ギリシャ神話に登場する海神といえば、誰を思い浮かべますか?
いちばん有名なのは、もちろんポセイドンでしょうが、中には「オケアノス」を想像する方もいるはず。
今回は、ポセイドンより古い、ギリシャ神話初期の海神にして世界の果てを意味するオケアノスについてのご紹介です。
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目次
多くの河の女神の父にして、最果ての海神・オケアノス
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オケアノスは、ギリシャ神話に登場する大海と海流をつかさどる神です。
原初の天空神・ウラノスと地母神・ガイアの息子であり、大洋を神格化した存在。
巨神族・ティターン族のいちばん上の兄で総領的な存在でもあります。
妹のテテュスを妻とし、彼女との間に世界の全ての河神(ポタモイと呼ばれる男神)と、オケアニスと呼ばれる3000に及ぶ海・河・泉の女神をもうけ、あらゆる水の水源となりました。
オケアノスの娘たちオケアニス
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- ステュクス ー オリンポスの神々とティターン族が戦ったティーターノマキアーの際にオリンポス側に寝返り、ゼウスに特別な権限を与えられた
- カリュプソ ー 英雄・オデュッセウスと恋に落ちたものの捨てられた
- ドリス ー 海神・ネレウスの妻
- ペルセイス ー 太陽神・ヘリオスの妻にして大魔女・キルケーや怪物・ミノタウロスを生んだパーシパエの母
- メティス ー ゼウスの最初の妻であり女神・アテナを生んだ
などがいます。
海の神になった、地の果て・河の神
オケアノスは当初、河の神とされていましたが、考え方の誤解の元、海神となったという経緯があります。
というのも、古代ギリシャの人々は、世界は円盤状になっており、ヨーロッパやアフリカ、アジアなどの大陸を囲むようにして大河が流れていると考えていました。
その大河とはすなわち大西洋であり、オケアノスと呼ばれていました。こうして、本来なら河の神であったのに、古代ギリシャの人々の河と海の考えの誤解のために、オケアノスは海神となったのです。
また、オケアノスは世界のいちばん外周に位置するため、ギリシャ神話において、世界の果てを意味する言葉としても使われました。
ちなみに、オケアノスの果てにあるのが死後の楽園・エリュシオンです。
平和を愛する神オケアノス
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オケアノスは争いを避ける性格で、ティーターノマキアーでは末の弟クロノスが父ウーラノスを倒そうと策を練っていた時にもこれに加わらず、ティターン族の中で唯一中立を保ちます。
そのため、戦いが終わった後、他のティターン族のように奈落・タルタロスに閉じ込められず、自身の地位を守ったといいます。
また、娘のステュクスにゼウスに降伏するように勧め、そのおかげでステュクスはゼウスから神々を罰することができる特別な権限を与えられました。
また、オケアノスは妻のテテュスと共に幼かったヘラを養育しました。
その縁でか、後にヘラがゼウスの妻となった後、ゼウスの愛人・カリストがおおぐま座となって天に召し上げられた際、それが気に入らないヘラはオケアノスとテテュスの元を訪れ、彼女が海に入って休むことができないように頼み込んだといいます。
ちなみに、英語で大洋を意味する「Ocean」という単語はオケアノスが語源となっています。
オケアノス、本人より、〈最果ての場所〉としての登場が多め
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ゲーム「グランブルーファンタジー」では、召喚石として登場。本作では銀髪の美しい少女の姿をしており、奔放な最果ての女神として表されています。
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ゲーム「Fate/GrandOrder」では、第1部第3章「封鎖終局四海オケアノス」の舞台、また、ギリシャの大魔女・キルケーの真名を隠す際に仮名として「オケアノスのキャスター」が使用されました。
オケアノス まとめ
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争いを嫌い、中立を保ったからこそその地位を保ち、全ての海の父であり続けたオケアノス。
ヘラクレスに敗れたネレウスや敗北エピソードが目立つポセイドンなど、他の男の海神と比べると特異な存在なのかもしれません。
by 佐倉ハル