事代主(コトシロヌシ)神はその出で立ちから恵比寿神と同一視される神の一柱です。
大黒天・恵比寿の対として扱われることも多く、招福・ご利益という意味ではまさに最強ペア。
知名度という点ではイマイチな事代主神ですが、国譲りの際には重要な役割を果たす偉い神様でもあるのです。
そんな事代主神とはいかなる神様なのか、謎として残るエピソードも含めご覧ください。
目次
事代主神、大黒天とはワンセット? 国譲りに貢献したとそのエピソード
事代主神(ことしろぬしのかみ)は父大国主神、母は『古事記』では神屋楯比売命(かむやたてひめのみこと)、『日本書紀』『先代旧事本紀』では高津姫神(たぎつひめ)との間に生まれます。
いくつもの別名
- 八重事代主神(ヤエコトシロヌシノカミ)
- 言代主神(コトシロヌシノカミ)
- 天之事代主神(アメノコトシロヌシノカミ)
- 辞代主(コトシロヌシ) などがあります
恵比寿神と同一視される神としても知られています。
神格は
- 海の神
- 商売の神
- 言霊の神
商売繁盛・海上安全・学業成就・招福開運・大漁成就、などのご神徳があると伝えられています。
事代主、国譲りの英断
父、大国主命は葦原中津国(あしはらなかつこく)(ひとの住まう国)を造った神、なんと180柱の子供がいました。事代主神はその中で建御名方命(タケミナカタ)とともに国譲りに貢献した神として知られています。
大国主命が国造りの大業を成し、葦原中津国(あしはらなかつこく)を治めたところに、天照大御神が国を譲るように告げます。
その伝令を受けた使者が交渉にあたりますが、大国主命はその判断を決めかねていました。3度目の使者刀剣の神・建御雷神(タケミカヅチ)に大国主命はその決断を息子ふたりに委ねると告げます。
事代主神が美保岬で魚釣りをしているところに建御雷神(タケミカヅチ)は訪れ、国譲りを迫ります。
事代主神は国を譲る決断をします。そして船を踏んで傾け、天の逆手(アマノサカテ)を打って青柴垣(あおふしがき)を作り、その中に隠れてしまいます。
建御名方命(タケミナカタ)は国譲りに抵抗しますが、その判断を建御雷神との力比べの勝敗で決めるとし、敗北してしまいます。
これによって大国主命は国譲りを承諾することになります。
恵比寿神の出で立ち、右手に釣り竿、左手には鯛をかかえた姿は、まさに、釣りに出て国譲りの英断を迫られた事代主神をイメージして出来上がったものであると伝えられています。
天の逆手の謎
国譲りの判断に事代主神のとった行動「天の逆手」の意味について、大きく二つの解釈に別れます。
- 呪いの柏手であるというもの。
大和が無理やり国譲りを迫ったことに勢力的に不利な事代主神は了承はしたもののその悔しさのあまり、呪いの柏手を打って、自殺したという説。
反対の説として
- 「栄手(さかて)で、栄えあれと繁栄を祈るというもの。
めでたい時に打つ手打ち(手締め) を意味するという解釈です。
ちなみに、一本締め・三本締めなどと呼ばれている手締めは、事代主神の国譲りで行われたこの「天逆手(あまのさかて)」が起源であると考えられています。
事代主、大黒天、恵比寿の関係は
恵比寿神として扱われる事代主神は大黒天としても知られる大国主神の子。
大黒天は元来ヒンドゥー教のシヴァ神の異名であったものが仏教に取り入れられたもの。
大黒の「だいこく」が大国とも読まれることから、神道の神大国主と習合して、豊穣の神として信仰されることになります。
チベット仏教の大黒天は財の神としての信仰を集め、チベットでは福の神財福の神として祀られたものが七福神の一柱の大黒様として知られる食物・財福を司る神となります
この父大国主神である大黒天と、子の事代主神である恵比寿は共に七福神の一柱であることから、一組で信仰されることも一般的。
これは大黒天が農商業の神であり、恵比寿が漁業の神であることからも起因されます
商業においては農水産物も主力な品目であることから二柱を祀り、商売の神として信仰されるようになって行きます。
事代主を祀る神社は
事代主神は商売繁盛・学業・開運・祈願成就など様々なご神徳があると伝えられています。
霊験新たかな神社へのお参りでお目立てのご利益も期待できるかも。
美保神社
全国にある事代主神・えびす社3000社の総本社。8世紀に編纂された『出雲国風土記』に記載される古社。事代主神をお参りするならまず上がる神社です
- 祭神:事代主神・三穂津姫命
- 所在地:島根県松江市美保関町美保関608
長田神社
廣田神社・生田神とともに神功皇后以来の歴史を持つ名社。
神功皇后摂政元年に神功皇后が三韓征服後、新羅から帰還する途中船が進まなくなり、事代主神より「吾を長田国に祀れ」と神託を受け創祀されたと伝えられています。
- 祭神:事代主神
- 所在地:兵庫県神戸市長田長田町3-1-1
今宮戎神社
毎年1月9日から11日にかけて十日戎(とおかえびす)が開催される、商売繁盛の神様「えべっさん」で有名な神社。聖徳太子の四天王寺建立の際に西方の守護神として建てられたと伝えられています。
- 祭神: 事代主命・天照皇大神・素盞鳴尊・月読尊・稚日女尊
- 所在地:大阪大阪市浪速区恵美須西1丁目6-10
事代主神 まとめ
商売繁盛、金運如意、開運、学業、大願成就、色々願い事を願掛けするならやっぱり大黒天・恵比寿神のダブルスが最強(?)。とにかく先ずは金運で生活の基盤固めが大切ですものね。
神頼みもひとつの手段としてアリ、ですよね。