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ヘパイストス、母や妻から疎まれた炎と鍛冶を司る不具の神。

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出典:deviantart

ヘパイストスはゼウスとヘラの間に生まれた第一子。

美の女神アフロディテを妻に娶り、周囲から羨まれる環境にありながら、その醜さゆえ、幼くして母ヘラに捨てられ、妻からは不貞という裏切りを身に受ける不幸な人生を辿ります。

母や妻から疎まれたヘパイストスに喜びはあったのか、ご覧ください。

 

 

ヘパイストスとは

ピーテル・パウル・ルーベンス作『ゼウスの雷を鍛えるヘーパイストス』

ヘパイストス(Hēphaistos)はゼウスヘラの第一子として生まれました。オリュンポス十二神の一柱、炎と鍛冶を司ります

鍛冶技術を持つ単眼の巨人キュクロープスらを従え、自らの工房で様々な武器や神具の製造を行います。

聖獣はロバ、鶴。聖樹はウイキョウ。シンボルはトング、金床、ハンマー。

起源はクレタ島の火の神ヴェルカノスに由来すると考えられます。

 

ヘパイストスは両足の曲がった醜い奇形児として生まれました

けれど、成人したヘパイストスは戦士として戦う勇者でもありました。

古代ギリシャの吟遊詩人ホメーロスによる最古の長編叙事詩『イーリアス』では、アキレウスを助けるため河の神と対決

業炎を放ち、巨大な河を瞬時に蒸発させてなくし、河の神スカマンドロスを退治しています。

 

ヘパイストスの誕生

一般的にはヘパイストスはゼウスとヘラの第一子として生まれています。

けれど他説では、ゼウスがアテナを自ら生んだことに対抗して、ヘラが自力で生んだ子

醜く足が不自由な奇形児として生まれ、それを疎ましく思ったヘラは生まれたばかりのわが子を天から海に投げ落とします

ヘパイストスは海の女神テティスとエウリュノメーに拾われ育てられました。

 

ヘラクレスの航海を妨害したヘラが、ゼウスから罰せられるのを、ヘパイストスが庇ったため、ゼウスに地上へ投げ落されたという説もあります。

そして、この説ではレームノス島に落ち、シンティエス人に助けられたヘパイストスはこの時に足が不自由になったとされます。

 

ヘパイストスの功績

ディエゴ・ベラスケス作『ヴァルカンの鍛冶場を訪れるアポローン(1630)』

鍛冶を司るヘパイストスはギリシャ神話において巧みな鍛治師。ヘーパイストスの作ったとされるものには下記のようなものがあります。

母ヘラとヘパイストス

アレッサンドロ・ゲラルディーニ作

ヘーパイストスはオリュンポス十二神に加えられますが、実母ヘラの冷遇は続きます

ある日、ヘパイストスは日頃から冷遇する母ヘラに、美しい宝石を散りばめた黄金の椅子を贈ります

ヘラはそれを喜び、腰掛けた瞬間身体を椅子に縛り付けられてしまいます。

ヘラはヘパイストスに拘束を解くように懇願します。

その願いを叶える条件として、ヘパイストスは自分がヘラの実子であることとアプロディーテーとの結婚を認めさせました

 

妻アプロディーテーの不貞、そして離婚

ヨハン・ヘイス作『アプロディーテーとアレースのベッドに神々を集めるヘーパイストス(1679)』

ヘパイストスの妻アプロディーテーは美を司る女神。アプロディーテーにとって夫ヘパイストスの醜さは受け入れられず、そのために幾多の恋を重ねることになります。

オリュンポスの男神の中でも最も美しい神の1柱、軍神アレスとの間には恐怖を司る神ポボスとデイモスの兄弟、調和を司る女神ハルモニアーをもうけています

妻の浮気を全く疑っていなかったヘパイストスは、太陽の神ヘリオスからアフロディーテと軍神アレスの関係を知らされます

恋愛に疎く、実直なヘパイストスは良い夫婦関係を築いていると思い込んでいたために落胆し、妻アフロディーテと愛人アレスに復讐することを決心します。

その復讐としてふたりの情事の瞬間をヘパイストスの作った見えない糸で縛り、その姿を神々の晒し者にするという辱めをふたりに与えます

その結末は、ポセイドンの仲介を得て、二柱は離婚

アプロディーテーはクレタ島、アレスはトラキアでの謹慎を命じられています。

 

ヘパイストスとアテナ、エリクトニオス

パリス・ボルドーネ作『アテナに迫ったヘパイストス』 (1555-1560年頃)

アプロディーテーとの離婚後、ある時ヘパイストスは知略の女神アテナを見染め、思いを遂げようとします。

処女を誓ったアテナは逃げて純潔を守りますが、その時ヘパイストスの体液が足に付着してしまいます。

アテナは皮でこれを拭い地面に捨てると、その場所から「エリクトニオス」が誕生

エリクトニオスは地から生まれた者の証とされる蛇の下半身を持って生まれました。

望まない子として誕生したエリクトニオスですが、アテナはエリクトニオスを育てることを決心します。

成長したエリクトニオスはやがてアテナが守護するアテナイの王となります。また、父であるヘパイストスの指導を受けて「ギリシア戦車」も発明しています。

 

ヘパイストスの妻と子どもたち

離婚後、一説では美と優雅を司る三美神カリスの最年少の女神アグライアと結婚

アグライアはかつてアプロディーテーの侍女として使えていました。

二柱の間には 

  • エウクレイア栄光と名声の女神
  • エウフェーム 賞賛、吉兆の神
  • モームス 風刺と嘲笑の神
  • クロトス 狩人の息子

をもうけています。

 

また、一説ではヘパイストスは人肉を喰らい、火を吐く巨人カクスの父親であるともされています。

 

 

ヘパイストスも現代では立派な勇者

出典:altema

同じくソーシャルゲーム「エレメンタルストーリー」では火属性の敵に有効なキャラ。敵単体に強力なダメージを与える「メテオインパクト」攻撃が可能です。

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ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』のヘファイストスは大勢の鍛冶師を育成し、一級品の武具を製作する鍛冶師系ファミリア【ヘファイストス・ファミリア】の主神。

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Fate/GrandOrder』のヘファイストス(は最高神ゼウスとヘラとの間に生まれた男神。醜く片足が不住な機械仕掛けの神。カルデア一行に助力する鍛冶神。

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ヘパイストス まとめ

ティントレット作 「アプロディテとヘパイストスとエロス」 ( 1518年 - 1594年 )

「男は外見ではない」とよく言います。けれど実際、不具の子として生まれたヘパイストスにとっての外見のハンデが人生に大きく影響しているのは間違いありません。

生まれてすぐに、醜いが故に実の母に天界から地上に投げ捨てられてしまうことがどれだけ気持ちを卑屈にさせるか、気の毒としか言いようがありません。

けれど、もし、それでも明るく生きたという性格に成れたのなら、間違いなく異性にはモテただろうと思います。

外見のハンデを武器にすることは可能なのだと思います、よ〜

 

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