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ギリシャ神話・伝説 神・英雄・怪人

ゼピュロス、イーリス、フローラの夫。アネモイ(風の神)の春を呼ぶ西風

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ウィリアム・アドルフ・ブグロー作 『フローラとゼフィロス』1875年作

ゼピュロスはギリシャ神話の春を呼ぶ西風の神。 

虹の女神・イーリス、春の女神・フローラの夫として知られています。 

春の芽吹きを象徴し、多くの恋物語が語られる神。 

そんなゼピュロスのご紹介です。 

一説にはアポロンの恋人ヒュアキントスを死に追いやったとされるゼピュロス、その恋愛遍歴は 


 

ゼピュロス恋多き春の訪れを告げる西風 

ジェームズ・スチュアート、ニコラス・レベット作

ゼピュロスとは

ゼピュロス(ゼフィロス Zephyros)はギリシャ神話の風神・アネモイの一柱で西風の擬人化 

英語ではゼファー (Zephyr)、フランス語ではゼフィール (Zéphyr)。 

アネモイの中で温和な性格で恵み深い神として知られる、春の訪れを告げる豊穣の風 

暁の女神・エオスと星の神・アストライオスの息子で虹の女神・イーリスの夫 

北風・ボレアースと並んで、著名な風の神として知られています。 

 

生命の誕生、生殖とも関連付けられ、神話の中で幾つもの恋愛が語られています 

  • アポロンとの恋愛で有名なスパルタの王子ヒュアキントスへの報われない愛。 
  • ニュンペーのクローリスを強引に奪い、春の女神・フローラを誕生させています 
  • ハルピュイアの一人であるポダルゲーとの間に、アキレウスの馬、バリオスとクサントスをもうけ 
  • エロースとプシューケーの物語では、エロースのためにプシューケーをエロースの洞窟に送り届けています。 

 

春の神ゼピュロス 

フランソワ・ブーシェ作ゼピュロスとヴィーナス、アリアドネ、バッカス、18 世紀

ゼピュロスは西風を司るアネモイの一柱。 

ギリシャでは西風は春に吹き始める穏やかな風 

多くの場合、有翼の美青年の姿で描かれます。 

 

古代ギリシャ人はゼピュロスを冬の終わりを告げ、植物や花の芽吹きを呼ぶ春風の神として崇めました。  

ヘーシオドス(古代ギリシアの叙事詩人)はゼピュロスを「収穫を終え、日蔭でご馳走を食べブドウ酒を飲んでくつろぐときに吹く爽やかな風」と表現しています。 

 

ゼピュロスは、北風・ボレアースと共に多くの神話で語られる、アネモイの中で著名な神。 

農作物の実りをつげる秋に吹く南風・ノトスの三柱は、有益で好ましい風。 

これに対し、嵐を呼ぶ東風のエウロスは船を難破させる不吉な風と認識されていました。 

 

ゼピュロスとボレアスはトラキアの宮殿で共に暮らしていたとされます。 

けれど、ホメロスの叙事詩『オデュッセイア』では、アネモイたちはアイオリア島に住んでいるとされています。 

 

家系 

サンドロ・ボッティチェリ作『ヴィーナスの誕生』

両親  

  • 母は 暁の女神・エオス
  • 父は 星の神・アストライオス  

兄弟 

・アネモイ  

  •   南風・ノトス 
  •   北風・ゼピュロス 
  •   東風・エウロス 

 ・正義の女神・アストライア  

がいます。  

 

  • 虹の女神・イーリス 
  • 春の女神・フローラ 

子供 

イリスとの間に 

  • 欲望の神・ポトス
  • エロース 

フローラとの間に 

  • 果実の神・カルポス 

ハルピュイアの ポダルゲ(イーリスの妹)との間に、 

  • バリオスとクサントス(アキレウスの馬) 

を設けています。 

 

神話の中のゼピュロス

サンドロ・ボッティチェッリ作「プリマヴェーラのゼピュロスとクロリス」

クローリス(フローラ)とゼピュロス 

アントニオ・バレストラ作「ゼピュロス、フローラ、キューピッド」

ゼピュロスは兄弟の北風・ボレアースとギリシャのニンフのクローリスの愛を争い、誘拐 

クローリスを妻に迎えました。 

自らの罪を悔いてクローリスに神の地位を与えています 

これによって春の女神フローラが誕生 

フローラとの間には、果実の神・カルポスが生まれています

 

ヒュアキントスとゼピュロス 

ジャン・ブロック作1801年『ヒュアキントスの死』

最も有名な神話として、スパルタの王子ヒュアキントスへの悲恋があります。 

ヒュアキントスはアポロンの恋人となった美しい若者。 

2柱は少年への愛を競い、ヒュアキントスはアポロンを選びます 

一説では、報われない愛を悲しんだゼピュロスはヒュアキントスを死に至らしめています。 

 

ある日、ヒュアキントスとアポロンが円盤投げで遊んでいたとき、ゼピュロスはアポロンの投げた円盤に疾風で向きを変え、ヒュアキントスの頭に当てて致命傷を負わせます 

悲しんだアポロンはヒュアキントスの血からヒヤシンスの花を咲かせています 

あるいは、ゼピュロスの妻フローラがヒヤシンスの花を咲かせたという説もあります。 

 

