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レーヴァテインはゲルマン神話のトリックスターロキが作り出したといわれる神器。
最終戦争ラグナログの際、全てを焼き尽くすといわれる災いの杖。
けれど記述される文献も少なく、その詳細については謎に包まれています。
目次
レーヴァテイン、謎に包まれた炎の剣
レーヴァテイン(古ノルド語: Lævateinn)は最終戦争ラグナロクにおいて世界を焼き尽くす剣。
『フィヨルスヴィズの歌』の中で神の使う武器として記述される、奸智の神ロキがユグドラシルの下方にある氷の世界ニブルヘルムでルーンを唱えて作ったとされる神器です。
「太陽よりも明るく輝く炎の剣」とされ、直訳すれば「災いの杖」。「Læva-」は「破滅、災厄」、「-teinn」は「枝、杖」を意味します。
けれど、どのような武器であったかという詳細が残されていないため、剣や槍、矢、魔法の枝など様々な解釈がされています。
「フィヨルズヴィーズルの言葉」のレーヴァテイン
ヴィゾーヴニルを倒す唯一の剣
レーヴァテインは「エッダ詩(古ノルド語の詩集)」の「フィヨルズヴィーズルの言葉」に登場します。
この叙事詩の主人公スヴィプダグルは父の後妻に「誰も無事には行くことのできない所へ行って、メングラッドの愛を得る」という命を受けます。
長い旅を続け、ある日、巨人の国ムスペルヘイムに彼女の砦を見つけます。
けれど、砦の門番をつとめる巨人フィヨルスヴィドは彼を砦に入ることを拒みます。
「ヴィゾーヴニルを殺すにはどうすればいいのか?」、スヴィプダグルはフィヨルスヴィドに問いかけます。
巨人は「『狡賢いロプトル(ロキ)』によって作られた「レーヴァテイン」という武器が必要。
女巨人の『シンモラ』がそれを持ち、レーギャルンの匣の中に保管している」と答えます。
『レーギャルン(絶望)』の箱に収められたレーヴァテイン
同じ『フョルスヴィーズルの言葉』の中で。ロキは鍛え上げた剣を『レーギャルン(絶望)』という箱に収め、九つの鍵をかけます。
そして、巨人スルトの妻シンモラにレーヴァテインの保管を託します。
シンマラの家は2頭の番犬で守られており、その番犬の気をそらしてレーヴァテインを手に入れるのにはユグドラシルの最も高い枝に留まる、輝く身体でユグドラシルを明るく照すという雄鶏ヴィゾーヴニルの肉が必要となります。
けれどヴィゾーヴニルを仕留めるのはレーヴァテインが必要という堂々巡りが繰り返されることになります。
レーヴァテインの所有者
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スルトがラグナロクにふるう炎の剣
スルトはムスペルヘイムの入り口を守る炎の巨人で、レーヴァテインを守るシンモラの夫
『スノッリのエッダ』第一部『ギュルヴィたぶらかし』ではスルトはラグナログにおいて最後まで生き残り、炎の剣によって全てを焼き尽くすと伝えられています。
そして、その炎の剣は日本ではレーヴァテインであると認識されています。
豊穣の神フレイの『勝利の剣』
スウェーデンの作家ヴィクトル・リュードベルィは著書『ゲルマン神話研究』の中で、レーヴァテインとフレイの武器、勝利の剣は同一のものであるとしています。
その中で「フィヨルズヴィーズルの言葉」の主人公は最初からレーヴァテインを所有し、砦はアースガルズ、フョルスヴィーズルはオーディンであり、メングラッドはフレイヤ。
主人公のスヴィプダグルは後にメングラッド(フレイヤ)と結婚し、レーヴァテインはフレイヤの兄フレイに渡ったとしています。
また、主人公のスヴィプダグルはフレイの従者スキールニルと同一視され、フレイがゲルズに求婚するために勝利の剣(レーヴァテイン)をスヴィプダグル(スキールニル)に与えたため、フレイはラグナロクでスルトに敗れることになります。
なぜか美少女になる、美少女の武器になる、現代のレーヴァテイン
「ファントム オブ キル」ではキル姫の一人。長いストレートの銀髪が特徴。7徳を司るエンシェントキラーズの八体目。
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「上海アリス幻樂団」が展開する作品群『東方Project』のキャラクター『フランドール・スカーレット』のスペルカードのひとつ。巨大な炎を放つ枝状の剣。
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「魔法少女リリカルなのは」ではシグナムが持つデバイスとして登場。片刃の長剣で、片手・両手で扱えるサイズなのが特徴です。斬撃「紫電一閃」の威力は驚異的。
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レーヴァテイン まとめ
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レーヴァテインは怪物を仕留めるのに必要なのに、手に入れるのは怪物を仕留めなければならない、なるほどトリックスターなロキらしいひねりの効いた入手困難な武器。
けれど、神やそれに対抗できるスペックがなければ、災を招くようなものは使えなさそうです😅