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ハデス、冥界の王。悪役キャラのハデスってホントに悪者?

更新日:

「ペルセポーネの略奪」ウルピアーノチェコ作

ギリシャ神話を題材にした作品では、ほぼ悪役である冥府の王・ハデス。

そのため、「ハデス=悪者」という等式がある方も多いはず。

けれど、なぜ悪者?っと考えれば、そんな残忍なハデスのエピソードなんて浮かばない。

なので、今回は冥王・ハデスをピックアップ!

意外なハデスの素顔が見えてくるかもしれません

 

 

ハデス 、冥界の王。実は、純情だったり大らかだったりする? 

シャルル・ジョセフ・ナトワール作

ハデスは、ティーターンの長クロノスティーターンの豊穣の女神レアの息子として生まれます。

ハデスは長男、海神・ポセイドン、天空神・ゼウスの兄であり、冥府の王

作物が地中から芽を出すことから豊穣神としても崇められています。

被ると姿が見えなくなる「隠れ兜」と二叉の槍バイデントを武器とし、妻ペルセポネーの略奪については有名なエピソードとなっています。

 

ティータノマキアでクロノスに勝利した後、弟たちとくじ引きでそれぞれの担当する地域を決め、ハデスは死者の国である冥府を治めることになります。

冥府に住むため、オリンポス十二神の中には数えられていません。

 

冥界の王、ハデス

ハーデースはプルートーあるいはプルートーン(プルートー)の名でも知られています

富の王・富める者」を意味するプルートーンの名は、

  • 地下の鉱物資源の守護神として地中にある財宝の全てを知る者
  • 地中より植物を芽生えさせる者
  • 一度来れば帰ることない死者を統率する者

を統括したものと解釈されます。

 

ハデスは死者の帰還を許さない恐ろしい神と解釈されていますが、死者を裁き、冥界を統治する正義を重んじる神

その下には

  • ミーノース ゼウスと古代都市テュロスの王アゲーノールの娘エウローペーの子。エーゲ海を支配したクレータ島の王であり、ミノタウロスの父
  • ラダマンテュス 大神ゼウスとエウローペーの子、ミーノースの兄弟
  • アイアコス アイギナ島の王、ゼウスと河神アーソーポスとメトーペーの娘の子アイギーナの子。アキレウスに率いられてトロイア戦争に参加したミュルミドーン人の祖

以上の三人の判官が仕え、ヒュプノス(眠り)、モルペウス(夢)、タナトス(死)も冥界の住人とされます。

 

 ギリシャ神話の冥界とは 

『ステュクス川を渡るカロン」ヨアヒム・パティニール作

ハデスの支配する冥界(死者の国)の所在は、ホメロス(紀元前8世紀)は極西、オーケアノスの彼方にあるとされています。

その後ギリシア各地にある洞窟が入口となる、地下に存在すると考えられるようになります

冥界には七重に取り巻いて流れるステュクスというオーケアノスの支流があり、生者と死者の領域を分けています

ステュクスの支流には

  • 「火の川」プレゲトーン、
  • 「忘却の川」レーテー、
  • 「悲嘆の川」コーキュートス、
  • 「苦悩の川」アケローンがあり、

渡し守カローンが死者の魂を冥界へと運びます

冥界に着いた死者はアスポデロス〔不凋花〕の咲く野にさまよい、神の恩寵を得た者はエーリュシオンに、神々に敵対するものはタルタロスに幽閉されます

 



ハデスとペルセポネ

シモーネ・ピニョーニ作

ハデスにまつわる神話で有名なものが、妻・ペルセポネの略奪。

冥界のハデスはある日、大地の割れ目から地上を見上げ、ニュンペー達と花を摘むペルセポネーを見つけます。

その時、エロースの矢に射たれ、ハデスはペルセポネーに恋をします

ハデスはペルセポネーの父ゼウスにその想いを打ち明け、ゼウスは母デーメーテールの意見も聞かず結婚を承諾。

ハデスは水仙の花を使ってペルセポネーを誘い出し、大地を引き裂き、そのままペルセポネーを地下の国へさらって行ってしまいます。

ペルセポネーが行方知れずになったことを嘆き、狼狽るデーメーテールは、太陽神ヘリオスからハデスがペルセポネーを冥界へと連れ去ったことを知らされます

デーメーテールは主神でありペルセポーネの父ゼウスに抗議しますが、「ハデスなら夫として不釣合いではない」とゼウスは容認。

デーメーテールは娘の略奪をゼウスが認めていることに怒り、娘を取り戻すため老女の姿となって娘の行方を探ります。

豊穣の女神であるデーメーテールがオリュンポスを去ったため、地上は凶作の不幸に見舞われます。そのためゼウスはデーメーテールにペルセポネーの帰還を約束、娘は無事母の元に帰ります

