世の中には子供を溺愛する母は数多くいます。
教育ママ、ステージママ、モンスターペアレント。
子供に夢を託したい気持ちはわかります。
けど、神々の中にもそんな母親はいるようで。
そんな部類に属するのではないかと思われるのが、かの英雄アキレウスの母、テティス。
アキレウスがマザコンとは思えませんが。。。
して、その母テティスとは?
目次
テティス、ギリシャ神話最高の戦士を生んだネレイデス
テティスとは
テティス(Thetis)は海のニンフ、あるいは女神。
古代の海神ネレウスとオケアニデスのドリスの間に生まれたネレイドの一人。
一説にはケンタウロスの賢者ケイロンの娘。
ホメロスの『イーリアス』などではヘラのもとで育ったとされています。
テティスは美しく慈悲深い女性であることで知られています。
ゼウスとポセイドンから求婚され、窮地のゼウスを助け、ヘパイストスを育てたのもテティスでした。
テッサリアの王・英雄ペレウスと結婚。
ホメロスの『イーリアス』や叙事詩『キュプリア』では2人の結婚がトロイア戦争の発端を作ったことが語られています。
ペレウスとの間にギリシャ神話最高の戦士アキレウスを出産。
『イーリアス』では息子に尽力する母として、アキレウスの生涯に大きく影響したことが語られています
テティスの能力と起源
テティスは一般的には海のニンフとされますが、古代ギリシャでは最古の神々の一柱。
紀元前 7世紀頃の抒情詩人『アルクマンの賛美歌』ではテティスが宇宙の創造主であるとされます。
テティスはあらゆるものに変身する能力を持ちます。
予言の才能に長け、オリュムポスの神々とも密接な関係を築いていました。
神々の救済者テティス
テティスとヘパイストス
生まれてまもないヘパイストスは母のヘラによって天から海に捨てられています。
この時ヘパイストスを助けたのがテティスとオケアノスとテテュスの娘オケアニデスのエウリュノメー。
二人はヘパイストスを9年の間、火山島レムノス(あるいは海底)に住まわせます。
その間、鍛冶の神・ヘパイストスは彼らのために洞窟で多くの宝飾を作り、オケアノス川はせせらぎで彼を匿ったとされます
テティスとディオニュソス
ディオニュソスがトラキアを訪れた際、残忍な王リュクルゴスはニュセイオンの山でディオニュソスの乳母を襲い、女たちを撲殺、ディオニュソスを脅します。
ディオニュソスは海に逃げ込んだところをテティスに助けられています。
テティスの生涯
テティスの結婚
美しいテティスにポセイドンもゼウスも結婚を望みます。
けれど法の神・テミスが「テティスは父親よりも偉大な子供を生む定めにある」と予言。
そしてゼウスに、人間と結婚させ、子供は戦場で戦死させるのが良いと助言。
英雄ペレウスとの結婚を勧めます。
母のテミスから予言の能力を受け継いだプロメテウス(あるいは海の老人プロテウス)も「生まれてきた子が天の支配者となる」と予言。
ゼウスもポセイドンもテティスとの結婚を断念。
そして、テティスには人間のプティーアの王ペレウスに嫁ぐよう画策します。
けれどテティスはそれを拒否。
この時、海神・プロテウスは、先にペレウスにテティスが姿を変えて逃げないようにしっかりと縛るように助言しています。
結婚を拒むテティスは姿を変え、炎、水、雌ライオン、蛇になって逃げようとしますが、あえなくペレウスに捉えられ、結婚を承諾します。
トロイア戦争のきっかけになった婚礼
婚礼には争いの神エリスを除く全ての神々が参列しました。
けれどだだひとり招かれなかったエリスは怒り、宴席に「最も美しい女神にあたえる」として黄金の林檎を投げ入れます。
これが女神ヘラ、アテナ、アプロディーテーの争いの元となり、トロイア戦争にまで発展してしまいます。
結婚式はケイロンの洞窟の外にあるペーリオン山で行われ、アポロンは竪琴を弾き、ムーサイたちが美しい奏でに合わせ踊り、歌います。
神々も祝福に訪れ、さまざまな贈り物をしています。
ゼウスはアルケーの翼、ケイロンはトネリコの槍、ポセイドンは馬のクサントスとバリオスを贈ります。
それらはその後アキレウスに譲られています。
また、アフロディーテはエロースが施された鉢、ヘラはクラミス(外套)、アテナはフルート、ネレウスは、過食・食欲・消化に効能を持つ「神の塩」を贈っています。
只一人招かれなかった災の神・エリスが投げ入れた黄金の林檎は、それに相応しいと主張する三柱ヘラ、アテナ、アプロディーテーの争いに発展。
ゼウスはイーリオス王プリアモスの息子パリスに判定を委ねます(パリスの審判)。
女神たちはそれぞれに贈り物を約束。
「最も美しい女を与える」としたアプロディーテーが勝利します。
