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マーベルではアスガルドの王子にしてアベンジャーズのメンバーである雷神・ソー。
そのモデルとなるのは北欧神話最強の戦神、オーディンの息子・トール。
今回は、雷神トールに注目です。
トールもクリス・ヘイワードみたいなイケメン?
雷を操るトール神、豪快な荒神
トールは、北欧神話に登場する戦と雷を操る神。
雷、天候、農耕などを司る北欧神話最強の戦神です。
ハンマー型の武器・ミョルニル (ムジョルニア) で敵を打ち倒します。ミョルニルは対巨人族の要として、フルングニル、スリュム、ゲイルロズといった霜の巨人たちを倒し、多くの神々や人間を守ってきました。
ゲルマン地域の農民階級に広く信仰され、元来はオーディンと同格以上の地位があったとされます。
燃えるような目と赤髪を持つ大男。
アーサソール(アースたちのソール)や、オクソール(車を駆るソール)とも称されます。
力はアースガルズのすべての神々を合わせたより強いと伝えられ、黒山羊タングリスニとタングニョーストが牽く戦車で天空を飛翔。
この戦車の走る音が雷鳴となって、地上に響くのだといいます。
ちなみに木曜日の「Thursday サーズディ」は「Thor's day ソーの日」が語源といわれます。
トールの所有物
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ミョルニル
「打ち砕くもの」という意味をもつ鎚。トールハンマー、ムジョルニアとも称されます。
狙った敵を打ち倒し、必ずトールの手元に戻る魔法のハンマー
制作当時、長い柄が付くはずのものがロキの妨害で短くなってしまいました。
敵を倒す以外に邪気を払い聖別する力もあり、トールはしばしば結婚式や葬式で、この槌を使用しています。
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メギンギョルズ
ミョルニルを使いために使用される力を倍加させる力帯。
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ヤールングレイプル
ミョルニルを握るための鉄製の籠手。
トールの家族
出典:Wikipedia
両親
トールは主神・オーディンと大地の神・ヨルズの息子
妻
● シフ 美しい金髪の女神、ロキのその髪を切られたエピソードは有名。
トールとの結婚以前に巨人との子ウルをもうけています。
● ヤールンサクサ鉄の短剣という意味。女巨人で『詩のエッダ』の『ヒュンドラの歌』で太古に誉れ高い者を生んだ9人の巨人の娘のうちの1人と記されています。
子供
● モージ シフとの間に産まれた息子。ラグナロクを生き延び、ミョルニルを受け継ぎ、他のラグナログを生き延びた神々と神々の園の支配者となります。
● スルード シフとの間に産まれた娘。美しいためアルヴィースという小人に狙われます
ワルキューレの一員。
● ウル シフの連れ子、 弓術、スキー、決闘の神。
● マグニ 力の神。ヤールンサクサとの間に産まれた息子。産まれて三日で言葉を話し、しかも巨人フルングニルの死体を持ち上げる怪力。ラグナロクを生き延び、モージとともにミョルニルを受け継ぎ、神々の園の支配者となります。
従者
兄シアルヴィと妹ロスクヴァ。
シアルヴィは足が速く巨人とも勇敢に戦います。
トール信仰と加護
オーディンが主神ではあるものの、多くの信仰はトールが集めていたと言われます。
トールの加護は多岐に渡り、天候を司り、農耕神として崇拝され、子宝を授け、ルーンを清め、死者を導く役割を担います。
「詩のエッダ」「ハールバルズの歌」によると戦いで死んだ奴隷はトールの配下に付くと記されています。
トールの住まい
トールはスルードハイムという領地に540の広場のあるビルスキールニルという広大な館に住まいます。
トールの性格
短慮で短気、騙されやすく、知略による戦いには不向き。
砥石あるいは火打石の欠けらが頭に入っているためか、豪胆あるいは乱暴。何かにつけてミョルニルを振り回し脅しに出る傾向があるよう。
けれど武勇を重んじる好漢。弱い者や自分に従う者を邪険に扱うことはありません。
途方もない大食漢。空腹になると所有する黒山羊タングリスニとタングニョーストを喰らいます。この山羊たちは骨と皮さえ残っていれば翌朝には再生するのです。
神話の中のトール
トールに関するエピソードはたくさんありますが、特に有名なものが巨人族最強のフルングニルと戦ったもの。
フルングニルとトール
出典:Wikipedia
『散文のエッダ』『詩語法』では
山の巨人フルングニルは自慢の駿馬グルファクシで、オーディンの愛馬スレイプニルと競走をすることになり、その勢いでヴァルハラ宮に乱入。酔って暴言を吐き始めます。
そのためトールが呼ばれ二柱は後日に決闘することになります。
