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ペルセポネー(プロセルピナ)ハデスの妻、豊穣と春と死の女神

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ペルセポネーはデーメーテールの娘、冥王ハデスに略奪婚され、冥界の女王として君臨することになる豊穣と春を司る女神。

母に、夫に溺愛される、羨ましいような女神様です。

けれど、乙女な反面、死神であったり、嫉妬深かったり、多分にダークなイメージも目立つペルセポネー。

はてさて、ペルセポネーという女神様の素顔とは?

 

 

ペルセポネー、乙女(コレー)な冥界の女王?

ペルセポネーは主神ゼウスと豊穣の女神デーメーテールの娘。「乙女」を意味するコレーとも呼ばれます。

冥王ハデスに略奪され、冥界の女王として君臨することになります

ギリシャ神話でのペルセポネーは生と死との間を廻る大地の女神としても崇められています。

ローマ神話ではプロセルピナ(Proserpina)、冥界の王プルートーに誘拐されて妻となったユーピテルとケレースの娘、春をもたらす農耕の女神です

 

ペルセポネーの略奪

レンブラント・ハルメンソーン・ファン・レイン作

ペルセポネー(コレー)は、アテナアルテミスのように永遠の処女神であろうとします。

それを快く思わないアプロディーテーエロースの矢で冥界の王ハデスを射ることを画策します。

ニューサの野原でニュムペー達と花を摘んでいたペルセポネーは一際美しく咲く水仙の花を摘もうとニュムペー達から離れます。

その瞬間、大地が裂け、黒い馬に乗ったハデスが現れ、ペルセポネーは冥界に連れ去られてしまいます。

母デーメーテールは娘がいなくなったことに気づき、娘を探して地上を巡り歩きます。

10日後ヘカテーと出会って、ペルセポネーが誘拐されたことを聞きます。

その詳細を知る太陽神ヘリオスから、ハデスがペルセポネーを連れ去ったことを知らされます。

デーメーテールはゼウスに抗議しますが、父である主神は「ハデスであれば夫として不釣合いではない」と返答。これに激怒したデーメーテールはオリュンポスを離れ、地上に姿を隠します。

 

** 四季の誕生 **

フレデリック・レイトン作

豊穣神であるデーメーテールが天界を離れたことで地上では凶作が続き、困った神々はペルセポーネの帰還を決めます

ゼウスがヘルメスを遣わし、ハデスにペルセポネーを解放するよう伝えます。

けれど、ペルセポーネは冥界の食べ物であるザクロの実12粒のうちの4粒(または6粒)を食べてしまっていました

冥界の食べ物を食べた者は、冥界に属するという神々の取り決めがあり、定めによってペルセポネーは冥界に属さなければならないのです。

ヘスティアが12粒のうち4粒を口にしたことから一年のうち1/3を冥土で過ごすという和解案を提案、ゼウスがそれを認めます。

そして、ペルセポネーは食べてしまったザクロの数だけ冥府で暮らす(1年のうちの1/3(または1/2)を冥府で過ごす)冥府の王妃としてハデスと結婚。

デーメーテールは、娘が冥界に居る時期は寂しさのあまり、地上に実りをもたらすのを止めるようになってしまいます。これが冬の始まり。

反対に、ペルセポネーが地上に戻る時期は、豊穣の神の喜びが地上に満ち溢春という季節の始まり

その原因となり、天界に戻るペルセポネーは春の女神となったと伝えられています。

 

ちなみに、ペルセポネとハデスは円満な夫婦生活を送っています。ただし、生命が生まれない冥府では子どもは産まれないため、ふたりの間にも子は誕生していません。

 

なお、春の乙女座はペルセポネーを表しているとも言われます。

 

ペルセポネーの嫉妬

フランソワ・ペリエ作

** メンテー(ミント) **

コキュートス(嘆きの川)のニュムペー、メンテーとの物語は幾つかのストーリーが言い伝えられています。

  • メンテーの美しさに魅了されたことに嫉妬したペルセポネーが呪い、「お前などくだらない雑草になってしまえ」と雑草に変えて踏みつけた
  • メンテーはペルセポネー以前にハデスが愛したニュンペー。けれどハデスは後にペルセポネーを冥府に連れ帰ります。メンテーは嫉妬に狂ってペルセポネーに怒りや不満の言葉を浴びせ、それに母デーメーテール(あるいはペルセポネー)が怒り、メンテーはデーメーテール(あるいはペルセポネー)に踏みつぶされて雑草のミントになった
  • メンテーは冥府の王ハデスに攫われようとしていたニュンペー。自らも攫われて妻となったペルセポネーがそれに気付き、香りの良い小さな草に変えて茂みへ隠し、ハデスから隠した

などなど。

** アドーニス(アネモネ) **

ヴィーナスとアドニス」 ティツィアーノ・ヴェチェッリオ作

アッシリア王キニュラースの娘ミュラー(スミュルナ)が父王を愛し、その結果生まれたはアッシリア王娘ミュラーが父との間に産んだ子。

このアドニスの養育を、アプロディーテーはペルセポネーに委ねます。

けれど、アドニスの美しさに魅了され、アプロディーテーとペルセポネーもアドニスを愛するようになります

2柱の女神は争い、ゼウスは1年の1/3をそれぞれアプロディーテー、ペルセポネーと暮らし、残る1/3をアドニスが好きなように使うよう定めます。

けれどアドニスは自分の時間を全てもアプロディーテーと共に過ごすよう望みます

これを知ったペルセポネーは嫉妬に狂い、アプロディーテーの愛人アレスをけしかけアドニスの殺害を計画

アレスは獰猛な猪に変身し、アドニスを殺害、流れたアドニスの血からアネモネの花が咲きます。

 

太古の神、ペルセポネー

『プロセルピナ』ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ作

ペルセポネーは、ギリシア・ローマ神話以前から存在する太古の神

太古のペルセポネーは、ヘカテーあるいはへルの別名を持つ、冥界の支配者でした。

プロセルピナの名のもとに「女悪魔の女王」、根源的な「死の女神」としてキリスト教の伝承の中で伝えられています。

「破壊する者」という意味する、三相一体の女神という側面を持つ女神。

その中でのペルセポネーは老婆。「処女コレー」と「母親デーメーテール」とともにある3つの側面の中のひとつ

 


 

ペルセポネー、現代でも2面性を持つ(?)美少女

女神転生』シリーズ、『ソウルハッカーズ』に登場するペルセポネーの種族は死神。神話の二面性を反映してか、左右二つに引き裂かれた女性の姿をしています。

 

ロードオブヴァーミリオンIII」に登場するペルセポネーは身体を包帯で巻いた美女。冥界の女王「不死」の種族で夫ハデスと共に参戦しています。

 

邪神ちゃんドロップキック」のペルセポネ2世は邪神ちゃんたちの恩師・ペルセポネの娘。虚弱体質を治すため悪魔ミノスと共に暮らしています。父は冥界の王ハデス。訳あって魔界に帰れなくなってしまった邪神ちゃんを探すために人間界へやってきました。

 

 



ペルセポネー まとめ

冥界の王ハデスが思う以上に善良であることに驚かされた矢先、その妻ペルセポネーといえば、ん〜〜。

乙女という表面的な初々しさに対して、その裏というか、闇の部分では、なんか残酷、残忍な部分がチラチラと見えてくるように思います。

まあ、「生娘は残酷」な側面を持つものなのかもしれませんが。。。

 

 

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