「最も美しい女」とはスパルタ王メネラーオスの妻・ヘレネーをさし、これがギリシアのトロイア戦争の原因となってしまいます。
アルケーの翼
アルケーは太原初の海神ポントスとガイアの子・海神タウマスの子、虹の女神イリスの妹です。
ティタノマキアの際、オリンポス陣から逃げ、ティターンに加わりました。
終戦後、ゼウスはアルケーの翼を切り落とし、アルケーをティータンと共にタルタロスに幽閉しています。
アキレウスの誕生
結婚後テティスはペレウスとの間に多くの子供を出産。
我が子が不死でないことを嘆くテティスは、その度にその子の不死性を確かめるため、水の満ちた大釜に沈め、溺死させています。
こうしてペレウスが阻むまで多く子が亡くなり、唯一生き残った子が後のアキレウスとなります。
またテティスは生き残ったアキレウスに不死を与えようとします。
ローマの詩人スタティウスの叙事詩『アキレイス』では、アキレスを冥界に流れるステュクス川に浸します。
この時、テティスが掴んでいたかかとだけが川の水に浸されず、アキレウスの弱点となってしまいます。
ヘレニズム時代の詩人・アポロニオスの『アルゴナウティカ』では、テティスは夜にはアキレウスの死すべき運命(人間の部分)を火で焼き払い、昼はアンブロシア(天界の不死になる食物)を赤子に塗り与えます。
けれど、夜に赤子が焼かれる光景を目撃したペレウスは驚いてテティスを阻止。
テティスはアキレウスと夫のもとを去り、海に帰ってゆきます。
その後アキレウスはケンタウロスの賢者ケイロンのもとに預けられ、養育されます。
アキレスとオデュッセウスの出会い
トロイアとアカイアとの戦争(トロイア戦争)が始まろうとする時、テティスは戦争に参戦すればアキレウスは死ぬことを予知します。
そこで、アキレウスに女装させ、スキュロス島のリュコメデス王に女として育てるよう託します。
アカイア軍の総大将アガメムノンの司祭カルカスは、陣営にこの偉大な戦士が必要であることを予言。
アガメムノンはアキレウスに参戦するようオデュッセウスを使わします。
スキュロス島に着いたオデュッセウスは、宮廷の少女の1人が女性でないことに気づき、アキレウスであるかを確かめるため画策します。
商人に扮し、装飾品の中に武具を混ぜ、攻撃を受けているという警報を鳴らします。
幼いアキレスは本能的に武器や鎧を求めて姿を現してしまいます。
こうしてアキレウスはオデュッセウスの思惑通り、戦争に参戦することになります。
トロイア戦争でのアキレウスとテティス
戦の最中、アキレウスの鎧をつけた親友パトロクロスが戦死。
テティスは悲しむアキレウスを訪れます。
テティスは報復を望むアキレウスに、ヘパイストスが作った鎧を持って戻ってくるまで戦わぬよう告げます。
その間、アキレウスは神々の使者イリスの訪問を受け、戦いに戻るよう告げられます。
けれどテティスが戻ってくるまで待つとこれを拒否。
ヘパイストスはアキレウスのために盾、胸当て、兜、すね当てを製造。
テティスがそれを持って戻ります。
そしてパトロクロスの遺体の腐敗を気遣うアキレウスのためにアンブロシアとネクターを彼の鼻に置きます。
アキレスはパトロクロスを負かしたヘクトールと戦い、圧倒的な強さで勝利。
ヘクトールの遺体を切断し、辱めます。
けれど神々はテティスに、ヘクトールの遺体を返還するようアキレウスに告げるよう命じます。
テティスはアキレスを説得し、神々の怒りを逃れています。
テティス 現代では妖魔・聖闘士・戦士として活躍
『聖闘士星矢』ではマーメイドのテティス。女性聖闘士で、人魚姫の海闘士(マリーナ)。最も戦闘力が高い味方の支援を得意とするサポーター。
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『美少女戦士セーラームーン』のテティスはジェダイトのために作戦を提案し、遂行に協力したクイン・ベリル直属の妖魔。
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『ロードオブヴァーミリオン』 のテティス、種族は海種。移動速度を減少させる"カウンターウィークAS"を持つ軽量アタッカーです。
テティス まとめ
個人的にはアキレウスといえば、映画『トロイ』の中でのブラピ・アキレウスとヘクトールとの戦いをイメージします。
ブラピ・アキレウス、美しく強かったぁ〜
絶対、マザコンには見えないです。
で、本題に入ります。
一説には死後に不死となったアキレウスはトロイア戦争の原因になったヘレネーと結婚したとも伝えられています。
そしてその住居はテティスが二人に用意したとか。
テティス、親バカなのは間違いないようで。。。。