けれど、ペルセポネーは冥界になるザクロの実を食べてしまっていたため、食べてしまった数だけ冥界で暮らすことになってしまいます。

 

 メンテーとレウケー 

奔放なギリシャ神話の神々の中で硬派のハデスですが、いくつかの恋話はあるようです。

メンテー

メンテーは「嘆きの川」コキュートス川のニュムペー。ハデスはメンテーの美しさに魅了されてしまいます。

それに気付いたペルセポネーは嫉妬し、「お前などくだらない雑草になってしまえ」とメンテーに恐ろしい呪いをかけ、草に変えてしまいます。

この草はミント。ハデスの神殿の庭で、地上においても、陽光を浴び、芳しい芳香を放ち、今もその存在を慎ましく知らせています

 

レウケー

レウケーは地下水の女神オケアニデスのひとり。

レウケーもまたハデスに見初められて、冥界に連れてこられます。

けれど、レウケーは完全な不死の神ではなかったために死んでしまいます

レウケーの死を悲しんだハデスは女神を白ポプラに変えます。

以来、白ポプラとなったレウケーはエーリュシオンに繁っていると伝えられています。

 

その他の神話の中のハデス

フランソワ・ペリエ作

ハデス の「隠れ兜」

ハデスは自らが所有する神器「隠れ兜」を幾度か神々の武器として貸し与えています。

ゼウスが父であるクロノスに戦いを挑んだティーターノマキアーでは、「隠れ兜」をゼウスに与え、自身も味方として共闘。

巨人族との最終決戦ギガントマキアではヘルメスに、メデューサ退治の際にはペルセウスにも貸し与え神々を助けています

アスクレーピオス

アポロンとラピテース族の王プレギュアースの娘コローニスの子アスクレーピオスは医術の技に熟練し、死者を生き返らせることができるようにまでなります

けれど、この時、ハデスは死者の蘇りを “世界の秩序を乱す”とゼウスに抗議しています。

ヘラクレスの12の功業

ヘラクレスの功業の最後はケルベロスの捕獲。ケルベロスはハデスに仕える地獄の番犬。

へラクレスがケルベロスの捕獲のため冥界を訪れた際、ハデスは「傷つけたり殺したりしない」という条件で地上に連れて行くのを許しています

オルペウス

吟遊詩人オルペウスは毒蛇に噛まれ、妻エウリュディケーを失っています。オルペウスは妻を取り戻すために冥界に旅立ちます。

彼の弾く竪琴の哀切な音色の前に、ステュクスの渡し守カローン、冥界の番犬ケルベロスもおとなしく聞き入ります。

ついに冥界の王ハデスとその妃ペルセポネーに謁見が許され、王座の前に立ちます。

そして、竪琴を奏で、エウリュディケーの返還を求めます

ハデスは、「冥界から抜け出すまでの間、決して後ろを振り返ってはならない」という条件でエウリュディケーの帰還を許します。


 

ハデス 、おっさんから美少女にまで、何でもなっちゃうよ!

1997年に公開されたディズニーのアニメ映画『ヘラクレス』では、典型的な悪役です。オリンポスの支配者であるゼウスを倒し、乗っ取る野望を抱いています。

キングダムハーツソラ、ドナルド、グーフィーの3人は「心を戻す鍵」を探すために、再び様々なディズニーのワールドを駆け巡ります。冥王ハデスもマレフィセントやピートと共に悪役キャラで活躍?!

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無双OROCHI3 Ultimate」のハデスは冥府を司る神。ゼウスの兄。鷹揚な性格で、包容力があり、神だけでなく人間にも気さくに接する、外見も中身もイケメン。

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美少女戦士セーラームーンでは、ハデスの別名であるプルートから発想を得た、セーラープルート(冥王せつな)が登場しています。忍耐強く、厳しさと優しさをあわせ持つ大人の女性として描かれています。

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ハデス  まとめ

ピーテル・パウル・ルーベンス作

 

冥界の王・ハデス 、なんか、思った以上に、気前がよく、すっごく硬派で一途、女性に優しい善良な神、ですっ!

略奪されたとはいえ、ペルセポーネも、ミントになったメンテー、白ポプラになってエリュシオンにしげるレウケーも、こんなふうに愛されて幸せだろなっと思えます。

ギリシャ神話の中で見るハデス 、善良すぎる(?)、冥界の王、です。

 

 

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