「むじな」は、動物園に行けば見られる実在の動物ですが古来から、人を騙す妖怪として語られ、小泉八雲の「怪談」でも取り上げられていますまた、妖怪「のっぺらぼう」との関連も多く語られています。
今回は妖怪「むじな」の正体とは何かを見ていきましょう。
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むじなとは
出典:ウィキペディア
アナグマのこと、地方によっては、タヌキやハクビシンもムジナと呼ぶことがあります。
漢字で書くと貉もしくは狢。
妖怪としてのむじな
民話ではむじなは、人を化かす妖怪とされています。
文献に残る、もっとも古い記録は、日本書紀の推古天皇35年(627年)の条に、「春2月、陸奥国にむじな有り、人となりて歌う」と書かれており、この時代すでにむじなは人を化かす妖怪だと認識されていたことがわかります。
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むじなの特徴は
犬ほどの大きさで、毛の色は茶色、齢をとると背中に白色の毛が十字に生える。
基本的には人を化かすだけですが、人を殺す凶悪なむじなもいて、これらはおおむじな、と呼ばれることもあります。
小泉八雲の「怪談」の「むじな」という話に、のっぺらぼうが登場するため、のっぺらぼうの正体はむじなだとされています。
同じ穴のむじなということわざ
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同じ穴のむじなとは
一見すると違って見えても、同類;仲間であることの例え、悪事を働く同類の意味で使われます。
悪いイメージのことわざとして使われる理由は、むじなは、仲間と同じ穴で生活する習性があり、穴を掘れないたぬきが、穴掘りの上手いむじなの穴を利用することがあるのです。
人を化かすという悪いタヌキと同じ穴で生活する習性をもつため、悪いイメージで使われるのだと言われています。
小泉八雲のむじな
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ムジナは小泉八雲の怪談「狢(むじな)」に登場する妖怪としても知られています。
あらすじ
東京紀伊国坂には「むじな」がでるという噂がありました。
ある、夜すっかり暗くなった紀伊国坂を一人の男が歩いていると女がうずくまって泣いています。
男が声をかけても、女はただうつむいて泣くばかり。
必死になだめ、なんとか、顔をあげさせると、そこにいたのは目も鼻も口もない、のっぺらぼうです。
男は腰も抜かさんばかりに驚いて、あわてて逃げ出します。
走りに走ってたどり着いたのが、四谷見附のあたりにある屋台の蕎麦屋。
屋台に駆け込んだ男は、屋台の主人に事の顛末を語ります。
主人は「それは怖ろしゅうございましたな、ところで、おまえさんが見たというのはこんな顔かい?」 そう言った蕎麦屋の顔は目も鼻も口もなかったそう。
のっぺらぼうについて
外見は人に近いが目も鼻も口もない妖怪。民話や落語の中では繰り返し人を驚かせるということが多いといわれています。
今や強者(つわもの)として活躍するむじな
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『神羅万象チョコ ~七天の覇者~』では、絶滅したと思われていた隠神刑部(いぬがみぎょうぶ)の末裔黒刀のムジナとして登場。メインキャラクターの一人として活躍しています。
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コナミのアーケードゲーム「クイズマジックアカデミー トーキョーグリモワール」ではイナリの従兄としてQMA12作「トーキョーグリモワール」から登場。
画境蛸マンジ戦後に突然姿を現し、眼力だけで暁の賢者の動きを封じた強者。
トーキョーグリモワールQMA(1) (バーズコミックス) [ 松原剛 ]
懐かしいところでは
忍者戦隊カクレンジャーでは 不死身の身体を持ち、どこまでも狙った相手を追いかける殺し屋として登場しています。
のっぺらぼうの繰り返し人を驚かすという特性から転じて、どこまでも追いかけるというキャラクターになったのではないでしょうか。
怪談・奇談 (角川文庫) [ ラフカディオ・ハーン(小泉八雲) ]
まとめ
古来から人を化かす妖怪として知られるむじな。
それほど悪い妖怪ではなく、人を驚かせる、いたずら好きな妖怪でした。
なんだかユーモアのあるのっぺらぼうの正体とされたのも、 むじなは人の身近にいて愛嬌のある妖怪だと思われていたのではないでしょうか。