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北欧神話の冥府に注目です。
世界を支える大樹ユグドラシルの最下層にある氷の国ニヴルヘイム、そして、女神ヘルが支配する死者の国ヘルヘイム。
北欧神話の冥府とはどのようなところなのか。
ヴァルハラに行けなかった死者に与えられた死後の生活とはどのようなものなのか。
御覧ください。
目次
ニヴルヘイム、極寒の地。ヘルヘイム(ニヴルヘル)、死者の国
ヘルヘイム( Helheim)は、ユグドラシルの一番下の層にある死者の国、ロキの娘・ヘルが治め、時に「ヘル」「ニヴルヘル」とも呼ばれます。
ヘル(ヘルヘイム・ニヴルヘル)はユグドラシルの最下層にある霜と氷の国ニヴルヘイムの一部として位置しますが、時として、ニブルヘイムと同一視されます。
「ギュルヴィたぶらかし」によれば、ニブルヘイムの住人は病気や寿命で死んだもの。
一説には悪人はヘルの裁きを経てニヴルヘル(ヘルヘイム)に行くともいわれます。
けれど、北欧神話のヘル(ヘルヘイム)は地獄という意味のヘルではなく、あくまでヴァルハラに行けなかった者、病気や老で死んだものがゆく冥府。
なので、仏教の地獄やギリシャ神話のタルタロスような刑罰をうけることはありません
ニヴルヘイム、霜と氷の国
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ニヴルヘイム( Niflheimr)は霧の国を意味する霧と氷と闇の国、ユグドラシルに存在する九つの世界の中で最下層に位置します。
北の果に存在する極寒の地。天地創造以前、他の世界が誕生するはるか昔から存在した原初の世界の一つ。
南方にある灼熱の国ムスペルヘイムと巨大で空虚な裂け目ギンヌンガガプを挟んで対をなし、ミズガルズの下層に位置します。
この両世界の中間に神々の国アースガルズと人間の世界ミズガルズがあります。
その醜い容姿のために、オーディンによってロキの娘ヘルが投げ込まれた地、時に死の国ヘルヘイムと同一視されます。
すべての不気味なものの源
「ギュルヴィたぶらかし」によればニヴルヘイムはすべての不気味なものの源とされる地。
世界樹ユグドラシルの根の一つが伸び、中央には原始の泉、煮えたぎるフウェルゲルミルが湧き出ています。
泉から溢れる水はスヴォル、グンスラー、ヴィーズ、フィヨルム、フィンブルスル、ユルグ、スリーズ、フリーズ、シュルグ、ギョッル、フヴェルゲスヴォル、ヴィーズ、レイプト、これらの川となって全ての世界へと流れてゆきます。
このうちギョッル川にはニヴルヘイムとヘルヘイムを隔て、ギャラルブルという黄金の橋が架かっています。
これらとは別に、ニヴルヘイムにはエーリヴァーガルという川が北の巨大な裂け目ギンヌンガガプに至るとされます。
黒龍ニーズへッグ
また、フウェルゲルミルの泉には有翼の黒龍ニーズへッグやその配下の無数の蛇が棲み着いています。彼らは泉に投げ込まれる人間の死体をかじって日々を過ごしているといいます。
『古エッダ』「巫女の予言」によれば、重い流れの川を罪を犯した者が渡り、狼が彼らを引き裂き、ニーズヘッグが彼らの血をすするとされています。
死の国、ヘルヘイム(ニヴルヘル)
ヘルヘイム(ニヴルヘム)はニヴルヘムの地下にある女王ヘルが支配する死者の国。
湿っぽく、冷たい、霧のかかった場所と伝えられています。
一説には、ヘル(ヘルヘイム)のさらに下には、ニヴルヘルという冥界があり、悪い人間が死後に送られるとされます。
死者が暮らすヘルの館エーリューズニル
ヘルの屋敷は、大きな門と高い垣根で囲まれた巨大なもの。館の名はエーリューズニル(雨で濡れたもの)、ガングラティ(動作の遅い男)という下男と、ガングレト(動作の遅い女)という下女が仕えています。
老いや病で死んだ者はここにあるヘルの館エリューズニルに招かれることになります。
けれど、この館にたどり着く道は険しく、死者たちの旅は苦難を極めます。
死者は険しい道をたどり、ギョル川を渡ります。
その川には黄金の橋ギアラルが架けられ、ヘルへたどり着くにはこの橋を渡らなければなりません。
けれどその橋はモズグズという少女(あるいは巨人、処女)が道を塞いでいます。モズグズが認めた者しか通れないのです。
無事橋を渡った後にはグニバヘッリルという洞窟があり、この洞窟がニブルヘルの入り口になります。
やっとたどり着いた館は高い垣根で囲まれており、垣根の入り口には大きな門があり、ガルムという怪物が入り口を守ります。
ガルムは胸元に渇いた死者の血が付いた狼に似た巨大な身体の獰猛な番犬。生者がニブルヘル(ヘルヘイム)に入ること、中に入った死者が外に出ることを許しません。
ちなみにラグナロクでは、ガルムは軍神テュールの喉を噛み切り相打ちになっています。
この垣根の内側がヘル(ヘルヘイム)。
館の入口の敷居はファッランダ・フォラズ(つまづく危険な所)、天蓋はブリーキャンダ・ベル(輝く災い)。
死者たちはケル(病床)という名のベットで寝起きし、フングル(空腹)という名の皿、スルト(飢え)という名のナイフで食事をとります。
モンスターになる、禁断の果実になる、ヘルヘイム。やっぱり不気味な場所、ニヴルヘイム
ニンテンドー3DS専用ソフト『パズドラZ』の中で「究極邪龍・ヘルヘイム」というボスモンスターとして登場しています
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「仮面ライダー鎧武/ガイム」でのヘルヘイムは食べると怪物になってしまう禁断の果実
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ソーシャルゲーム『ラグナロクオンライン』のニブルヘイムはイグドラシルの幹を抜けていくかしないと辿り着くことはできない死者の街
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「ファイナルファンタジーⅦ」のニブルヘイムはニブルヘイム事件の現場にもなる片田舎の小さな村
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ヘルヘイム ニヴルヘイム まとめ
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正直なところ、これまでヘルヘイムはもっと怖いところかと思っていました。
たとえ、病床という名のベットでも寝床で眠れ、飢えと空腹という名でも食事が与えられるなら上等です。
けれど、永劫、そこから出られないなら、それは辛い。 悪い事していないなら転生させてほしいです。