日本神話の大国主命は、葦原中国(あしはらのなかつくに) (日本神話における地上世界)を作った偉大なる神様です。
今回は新年に相応しく、国造りのきっかけともなった、大国主命の有名な逸話である因幡の白兎と彼の武勇伝、根の国の訪問のエピソードをご紹介します。
大国主命は「兎を助けた心優しい神」のイメージが定着し、聡明さや温厚な性格の神と考えられがちですが、実はかなりやんちゃな側面もあり、波乱万丈な人生を送っています。
ご覧ください。
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チャンスをものにする大国主命
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大国主命は、日本神話屈指の英雄であるスサノオノミコト(以下スサノオ)の6世の孫で、大変な美男子です。
現在の島根県にある地上の国・葦原中国を造り、天照の孫であるニニギのミコトに国を譲るまで、天下を治めます。国津神の最高神、出雲大社の主として、現在でも多くの人々から信仰されています。
大国主命と因幡の白兎
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大国主命には、八十神 (やそがみ) と呼ばれるたくさんの兄弟がいました。
八十神は因幡に住んでいる八上比売 (やがみひめ) と結婚したいと思い、大国主命に荷物持ちをさせて、彼女の元に求婚に行きます。
その道中、気多の岬を通りかかると、身体の皮をむかれて泣いている兎がいました。
八十神は、兎に「海水を浴び、高い山の山頂で風にあたって寝ていれば傷が治る」と意地悪を言いました。兎は騙されたと知らず、言われた通りにしましたが、海水が乾いて傷は悪化してしまいます。
より痛みが増して泣いている兎を列の最後にいた大国主命が見かけ、「なぜ、泣いているのですか」と聞きました。
兎は、「私は隠岐の島からこの土地に渡りたいと思いましたが、渡る手段がありませんでした。どうしようかと悩んでいたところに、ワニザメが現われたので、彼らを利用することにしたのです。それぞれの種族の数くらべをしようと持ちかけ、私は数えるふりをしてこちらの岸まで渡りました。しかし、うまく騙せたことが嬉しくなって、ネタばらしをしたのです。すると、ワニザメは怒って、私の皮をはいだのです」と言います。
その後、自分の兄弟に騙されたことを聞いた大国主命は、正しい治療法を教えてやりました。回復した兎は、感謝し、「八十神は、八上比売と絶対に結婚することはできません」と予言します。
すると、その通りになり、八上比売は大国主命を夫に選びました。
大国主命の根の国の訪問
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八上比売と結婚できなかった八十神は大国主命を恨み、2度に渡って殺害を図ります。
大国主命は、母親の助けによって生き返りましたが、「これ以上ここにいれば、八十神にまた殺される」と言われ、スサノオのいる黄泉の国である根の国に逃げるよう勧められます。
根の国にやって来た大国主命は、スサノオの娘・スセリビメに出会い、2人はそれぞれお互いのことを好きになってしまいます。
これを気に食わないスサノオは、大国主命につらく当たります。
結果、大国主命は蛇のいる部屋で寝かされたり、野原に誘い込まれ、火をつけられて焼き殺されかけたりしました。ですが、スセリビメや野原にいたネズミの助けによって生き延びます。
ある日、スサノオは大国主命に頭のしらみを取るように命じました。
その最中、気持ちよくなったスサノオは眠ってしまいます。それに気付いた大国主命は、「これは好奇だ。この隙に逃げよう」と思い、スサノオの髪を部屋の柱にくくりつけ、入り口に大きな石を置いて部屋を塞ぎました。
その際に、スサノオの神器である生太刀・生弓矢・天の詔琴を持ち出し、逃げ出します。
昼寝から覚め、事態に気付いたスサノオは大国主命を追いますが、地上と地下の境目にある黄泉比良坂まで来たところで、追うのをやめました。
ついに、大国主命の男気を認めたのです。
「お前が持ち出した太刀と弓矢で八十神を倒し、立派な王となれ。この野郎め」と激励し、2人を見送ったのでした。
その後、大国主命は八十神を倒し、スセリビメを妻に迎えました。そうして、豪華な宮殿を建て、立派な王となるため、国造りを始めるのです。
驚きの美少女にも変身、大国主命
出典:戦国プロヴィデンス攻略
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まとめ
出典:akaseka
兄弟や祖先に殺されかける、散々な思いをしなければならない大国主命。けれど、結果的には、二人の女性両方共にゲット、おまけに神器までも手に入れてしまっています。
これは、不幸なのか、幸福なのかと問うなら、やっぱり幸運な神様、ですよね。
苦労しても確かな結果が得られるなら、そのご利益にあやかりたい神様です。