イーヴリン・ド・モーガン作
エオス（エーオース Ēōs）はギリシャ神話の暁の女神。ローマ神話ではオーロラ（アウロラ）、ディズニー映画のオーロラ姫、極寒の地の発光現象や小惑星の名としても有名です。
元は太陽神ヘリオス、月の女神セレネと並ぶ「光明の３神」の一神。
エオス（オーロラ）は暁の女神でありながら、その物語はディズニー映画のように決して明るいものではありません。
夜明けを翔ける女神エオス（オーロラ）の辿る罪と、そのために与えられた悲しい罰とは。
目次
エオス（エーオース）オーロラ（アウロラ）光明の3神の1柱
エラルート・デ・ライレッセ作
曙の女神エオス（エーオース）オーロラ（アウロラ）は、兄である太陽神ヘリオス、姉妹である月の女神セレネに並ぶ、光明の３神の一神。エーオースの名は古典ギリシア語で「暁」、暁が神格化された存在です。
朝の明けかけた空に映える金の髪をなびかせ、ランポス(光)とファエトン(輝くもの)という名の二頭が引く馬車に乗って、毎朝夜の闇を払い、太陽神ヘリオスの出現を告げながら東の空から西の空へと駆け抜けて行きます。
エオス（オーロラ）はウラノスとガイアの息子タィタン族の光明神ヒュペリオンとヒュペリオンとは兄妹でもあるテイアの娘。
同じティーターン神族の系譜にあるアストライオスの妻で、アストライオスとの間に三柱の風の神アネモイ、ゼピュロス（西風・春風の神）、ボレアース（北風の神）、ノトス（南風の神）たちを出産。
イーリオス王ラーオメドーンの子ティトノスとの間には英雄メムノンが誕生しています。
メムノンはトロイア戦争でアキレウスと戦い、戦死。朝露はエオス（オーロラ）が息子の死を悲しむ涙であると伝えられています。
グイド・レーニ作
アウロラは毎朝、太陽神ヘリオスを天空へと先導します。行動を共にする一群の乙女たちは、季節の女神ホーラたち。
エオス（オーロラ）の美しさを古代ギリシャの吟遊詩人ホメロスは『薔薇色の指を持つ女神』と謳い、詩人たちは「雪の瞼」「サフランの衣をまとった女神」と賛美。
18世紀頃から、中緯度の極光が夜明けの光に似ているところから、極寒の地で起こる発光現象がオーロラと呼ばれるようになりました。
エオス（オーロラ）の罪と罰
フランソワ・ブーシェ 作 『日の出』
ティーターノマキアで敗北したティーターン族はタルタロスに幽閉、エオス（オーロラ）の夫アストライオスもまたタルタロスに落とされることになります。
その後妻エオス（オーロラ）は軍神アレスと愛し合い、アレスの愛人アフロディーテの嫉妬で「人間の男に恋をし続ける」呪いをかけられます。
この呪いのためエオス（オーロラ）はその後多くの男たちとの遍歴を重ねてゆくことになります。
有名な相手として、ポセイドンの子オリオン、ポーキス王デイオンの子ケパロス、イーリオス王ラオメドンの子ティトノスなどがいます。
オリオンとエオス（オーロラ）
ヨハン・ハインリヒ・ティシュバイン作「オリオンとアルテミス」
オリオンは死後オリオン座になったポセイドンの息子。ポセイドンから水の上を歩く能力を受け継いだ美しい男神。けれど移り気なオリオンは多くの女神や人間の女性との浮名を流します。
オリオンとエオス（オーロラ）はオケアノス（外洋）で出会い、ふたりは愛し合います。エオス（オーロラ）はオリオンと会いたい一心で務めも早々に終わらせてしまいます。
夜が明けるのが早くなったことを不審に思ったアルテミスが東の果てを訪ね、オリオンと出会います。
オリオンはアルテミスに心変わり、エオス（オーロラ）のもとを去ってゆきます。
ケパロスとエオス（オーロラ）
ピエール＝ナルシス・ゲラン 作
デイオンの子ケパロスにはアテナイ王エレクテウスの娘プロクリスという妻がいます。
ケパロスが狩りの途中エオス（オーロラ）はケパロスを見初め、連れ帰ります。けれどケパロスは妻プロクリスを恋しがり、エオス（オーロラ）の機嫌を損ねます。
エオス（オーロラ）は妻プロクリスの貞操を試すため、夫ケパロスを別人に変えて妻の元に返します。プロクリスは別人になった夫ケパロスの愛を受け入れ、それに失望したケパロスに咎められ、家を出て狩猟生活を始めます。
ティトノスとエオス（オーロラ）
ラオメドンの子ティトノスとの間にはエマティオンとメムノンという兄弟が生まれています。エマティオンはヘラクレスによって殺されたエチオピアの王。メムノンはトロイア戦争でアキレスに討たれた英雄です。
ティトノスは美しい人間の若者。エオス（オーロラ）は自らの館に連れ帰り、夫とします。
エオス（オーロラ）はゼウスに夫の不死を願います。けれど不老を願わなかったため若く美しいティトノスはやがて年を取り、エオス（オーロラ）は老いたティトノスを奥深い部屋に移し、扉を閉ざしてしまいます。
その後、ティトノスの声が今も聞こえているとも、ついには声だけの存在になった、エオス（オーロラ）にセミに変えられてしまったとも伝えられています。
エオス（エーオース）オーロラ（アウロラ）、やっぱオーロラは「姫」キャラ？
ディズニー映画「眠れる森の美女」は1959年公開作品。主人公は「夜明けの光」という意味をもつオーロラ姫です。
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『それいけ!アンパンマン』のオーロラ姫は氷の国のオーロラ城に住まうお姫様。魔法の杖で7色の美しいオーロラを自由に操る事ができます。
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「ストライクウィッチーズ」シリーズのアウロラ・E・ユーティライネンは「モロッコの恐怖」と呼ばれる陸軍第12師団第34連隊第6中隊隊長。
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「機動戦士ガンダム」のギャン・エーオース、ジオン公国軍の試作型モビルスーツ。
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エオス（エーオース）オーロラ（アウロラ）まとめ
ジョン・ラファージ 作「夜明け」
恋愛には精神的にも大変な労力が必要であると思います。時として、寝食を忘れ、死もいとわないほどに恋いこがれることもある。そんなシンドイ思いを続けなければならないのは、物凄い拷問であるとも思えます。
エオス（オーロラ）の受けた呪いは、花や星に変えられるのとは全く違った、酷い仕打ちであるとも思います。
けれど、世の中には常に恋をしていたいというような人もいるようで、まあ、当人の気持ちは本人でなければわかりませんが。。。
