ゲルマン神話最高の魔術神オーディンと女神フリッグの間に生まれたバルドル。光の神と称されるほどに美しい容姿に恵まれた彼は多くのものから愛され幸せに暮らしていました。
しかし人気者というものは必ずどこかで謂れのない妬みを買うもので、バルドルもまた不遇な運命を背負うこととなります。
今回はそんな運命に翻弄されるバルドルの生涯に迫ってみたいと思います。
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不完全な不死身の身体バルドル
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母フリッグはバルドルに不死身の身体を与えます、が…
偉大な両親を持ち、聡明かつ優美で何不自由なく生活を送っていたバルドルですが、ある日から死の悪夢を見るようになります。
息子の身を案じた母フリッグはゲルマン神話の9つの世界をまわって、すべての生物・無生物からバルドルに傷一つつけないことの約束をもらいます。
これによりバルドルはあらゆるものからダメージを受けない無敵の身体を手に入れたのです。ただひとつ約束されていなかったヤドリギを除いて…
ロキのイタズラで命を落とすバルドル
不死身となったバルドルは神々から盛大にお祝いを受けます。神々は不死身のバルドルに武器を投げつける遊びに興じます。けれど、どんな武器に突かれても平気なバルドルに不快感を覚えた悪神ロキはフリッグに探りを入れます。
フリッグからうまくヤドリギのことを聞いたロキはさっそくバルドルの兄弟である盲目のヘズに取り入り、言葉たくみにバルドルにヤドリギを投げさせます。
ヤドリギに身を貫かれたバルドルはあっけなくも命を落としてしまうのでした。
母の願いも虚しく復活を果たせず
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バルドルの死を嘆き悲しんだフリッグは、死の国の女王ヘルへ息子の復活を懇願します。そこでヘルが出した条件は全世界のものがバルドルのために泣くこと。
けれど、世界の殆どのものがバルドルのために涙を流しましたがロキだけが泣きませんでした。
こうしてバルドルの復活は果たせず、神々は哀しみと怒りからロキに対して蛇の猛毒を浴びせ続ける罰を与えました。
そしてラグナログが訪れます
光の神を失った世界には終末の日(ラグナロク)が訪れ、新たな大地が生まれるとともにバルドルは蘇ります。
不死身のまじないを受けたがゆえの彼の波瀾の一生はゲルマン神話世界の壮大さを物語っています。
戦士バルドル
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神という異名から創作では美しいキャラクターとして描かれることが多いバルドルですがゴッドオブウォーでは不死身の狂戦士というイメージで登場します。
母フレイヤがヤドリギの矢を恐れているのもゲルマン神話にのっとっていますね。
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ヤドリギ(ミストルティン)は私の好きなゲーム「ファイアーエムブレムシリーズ」で神器の剣として登場するのですが、このような遊びに興じているところをみると不慮の事故で神殺しの武器が生まれることは多かったのではないかと思ってしまいます(笑)
バルドル まとめ
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不死身の身体に対して槍を投げたりするあたり神々の遊びは常軌を逸していて面白いですね。
最近は人気アプリでゲルマン神話由来の名前がよく見られますので弱点武器などから神々のストーリーを調べてみてはいかがでしょうか。