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ヘイムダル、人間の祖。虹の橋ビフロストを守る謎多き光の神

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出典:deviantart

ヘイムダルでイメージするのはやはり映画の中の光の神。

それ以外あまり馴染みがないようにも思いますが、実は人類の祖にしてラグナログの際にはロキと相打ちになる重要な存在なんです。

「謎多き光の神」とも称されるヘイムダルのその由縁を探ります。

人間の理解を超えた神の生い立ち、ご覧ください。

 

 

ヘイムダル、有事を知らせる人類の祖にして謎多き神

ニルス・アスプルンド作

ヘイムダル(Heimdall)北欧神話の原初の神

その名は一説には「世界を照らす者」という意味を持つとされます。

 

ヘイムダルは「ビフロストの橋」を守る監視人

グルトップという黄金のたてがみを持つ名馬を所有し、バルドルの葬儀の際はグルトップに乗って参列したと伝えられています。

グナロクでは、ギャラルホルンを高らかに吹上げ神々の戦意を喚起

自らはロキを相手に戦って相討ちとなります

 

ヘイムダルについては『古エッダ』『散文のエッダ』などの中に多くの記述が残されています。

その中でヘイムダルは「白いアス」として知られる「偉大で神聖」な神

人間の祖であり、多くの名を持つ、特異な能力と生い立ち、風貌の神

けれどその存在は解釈が難しく、謎めいており、ヘイムダルは空間と時間、またその境界を擬人化したものと考えられます。

 

ヘイムダルの役割

 

エミール・デープラー

ヘイムダルの肖像の多くに角笛ギャッラルホルンが描かれています。

ギャッラルホルンは通常世界樹ユグドラシルの根元にあるミーミルの泉に隠してあるとされ、有事の際にヘイムダルはそれを吹き鳴らすと伝えられています。

 

ヘイムダルは神の国アスガルドと人間の国ミッドガルドをつなぐ「ビフロストの橋」を守る役割を担います

ヘイムダルの住居「天の山」を意味するヒミンビョルグは燃える虹の橋と天が交わる場所に建てられ、その天国の端に座ってジョトナー(ヨトゥン、あるいは超自然的存在)の侵入を監視します。

 

最終戦争ラグナログの際には角笛ギャッラルホルンを吹いて、アースガルドの神々に「世界の終末」を知らせます

 

ヘイムダルの出生

W.G. コリングウッド作  1908年

ヘイムダルは神々を父に(あるいはオーディン)、9名の姉妹、「波の乙女」と呼ばれた海神エーギルとラーンの娘たちを母に生まれました

「ヘイムダルの謎」では「9人の母の子、9人姉妹の息子」と謳われており、この母や姉妹は海の波

ヘイムダルは波の間から昇る暁光の象徴、万物生成の神としての属性を持った存在

また世界樹ユグドラシルが神格化された存在であるという説も存在しています。

 

人間の始祖

WG コリングウッド「曽祖父のコテージのリグ」(1908 年)

ヘイムダルは古エッダ「リーグの歌」に記述されている人間の始祖リーグ(リグル)(Rígr, Ríg)と同一視されています

成人したヘイムダルは人間界を訪れ、年齢の異なる3組の夫婦の元で1夜を過ごし、それぞれの妻と交わります。

ヘイムダルはエッダ、アンマ、モージルの3人の女との間に3人の息子スレール(奴隷)、カルル(自由農民)、ヤルル(貴族)をもうけ、人間の、あるいは階級の祖となっています

 

またヘイムダルは『散文のエッダ』の「ギルフィの誘惑」「スカルスカパルマル」「ハッタタール」の中でも語られています。

その内容は賢明で強力な神ヘイムダルがリーグ(リグル、王の意味)と名乗って人間の間を旅します

そこでさまざまなカップルに会い、一緒に食事をし、アドバイスを与え、彼らの間で床を共にして眠ります。

夫婦の妻は妊娠、そこからさまざまな階級の人類が生まれます

 

ヘイムダルの能力

ロレンツ・フローリッヒ作

ヘイムダルは特殊な能力を有します。

  • 夜でも昼間と同じように目が見え100マイル先まで見通せる「千里眼」
  • どんな小さな音でも聞き逃さない、芝が伸びる音や羊の毛が生える音、葉が落ちる音まで聞き取れる「地獄耳
  • 一切の睡眠を必要としない身体

また、ヴァン神族であるヘイムダルには未来を予知する能力も備わっていたと伝えられています。

 

ヘイムダルの容姿

ヘイムダルは様々な異名を持ちます。

そのひとつ「白きアース神(Hvítastr-Ása)」。

これは神々の中でも最も美しい容姿を持つヴァン神族である光の神を意味していると考えられます。

  • 全ての歯が黄金(あるいはエメラルド)である「黄金の歯を持つもの(Gullintanni)」
  • 鋭い角を持つ「曲がった枝」
  • そして黄金の牙、鋭い角を持つ牡羊の化身とも考えられ、その頭は「ヘイムダルの剣」 と称されます

そのため古代の北欧では鋭い剣を「ヘイムダルの頭」と表現したと伝えられています。

 

ヘイムダルとロキ

ニルス・ブロメール作

ヘイムダルとロキは因縁深い関係にあります

『ロキの口論』第48節でロキはヘイムダルを「昔は背中を濡らしながら常に目を覚ましていて、見張り番をしなければならない卑しい存在だったと評しています。

いたずら好きのロキが女神フレイヤのブリーシンガ・メンの首飾りを盗んだ際、それを目撃しロキを追跡、激しい戦いの末フレイヤの首飾りを取り戻しています

その際ロキとヘイムダルはヴァーガ岩礁とシンガ岩で決闘、ヘイムダルはアザラシに姿を変え、戦います。

ラグナログでもヘイムダルはロキと戦う宿命にあります。巨人軍に寝返ったロキを討つという予言を受け、その予言の通りに相打ちという結果に終わっています。



 

現代でも超能力は有効?ヘイムダル

木下さくら作の漫画「魔探偵ロキ」ではロキに右目を取られ憎んでいる小学生の東山和実として登場。未来を見る予知能力や遠くを見通せる千里眼を持つ少年。


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超神化系RPG「プロジェクトではギャラルホルンを解放ウエポンに、透視能力と驚異的な聴力を持ち、竜巻を操る神姫として登場しています。

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人気アニメ「終末のワルキューレ」では神対人間の最終戦争の始まりを告げる「終末の番人」。ヴァルハラ闘技場のリングアナウンサーを務めています。

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ヘイムダル  まとめ

出典:deviantart

尖った鋭い角、黄金の歯を持ち、視覚と聴覚に優れた予知能力の持ち主ヘイムダル。これはもう神というより憑依するペルソナそのもののような存在に思えます。

ヘイムダルが人類の祖であるのなら、人類にも実は想像を絶する潜在能力なんかも備わっていたりするんでしょうか。

私はひたすらそれを期待する凡人のひとりです。

 



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