
ペレグリーノ・ティバルディ 作
アイオロスは、北風・ボレアースや南風・ゼピュロスなどの風神を束ねる風神の王。
アイオリアという浮島の高台の玉座から風神たちを操り、オデッセウスやアルゴナウタイなど、英雄たちの航海を助けています。
目次
アイオロス、アネモイ(風神たち)を操る風神の王
アイオロスとは

ステファノ・デラ・ベラ 作 『アイオロスの岩』1652年。
アイオロス (Aeolus )はギリシャ神話で語られるアネモイ(風の神)たちの主神。
ゼウスから風を支配する力を与えられた、アイオリア島(シチリア島北方)の王。
ホメロスの叙事詩『オデュッセイア』ではオデッセウスにアネモイを与え、一旦は故郷のイタテー島への帰還を助けています。
ウェルギリウス(古代ローマのラテン語詩人)の『アエネーイス』ではユーノー(ヘラ)の命でアネモイを放ち、アエネアースの船隊を海に沈めています。
アイオロスの家族と王国

ストラダヌス作「風の洞窟のオデュッセウス
家族
ホメロスによれば、アイオロスの
⚫︎父は ヒッポテース
⚫︎妻は デイオペア
『アエネーイス』の中でユーノー(ヘラ)から与えられたニンフであるとされます。
デイオペアはユーノーの配下の優れた容姿を持つ十四柱のニンフたちの最も美しい一柱。
⚫︎子は 男女6人ずつの12人
王国
アイオロスはアイオリア島で妻・デイオペアと6人のたくましい息子と6人の娘とともに暮らしています。
娘たちは息子たちの妻となり、愛する父と優しい母のもとで毎日が祝宴のような日々をおくり、この家族には限りない歓喜が満ち溢れているとされます。
アイオリア島は、周囲は壊れることのない青銅の壁で囲まれ、切り立った断崖の浮島。
アイオロスはその島の洞窟の中にアネモイを封じ込めています。
風たちは強固な砦に鎖で縛られ、拘束に苛立ちを覚えるものの、高くそびえる岩山の玉座から笏を握ったアイオロスが彼らの激怒を封じ込めています。
神話の中のアイオロス

アイザック・モワイヨン作『オデュッセウスに風を与えるアイオロス』
オデッセウスとアイオロス
ホメロスの『オデュッセイア』はトロイア戦争から帰還するオデッセウスの10年にわたる旅路を記した物語。
その中でオデュッセウスとその部下は、キュクロプスのポリュフェモスから逃れた後、アイオリア島に到着しています。
アイオロスは漂着したオデュッセウスを歓待し、オデュッセウスとその部下たちを一月の間もてなします。
出航の際、アイオロスは西風・ゼピュロスを除いた「吹き荒れる風」を封じ込めた牛皮で作った袋をオデッセウスに与えます。
そして、ゼピュロスにオデュッセウス一行を故郷へ送り返すよう命じます。
けれど、故郷のイタケー島が見えてくるとオデュッセウスは眠気に襲われ、部下たちは袋の中には金銀が入っていると思い、袋を開けてしまいます。
すると、解き放たれた風は船をアイオロスの浮島まで吹き飛ばしてしまいます。
オデュッセウスはアイオロスに再び助けを求めます。
けれどアイオロスは神々に憎まれる者を助けることはできないとそれを拒みます。
ヘラとアイオロス

マヌエル・デ・サマニエゴ作「ユノがアイオロスに風を放つよう命じる」
アエネアス
ウェルギリウス(古代ローマのラテン語詩人)の『アエネーイス』はトロイア陥落から逃れ、イタリアでローマ人の祖先となったトロイアの英雄・アエネアスの物語を綴った叙事詩。
ユーノー(ヘラ)はパリスの審判で自分が黄金の林檎を受け取れなかったことや、お気に入りの都市カルタゴがアイネイアスの子孫によって滅ぼされることに怒り、アイネイアスの失脚を企てます。
風の王・アイオロスに彼女の従者の中で最も美しいとされるニンフ・デイオペアを妻に与えるという交換条件で、風を解き放って嵐を起こすよう命じます。
アイオロスはそれを承諾、テュレーヌム海を渡っているアイネイアスの艦隊を壊滅させます。
けれど、ネプチューン(ポセイドン)はこれに気づき、ユノが自分の領域に侵入した(ヘラの海上での勝手な振る舞い)ことを怒ります。
アネモイに、海の支配権はアイオロスではなくポセイドンにあることの伝言を命じ、風を鎮め、海を静めます。
これにより、アイネイアースの艦隊はアフリカの海岸に避難、難を逃れています。
アルゴナウタイ
『アルゴナウティカ』は、紀元前3世紀、アポロニウス・ロディオスが書いた 叙事詩。
この物語の終盤(第4巻)で、ヘラはコルキスから金羊毛を持って帰還する一行を助けるため海のニンフ・テティスを訪れます。
そして、息子アキレウスがエリュシオンの野でメディアと結婚する運命にあることを告げ、アルゴ船の南への航路を確保するようテティスにアイオロスへの使いを命じます。
アイオロスはヘラ(ヘラの依頼を受けたテティス)の頼みを受け、西風以外のすべての風を鎮め、安定した航海を可能にし、イアソンとアルゴナウタイの帰還を助けています。
アイオロス、現代でも正義の味方(?)
『聖闘士星矢』のアイオロスは射手座の黄金聖闘士で獅子座のアイオリアの兄。
仁・知・勇の全てに優れた、双子座のサガとならぶ黄金聖闘士の中心人物です。
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ドラクエシリーズ『ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち』のアイオロスは「聖風の谷」や「風の神殿」周辺に出没するボスキャラ。
『ドラゴンクエストX 目覚めし冒険者の広場』のアイオロスはプレイヤーキャラのひとりでプクリポ属の僧侶。
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アイオロス まとめ

ハインリッヒ・ウルリッヒ作『風の擬人化アイオロス』
浮島の高台でアネモイたちを操るアイオロスの姿には威厳を感じます。
イアソンやオデッセウスたちだけでなく、もっと色々な場面で活躍していてほしかった神の一柱です。
