いにしえより人は楽園を夢見てきました。それは黄金郷であったり、永遠の命や若さであったり、望むものが得られる地。そんな楽園を求める人の夢は世界中に存在し、今も語り継がれています。
今回はそんな世界中で語り継がれてきた憧れの地に注目です。
それは地上にあるのか、異世界にあるのか。
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目次
楽園(パラダイス)と理想郷(ユートピア)の違い
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パラダイスとユートピア、なんとなく同じようにも思いますが、比較するとはっきりとした違いがあるのがわかります。
楽園(パラダイス)
楽園は永遠の地。平和で幸福、安らぎの地。欲や業、悪の存在しない世界であり、しばしば徳のある選ればれた人に許された地として考えられてきました。
宗教的な概念、キリスト教ユダヤ教、イスラム教に共通した概念。現世や地獄、冥界と対比する世界として用いられてきています。
理想郷(ユートピア)
イギリスの思想家トマス・モア著『ユートピア』に登場する架空の国家。ラテン語で「どこでもない場所」を意味します。
現実世界とは隔絶された、理想的な生活を維持する統率のとれた社会をいいます。
大陸とは隔離された孤島で、規律のとれた理想的な生活を、衛生的な環境のもとで営まれています。
楽園(パラダイス)、理想郷(ユートピア)一覧
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アアル
エジプト神話に登場するオシリス神が支配する楽園。死後の世界、「アアルの野」「エジプトの葦の原野」とも称されます。太陽が昇る方向に存在する葦の生える原野。心理を司る女神マアトの羽と、死者の心臓の重さが釣り合った者が、長い旅の末に辿り着けるとされる地。
アルカディア
ギリシャのペロポネソス半島にあると伝わっています。牧人の楽園として知られる理想郷。ゼウスの子アルカスの名に由来する現存する地。
アイティオピア
ギリシャ神話に登場する南の果ての国、現在のエチオピアとされています。太陽神ヘーリオスまたはアポロンの子パエトーンが太陽神の御車を暴走させたことで砂漠と化してしまったと伝えられています。
アガルタ
地球空洞説で、地球の中心にあるとされている都市。楽園のひとつ「シャングリラ」はアルガダの首都だといわれています。
アヴァロン
ブリテン島にあるアーサー王が傷を癒したとされる伝説上の島。美しいリンゴで名高い楽園。
アトランティス
大西洋(アトランティック・オーシャン)に存在したとされる伝説の大陸・国家。進んだ文化と科学力を持った王国。強大な軍事力を持ち、世界の覇権を手にしようとしたためゼウスの怒りに触れて海に沈められたとされています。
アンヌン
ウェールズ地方の神話に出てくる異世界。牧歌的な理想郷とも、黄泉の世界であるともいわれています。マビノギオン『ダヴェドの大公プイス』では灰色の衣をまとったアラウンという王が支配する地。
イーハトーブ
宮沢賢治の作品に登場する架空の地名。岩手県をモチーフとした宮沢賢治の理想郷であると解釈されています。
旧約聖書『創世記』に登場。
ギリシャ神話で死者の住む楽園とされる島
エルドラド
アンデス地方奥地に存在するとされた伝説上の黄金郷。エルドラドはスペイン語で「黄金郷」「黄金の人」を意味します。
オズ
オズの魔法使いに登場する伝説の田舎町エメラルドの都、不思議の王国。
オフィール
旧約聖書に登場する黄金郷。現在のマリ共和国と推定されます。
極楽
「幸福のあるところ」「幸福にみちみちてあるところ」を意味する阿弥陀仏の浄土
カナン
旧約聖書において、神がアブラハムの子孫(イスラエルの民)に約束したとされる約束の地
カリポリス
古代ギリシアの哲学者プラトンの著書「国家」に登場する理想都市。
キーテジ