エロースとブシュケ 

ジャン=オノレ・フラゴナール作「キューピッドからの贈り物を姉妹に見せるプシュケ」

エロースとブシュケの物語は紀元2世紀、帝政ローマの弁論作家・アプレイウスの『変身物語』に記されています。

この中でゼピュロスは幾つもの場面でふたりに関わっています 

 

母・アフロディーテの命でブシュケに金の矢を射ようとしたエロースは誤って自分の足に矢を当ててしまいます。 

ブシュケに焦がれるエロースはゼピュロスに命じ、アポロンの神託により花嫁衣装(あるいは黒衣)をまとい、岩山の頂上に立ったブシュケを風に乗せ、エロースの宮殿に運ばせます 

 

宮殿で暮らすプシュケが二人の姉妹に会いたいと望んだとき、ゼピュロスは二人の姉妹も宮殿まで運んでいます 

エロースがプシュケに正体を知られ、プシュケの元を去った時、プシュケに嫉妬していた姉妹はそれぞれエロースに告白しようと、ゼピュロスに宮殿まで連れて行ってもらおうとしますが、転落し死亡しています。 

  

オデッセウス 

ヤーコブ・ヨルダーンス作 17世紀 『ポリュフェモスの洞窟のオデュッセウス』

ホメロスの叙事詩『オデュッセイア』の中でも、風の神たちはオデッセウスの旅路に幾度も関わっています。 

『オデッセイア』はトロイア戦争から帰還するオデッセウスの10年にわたる旅路を記した物語 

この中で、ゼウスは風の神・アイオロスに風の番人の仕事を任せ、風の神たちは皆アイオロスが統治するアイオリア島に住まいます。 

 

オデュッセウス一行は息子ポリュペーモスを失明させたことで海神・ポセイドンの怒りをかい、故郷イタケー島に帰れずに放浪の旅を続けます 

キュクロプス島のポリュフェモスから逃れた後、船はアイオリア島に到着。 

アイオロスはオデュッセウス一行をひと月の間もてなし、オデュッセウスが出航する際、ゼピュロス以外の風神の入った袋を与えます。 

そして、ゼピュロスにオデュッセウス一行を故郷へ連れて帰るよう命じます 

けれど、故郷のイタケー島が見えてくると、オデュッセウスは眠ってしまい、その間、部下たちは袋には金銀が入っていると思い、風神たちが入った袋を開けてしまいます。 

中に入っていた風神が解き放たれ、船は元のアイオロスの浮島まで吹き飛ばされてしまいます 

 

ゼピュロスと馬 

ゼピュロスは妻イーリスの妹とされるハルピュイアの一人ポダルゲー(ケライノー)との間に、バリオスとクサントスという馬をもうけています 

 

バリオスとクサントスはアキレウスの馬として知られる言葉を話す不死の馬 

トロイア戦争ではアキレウスの戦車を引いています。 

パトロクロスの死によってアキレウスが戦場に復帰、ヘラはクサントスの口を借りてアキレウスの死を予言しています。 

 

また、一般的にはポセイドンとデメテルの子とされ、ヘラクレスアトラスが所有する不死の馬アリオンもゼピュロスの息子であるという説があります 

 

キュパリッソス(糸杉) 

キュパリッソス(糸杉)はヘラクレスの孫、アポロンの恋人として知られる美しい若者 

一説にはゼピュロスの恋人とされ、自分の美貌を保つためにシリアのカッシウム山に逃げ、そこで糸杉の木に姿を変えられています 

 

カルプス(果実) 

ゼピュロスはニンフのホラとの間にカルプス(果実)という息子をもうけています 

けれど、ルプスは川で溺死。 

恋人のカラモスもそれを嘆き、自殺。 

水葦に姿を変え、風に揺れるその音は嘆きのため息なのだと伝えられています 

 

アネモネ 

春の女神・フローラの侍女であったニンフのアネモネをゼピュロスが見初め、これに嫉妬したフローラがアネモネを追放。 

ゼピュロスは彼女を花に変えて手元に置いたとされます。 

 

 

ゼピュロス、ソーシャルゲームではお馴染みのキャラ(?) 

ソーシャルRPG『グランブルーファンタジー』のゼピュロスは風属性の火力を大幅に上昇させる召喚石。

「ゼピュロスの加護」で「風、竜巻、乱気」の効果が150%UP。 

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『神姫プロジェクト』のゼピュロスは雷属性攻撃の他、作物の成長促進効果もある [稲妻の槌姫]。 

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『エレメンタルストーリー』ゼピュロスは敵全体に超強力な木属性攻撃と自身のHPを大きく回復する【西方の風】、毒ダメージ無効やオートドレイン効果が魅力。

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ゼピュロス まとめ 

ジャンバッティスタ・ティエポロ作、1960 年頃「ゼファーとフロール」

春に吹く風は、花の香りも運び、気分まで盛り上げてくれます。 

そんな春の風の擬人化であるゼピュロスが、恋愛に奔放なのはなんとなく納得です。 

 

恋した相手に強引になったり、失恋した相手に意地悪したくなる気持ちもわかります。 

そういう人間が近くにいるのは警戒しますが、神ならそれもアリなのかも。 

 

 

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