知っているようで、意外に知らなかった、ギリシャ神話の神々の系譜のご紹介です。
オリンポスに住まう十二神と、それ以外、意外と知られていない神々も含め、太古の詩人たちによって言い伝えられる神々の全体像を辿ります。
日本人にとっても、日本の神々以上に身近な存在になっているような気さえする神々。
意外な一面に出会えるかも。
目次
オリュンポス十二神とギリシャ神話の神々
神々の饗宴
オリュンポス山はギリシャに実際に存在する霊峰。
そのオリュンポスの山頂に宮殿はあり、神々は常に催される饗宴の中で過ごします。
もてなされるのは不死を意味する神食・アムブロシアーと不老不死の霊薬となる神酒・ネクタール。
アムブロシアー
不死の効力を持つ神々の食物。
軟膏として使用して、アキレウスは不死身の肉体を手に入れ、デーメーテールはデーモポーンを不死の存在にしようとしています。
ネクタール
nek(死)+tar(打ち勝つ)の意味、神々が常飲する不老不死の霊力を持つ生命の酒。
アポロンの出産でテミスはレートーにアンブロシアとネクタルを与え、ヘルメスが子供の頃にいた洞窟にはアムブロシアーとネクタールが満たされていたと伝えられています。
オリュンポス十二神
オリュンポス十二神はオリュンポスの山頂に住まう男女6柱づつの神々。
神々の王、オリンポスの主神。父は巨神クロノス、母は巨人族のレア、大地の神ガイアの孫にあたります。 雷神、天空を司る神。その神々しさは人間が直視すると焼け死んでしまうほど。
ゼウスの妻であり、同じクロノスとレアから生まれた実の姉。嫉妬深くゼウスの愛人に過酷な罰を与えることも。
戦いの神、知恵と勇気を兼ね備えた女神。ゼウスの頭から生まれたアテナイの守護神。
太陽神。芸術、音楽、医療、予言の神。至高神ゼウスと女神レトとの間に生まれます。
美の女神、ビィーナス。オリンポスの神々の中でも最も美しいと讃えられます。巨神ウラノスから生まれたという説、至高神ゼウスと女神ディオーネとの間に生まれたという説があります。
戦いの神。ヘラとゼウスの間に生まれます。不和の女神エリスの兄、美の女神アフロディテと恋愛関係にあり、それが原因してか否か、多くの神に疎んじられた存在であったよう。
月と狩猟の女神。弓の名手として知られています。ポセイドンの息子オリオンを愛し、自らの手で殺してしまったという悲しい物語も有名です。
豊穣の女神。巨神クロノスと女神レアの娘。ゼウスやポセイドンの姉であり、ゼウスとの間には冥王ハデスの妻になるペルセポネ、ポセイドンとの間にも女神デスポイナと名馬アリオンが生まれます。
鍛治の匠の神。ゼウスとヘラの間に生まれます。けれど、容姿が醜いという理由で地上に投げ捨てられ、海の女神テティスによって育てられます。
発明や商業を司ります。至高神ゼウスと巨神アトラスの娘マイアとの間に生まれます。竪琴を作り、それをアポロンに譲ったことで親交が生まれたと伝えられています。
海を司る神。巨神クロノスと女神レアの間に生まれます。冥界の王ハデスの弟、至高神ゼウスの兄。
家庭団欒を守る神。母性本能に溢れ、永遠の純潔を保つ女神。巨神クロノスと女神レアの間に生まれた最初の子供。12神としては酒の神デュオニュソスに席を譲っています。
ヘスティアに変わって12神に入ることもあるバッカスとして知られる、酒、ぶどう酒の神。至高神ゼウスとテーパイの女王セメレの間に生まれます。
冥界の王にしてゼウス、ポセイドンの兄。オリュンポスの神々の中でもゼウス、ポセイドーンに次ぐ実力を持つとされ、一説には十二神のー神に入ることもあるとされています
冥王ハーデースの妻にして豊穣の神デーメーテールとゼウスの娘
オリュンポスの神々
オリュンポス十二神以外、ギリシャ神話の世界には多くの神が存在します。
ゼウスの子
主神ゼウスは多くの女神やニンフ、人間の女性と交わったことで知られています。