シベリアの奥彼方にあるとされた旧ロシア正教の聖地。
コケイン
païs de cocaigne(満ち足りた土地)に由来する中世フランスの理想郷。
幻想郷
「東方Project」の舞台となっている架空の世界。妖術や魔法、神通力などの力が存在する世界。
ザナドゥ
元はモンゴル帝国の都市。イギリスの詩人サミュエル・コールリッジの『クーブラ・カーン』に描かれる幻想的な理想郷。
シャングリラ
ジェームズ・ヒルトンの小説『失われた地平線』に登場する架空の理想郷。
シボラ
新大陸にあるとされた16世紀の入植者に信じられていた理想郷。
ジパング(日本)
中世ヨーロッパに伝わった東方にある黄金の島国。マルコ・ポーロの「東方見聞録」では「莫大な金を産出し宮殿や民家は黄金でできている。人々は外見がよく礼儀正しい」 と記されています。
ジャンナ
イスラーム教の天国。コーランに 「信教を貫いた者だけが死後に永生を得る所」と記されています。
シャンバラ
インド仏教の経典「時輪タントラ」においての理想の仏教国。一説では中央アジア「シーター河の北岸に位置する」とされています。
タモアンチャン
アステカ神話において、泉や川、森、資源に満ちた、神々が住む地。
ティル・ナ・ノーグ
ケルト神話に登場する楽園。常若の国。トゥアハ・デ・ダナーン(ダーナ神族)が戦いに敗れた後に、移住したとされる地。「楽しき都(マグ・メル)」、「喜びヶ原(メグ・メル)」や「至福の島(イ・ラプセル)」とも称されます。
桃源郷
魏晋南北朝時代の中国の文学者陶淵明の著書『桃花源記』に登場する伝説上の楽園。俗界を離れた神仙が住む仙境。
常世の国
神道での概念、古代日本で信仰された、海の彼方にあるとされる異世界。訪れたものに富や知識、不老不死をもたらす。死後の世界とも考えられています。
ニライカナイ
沖縄・奄美群島に伝わる海の果てにある理想郷。生命の源であり、神の世界であり、死者の魂が戻る場所。
ネバーランド
ジェームス・マシュー・バリーの戯曲『ピーター・パン』に登場する国。その国に居る間は年をとらない、ロンドンから約2時間45分で飛ぶことができる妖精が住む異世界。
ヴァルハラ
北欧神話オーディンの宮殿。グラズヘイムにあり、ヴァルキュリャによって招かれたエインヘリャルが集う館。
ヘスペリデスの園
ギリシャアトラス山脈の麓にあるとされるヘーラーの果樹園。龍に護られた黄金の林檎のなる樹があるパラダイスの語源になった地。
蓬莱
中国の東方に浮かぶ島。仙人が住むといわれる仙境のひとつ。不死の仙薬が手に入るとされ、古代中国でこの世の動物達の長だと考えられた4つの霊獣の一体である霊亀の背の上に存在するともいわれています。
マグ・メル
ケルト神話に登場する死者の国。島もしくは海中にある、永遠の若さと美しさを保ち、娯楽が集まる楽園。
ムー大陸
太平洋上に存在したといわれる伝説上の大陸
龍宮
『古事記』や『日本書紀』にも記された海神にまつわる伝説に登場する海神の宮
ワクワク
中世のアラブで東方の彼方にあると考えられていた楽園。
楽園(パラダイス)、理想郷(ユートピア)、極楽、まとめ
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今ではパラダイスもユートピアも同じ、温泉や大人・子供の娯楽施設、違いがはっきりしません。(かなり、思いっきり、風俗なイメージ)
けれど根本ではしっかりとした違いがあったのだなっと感じます。
昔、キリスト教と仏教の違いは三角か球体かの違いだと教わった記憶があります。キリスト教が頂点に神、人間、土台を自然が支える。仏教は中心に神、外に向けて自然、宇宙になってゆくのであると。
本来の楽園と理想郷もそのような違いがあったのかもしれません。
楽園は宇宙と自然に人間が内包される。理想郷は全て秩序で統率された三角な世界。違うかな?
詳しい方のアドバイスやご意見をいただければ嬉しいです。お待ちしています