったからかもしれません

 

叡智の神 オーディン

出典:deviantart

オーディンは魔術の達人であり、また、全ての吟遊詩人は彼の庇護下にあるとも言われる詩文の神でもります。

知恵や魔術の神として、オーディンは知識に非常に貪欲でした

巨人族の賢者・ミーミルが所有するユグドラシルの根元にあるミーミルの泉の叡智を得るため、その代償として自分の片目を犠牲にしています

ルーン文字の秘密を知るため、世界樹・ユグドラシルに首を逆さに吊り、9日間グングニルに貫かれ続け、ルーン文字の秘密を学び、九つの魔法の歌(あるいは18種類の魔法)を会得しています

ちなみに、首吊りをするオーディンの姿は、タロットカードの「吊るされた男」のモデルだという解釈もあるとか。

この逸話にちなんで、オーディンに捧げる犠牲は、首に縄をかけて木に吊るし、槍で貫くというものになっています

また、巨人の国から詩の蜜(みつ)酒を盗み、神々に詩をもたらしたともされています。

 

これほどに偉大なる神オーディンも世界の終焉ラグナロクでは、ロキの息子である巨大な狼・フェンリルにかみ殺され、最期を迎えるという運命を迎えます

 

 

オーディン 創作作品では王や戦神としての側面が強調されがち?

ゲーム「ファイナルファンタジー」シリーズでは、召喚獣として登場。スレイプニルに乗った屈強な戦士の姿をしています。こちらでのスレイプニルの足は神話とは異なり、6本です。

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映画「マイティ・ソー」でおなじみのマーベルコミックスの漫画では、主人公・ソーの父親として登場。自身の強さゆえに傲慢になったソーを地球に追放します。

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無双OROCHI』シリーズのオーディンはアースガルズを統べる黒服銀髪の青年。あらゆる力と知恵を得ることで、予言の運命を変えラグナログを生き延びています。

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真・女神転生』のオーディンはマントを纏った角のある兜に隻眼の紫肌の男性

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オーディン まとめ

アーサー・ラッカム作

オーディンは世界と人間を創造し、貪欲に叡智を求め、常に世界を見渡し、見聞を広めるため放浪し人間に助力する水戸の御老公のような側面も持つ、まさに崇拝に値する神

 

 

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