
紀元前4世紀
ポタモイ(ポタモス)はギリシャ神話の河神。
父は海神(外洋)オケアノス、姉妹は海のニンフ・オケアニス、娘たちは泉のニンフ・ナイアス。
泉が川となって、大海になる、その擬人化と理解できます。
3000(数えきれないの意味)といわれる兄弟は、ギリシャのそれぞれの河の権化として崇められ、それぞれのポタモイが多くの神々との関わりを語られています。
目次
ポタモイ(ポタモス)、海のニンフ・オケアニスの兄妹で川のニンフ・ナイアスの父

バルトロメウス・シュプランガー作 「アケローオスとデーイアネイラ」
ポタモイ(ポタモス)とは
ポタモイ(potamoí)はギリシア・ローマ神話の河川の神たち。
単数形はポタモス(Potamos)。
ティータン族の海神・オケアノスとテテュスの息子たちで、姉妹は海のニンフ・オケアニス。
3000の兄弟がいる(数えきれないの意味)とされるポタモイはギリシャ各地や冥界を流れるの無数の川の擬人化、それぞれの河に宿る男神です。
娘は川や湖、泉のニンフ・ナイアス。
川(水)は生活に欠かせない資源であることから、河神はしばしば都市の始祖や王家のルーツとして崇められています。
アルゴス地方を流れるイーナコスの河神イナコスや、スカマンドロス、ペネイオスなど、同地の王家の始祖とされます。
容姿
ポタモイは、主に3種類の姿で描かれています。
⚫︎水が溢れ出しているアンフォラ(壺)に腕を載せた男神
しばしば雄牛と結び付けられ、雄牛の角を持った姿も多く描かれています。
⚫︎上半身は牛の頭をもった人間の男性で、下半身はヘビのような細長い尾をもつ魚の姿
⚫︎上半身は人間の頭を持った雄牛で、下半身はヘビのような細長い尾をもつ魚の姿
主なポタモス

ニコラ・プッサン作 『娘ダプネーの変身を嘆くペーネイオス」
◾️ アケローン
冥界の河・アケローンの河神。
冥界のニュムペー・オルプネー、あるいは冥界の河の女神・ステュクスとの間にアスカラポスをもうけます。
アスカラポスはハデスにさらわれたペルセポネーが冥界の果物・ザクロを食べるのを目撃し、証言。
このためペルセポネーは1年の3分の1を冥界で暮らさなければならなくなり、怒ったデメテルに大岩の下に閉じ込められてしまいます。
後にヘラクレスに助けられますが、デメテルはさらにアスカラポスを不吉な鳥ミミズクに変えてしまいます。
◾️ アケロオス
ギリシャ最大の川であるアケロオス川の河神。
姿を変えることができ、雄牛の姿になって、後にヘラクレスの妻となって彼を死に追いやったデイアネイラと結婚する権利を争ってヘラクレスと格闘し、敗れています。
◾️ アルフェウス

カルロ・マラッタ作「アルフェウスとアレトゥーサ」(7世紀)
アルフェウスはヘラクレスの5番目の功業で、アウゲイアスの厩舎の汚物を洗い流すためにヘラクレスが流れを変え、一日でそれを成し遂げた川。
ある時、美しいニンフのアレトゥーサが水浴びしている姿に恋焦がれ、シチリア島シラクサまで追いかけていきます。
女神アルテミスは彼女を井戸に変え、その井戸は地の下を流れてオルティギア島に至ります。
アルフェウス川は地下に潜り、アルテミスの聖地オルティギア島の近くのシラクサ近郊の湾に現れます。
◾️ アソポス
多くのナイアデスの父。
ゼウスはアソボスの娘でアイギナ島のニンフ・アイギナを連れ去ります。
それを目撃したシシュポス(後にタルタロスへ堕とされた)は、シシュポスの町コリントスに常に水が湧き出る泉を作ってくれるならアイギナを誘拐した人物の正体を明かすと告げます。
そこでアソプスはコリントスに泉を作り、ゼウスを追いかけますが、ゼウスの雷霆を恐れて退却。
アイギナはゼウスの子、後にアルゴナウタイの英雄・ペレウス(アキレウスの父)とテラモンの父となったアイアコスを生みます。
◾️ イナコス
イナコスはアルゴスの初代国王であり、アルゴス王朝の祖。
多くの子を生み、その中には英雄ペルセウス、テーベの創始者・カドモス、ヘラクレス、クレタ島の王・ミノス、ディオニュソス、リビアの王・ダナウスなどの祖母となったイオ、ポセイドンの愛人となったアミュモネなどがいます。
◾️ ペネイオス
ペネイオスはピンドス山の麓から流れ出るテッサリアの川の神。
ペネイオスもまた多くの子の父となっています。
その中のひとり、ダフネはエロースが射った矢でダフネに焦がれるアポロンから逃れるために月桂樹に変身。
スティルベはアポロンとの間に、ケンタウロスの祖先であるケンタウロスと、ラピタイ族の祖先であるラピトスの双子の息子を産んでいます。
◾️ スカマンドロス

ヨハン・バルタザール・プロブスト作『アキレウスと戦うスカマンドロス』
スカマンドロスは、トロイア戦争でトロイア側に立って戦った戦士。
アキレウスが大量のトロイア人の死体で自分の水域を汚染したことに憤慨。
堤防を氾濫させ、アキレウスを溺死寸前に追い込んでいます。
◾️ ケブレーン
ケブレーンの娘、アステロペーはトロイアが滅びる予言したアイサコスと、オイノーネーはトロイアの王子で羊飼いであった頃のパリスと結婚しています。
ポタモイ(ポタモス) まとめ

ベルナール・ピカール 作 『アルペイオスとニンフのアレトゥーサ 』
ポタモイ(ポタモス)、河神たちも自らのエピソードは少ないとはいうものの、娘・ナイアスをとおして多くの英雄や神を生み、様々な神々との関わりを持ちます。
季節や方位によって違う風の神、概念によって変わる時間の神、そしてそれぞれの川を支配する河神・ポタモイ。
ギリシャでは神話が深く人間の生活に関わっていたことが推測されます。