そのゼウスの最初の妻は知恵の女神メーティス。
ゼウスは最初の子供が自らの地位を脅かす存在になるという予言を恐れ、メーティスが妊娠すると女神を飲み込んでしまいます。それによってメーティスの智慧はゼウスに受け継がれ、ゼウスの第一の娘アテナはゼウスの頭部から武装して生まれたと伝えられています。
正妻ヘーラーとの間にはアレース以外にも、出産の女神エイレイテュイア、青春の女神ヘーベーが生まれます
豊穣の女神デーメーテールの愛娘・冥府の女王ペルセポネーもゼウスの子。
美の女神アプロディーテーはティーターン族のディオーネーとの子、アルテミスとアポローンはティーターンのレートー、ヘルメスはティーターンのアトラースの娘マイア、ディオニューソスは人間の娘セメレーとの間に生まれます。
掟の女神テミスとは、ホーライ三女神とモイライ三女神をもうけ、オーケアノスとテーテュースの娘エウリュノメーとのあいだに優美を司るカリテス三女神、記憶の女神ムネーモシュネーとは芸術の女神達ムーサイをもうけています。
十二神の子
ゼウスを例外としてそれ以外のオリュンポスの神々は、子供は少ないか子をもうけない神もいます。
その中で海神ポセイドーンには海の女神アンピトリーテーとのあいだに海神トリートーン、海の女神ベンテシキューメー、ヘーリオスの妻ロデーが生まれます。
美の女神アプロディーテーは軍神アレースとのあいだに、恐怖を司るデイモスと調和を司るハルモニア、敗走を意味するポボス兄弟をもうけます。
アポローンには神となった子いませんが、彼の子吟遊詩人のオルペウスや優れた医術を持ったアスクレーピオスが死後に神となっています。
巨人族
巨人族ティーターンの子孫たちも、オリュンポスの神々として語り継がれています。
太陽神ヒュペリーオーンとテイアーの子、暁の女神エーオースは星神アストライオスとのあいだに、三柱のアネモイ(西風ゼピュロス、南風ノトス、北風ボレアース)とすべての星々を生んでいます。エーオースの姉兄には月の女神セレーネーと太陽神ヘーリオス。
アテーナーに寄り添う勝利を司るニーケーもティーターンの一柱。
ティーターンのイーアペトスの子アトラースは、ティーターノマキアーの敗北の責任を負い、天空を支え続けるという苦役に耐えています。
兄弟のプロメーテウスはゼウスを欺き人間に火を与えた罪で、ヘーラクレースに解放されるまで、生きたまま鷲に肝臓を食われるという罰を受けていました。
原初神
原初の神とされる愛神エロースの出生についてはいくつかの説があります。アプロディーテーとアレースの子、ゼウスとへーラーの娘エイレイテュイアの子である、西風ゼピュロスとエーオースの子、ゼウスの子であるとも伝えられています。
原初の海神ポントスとその息子の海の老人ネーレウスとティーターンの海神オーケアノスの娘ドーリスの娘たちは多くのネーレーイデスとなっています。ポセイドンの妻アムピトリーテー、海のニュンペーガラテア、女神ディオーネー、アキュレスの母テティスもそのひとり。
神々の伝令使・虹の女神イーリスもポントスの末裔です。
同じ原初神で夜を司るニュクスは多くの神を生んだことでも知られています。暗黒の神エレボスとの間には光の神・アイテル、昼の女神・ヘメラ、冥府の渡し守・カロン。その他、死の神・タナトス、定業の神・モロス、復讐の女神・ネメシス、欺瞞の女神・アパテー、愛欲の女神・ピロテース、眠りの神・ヒュプノス、争いの女神・エリス、運命の女神三姉妹・モイライなどが生まれています。
オリュンポス十二神とギリシャ神話の神々 まとめ
ギリシャ神話の神々、とにかく沢山の神様がいるのだなぁ〜、っと今更ながら驚きます。
まあ、日本でも「八百万の神(やおよろず)」、つまり神様は800万もいると表現されますし、人間を支配するにはそれくらいの数が必要なのかもしれませんが。