フルングニルは頭が石、心臓が三角の砥石で出来ている巨人、担いだ砥石と楯を武器とします。
トールはミョルニョルを、フルングニルは砥石をお互い投げ合います。
結果はミョルニョルがフルングニルの頭蓋骨を粉砕、フルングニルは即死。しかし、割れた砥石がトールの頭に刺さり転倒、おまけに倒れてきたフルングニルの巨体がトールの上に被さり、3日間動けなかったといいます。
ヒュミルと釣り
『スノッリのエッダ』『ヒュミルの歌』のトール
トールは海の神エーギルに酒宴を設けるよう依頼。鍋の用意を求められたため、テュールと共に彼の父ヒュミルを訪ねて巨大な鍋を貰い受けます。
食材を手に入れるため巨人ヒュミルと釣りをすることになり、その餌にはトールは巨大な牛の頭をちぎって持ってきます。二人は船に乗って海出、なんとヨルムンガンドを手繰り寄せます。この時大蛇が暴れて世界はぐらぐらと震動。
トールがミョルニルで大蛇を倒そうとしますが、ヨルムンガンドを恐れたヒュミルが釣り糸を切りヨルムンガンドは海中に逃れています。
ミョルニョルが盗まれる
また、風変わりなエピソードでは、女装して結婚式場に乗り込むというもの。
『古エッダ』『スリュムの歌』では
ミョルニョルを霜の巨人の王・スリュムに盗まれ、スリュムは返す条件として愛の女神・フレイヤとの結婚を求めてきました。
トールは、自身がフレイヤのふりをしてスリュムの元に乗り込むことを思いつきます。
仲の良いいたずらの神・ロキに侍女の格好をさせ、2人でスリュムの元に行き、「花嫁の祝福のために」とスリュムがミョルニョルを差し出すやいなや、奪い取り、彼とその一族を全滅させています。
娘の結婚
『古エッダ』『アルヴィースの歌』では、
娘のスルーズとドワーフのアルヴィースとの結婚を反対し、トールはアルヴィースに朝まで質問ぜめにし、朝の光を浴びせて石にしてしまいます
城壁を造った巨人を倒すトール
『スノッリのエッダ』『ギュルヴィたぶらかし』では
フレイヤと太陽と月を報酬にアースガルズの城壁の修理を申し出た山の巨人は巨人である正体を知られ、トールに倒されるエピソードが語られています
ウートガルザ・ロキに勝てないトール
『スノッリのエッダ』『ギュルヴィたぶらかし』では
巨人族の王ウートガルザ・ロキの宮廷に招かれた時のエピソードが語られています。
●ウートガルザ・ロキは巨人スクリューミルに変身し、宮廷に出向くトールを待ち構えます。
トールはスクリューミルに化けたウートガルザ・ロキに食糧の入った袋を開けられなくされ、スクリューミルの手袋を小屋と思わされてそこで休息しています。
宮廷では技の披露が行われ、ウートガルザ・ロキは
●ヨルムンガンドを猫に変え、トールに猫を脚が床から離れるまで持ち上げるよう命じます
トールは持ち上げることはできたもののとうとう床からその脚を浮かせることができずに終わります
●大海につながった杯の酒を飲み干すよう要求
●老いの化身であるエリという老婆と相撲をとるよう要求 神といえど老いには勝てずこれも敗北
トールはどの勝負にも勝てずに終わっています
ラグナロクのトール トールの最期
北欧神話の終末の日・ラグナロクでは、ロキの子どもである大蛇・ヨルムンガンドと死闘をくり広げます。
ミョルニョルでヨルムンガンドの頭部を割って勝利しますが、毒の吐息を吹きかけられ、その場から9歩下がって死亡するとされています。
トール 雷を操る設定はテッパン!
アメリカンコミック「マイティ・ソー」では、トールの英語読みであるソーとして登場。
ソーは、神々の国・アスガルド最強の戦士
ちなみに、この作品でロキはソーの義弟という設定です。
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マイティーソーならやっぱりクリス・ヘイワード。ソー・シリーズ第4作『Thor: Love and Thunder』ではめでたくジェーンと再会。ユニークなソーの一面も楽しめました
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魔術と科学が交差する世界でバトルをくり広げるライトノベル「とある魔術の禁書目録」では、トールの能力を持った少女が登場。両手両足にはめたグローブから、雷光の溶断ブレードを噴出して戦います。
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トール まとめ
出典:deviantart
「マイティ・ソー」のソーの設定は、意外と北欧神話に忠実なんですね。
ちなみに、神話で妻のシフはアスガルドの女戦士でソーに想いを寄せる女性として登場しています。かわいそうなのは、ヒロインのポジションを地球人のジェーンに奪われたこと。
また、「マイティ・ソー」で仲が良いとは言えないソーとロキの義兄弟ですが、元ネタの神話で仲良しというのは面白いですね~。