モーガン・ル・フェイ、マーベルキャラになったアーサー王の姉

「魔女」「悪女」と呼ばれているような人物も、実際は評価通りの人間ではない、という例は多いですよね。

今回ご紹介するのはその中の1人、その名もモーガン・ル・フェイ。

かつては妖精と称されたものの、後に魔女と呼ばれた女性。マーベルの悪役キャラとなったアーサー王の姉モーガン・ル・フェイ、妖精から魔女に転じたその変遷を辿ります。

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1 妖精か魔女か、二面性を持つモーガン・ル・フェイ
2 モーガン・ル・フェイ、魔女・モーガンが一般的
3 モーガン・ル・フェイ、まとめ

妖精か魔女か、二面性を持つモーガン・ル・フェイ

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モーガン・ル・フェイは、イギリスのアーサー王伝説に登場する女性です。

名前は『妖精モリガン』という意味で、円卓の騎士のひとりともされるユーウェインの母であり、アーサーの異父姉として知られています。

妖精モーガン

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モーガン・ル・フェイは魔法に長けた水の妖精で、ヴィヴィアンやニミュと同じ「湖の貴婦人」と呼ばれています。

イタリアではファタ・モルガーナ（Fata Morgana）。時には蜃気楼を作って船を座礁させることもあったとされます。その起源はケルト神話の処女・母・老婆の三位一体の戦女神・モリガンであり、同一視されることもあります。

12世紀後半に書かれたジェフリー・オブ・モンマス著『マーリンの生涯』では、モーガン・ル・フェイは伝説の島・アヴァロンを統べる9姉妹の長女であり、医術に長けた聡明な女性として描かれています。

神秘の歌声を持つ歌姫で、変身術を身に着けているため、翼を使って飛翔することもできました。

主な活躍として、アーサーとその異父姉・モルゴースとの間にできた不義の子・モードレッドとの戦いで、重傷を負ったアーサーをアヴァロンに運び、傷の治療をしたことが挙げられます。

魔女モーガン

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当初は上記のように、「妖精」としての側面が強かったものの、15世紀後半に執筆された『アーサー王の死』では、モーガン・ル・フェイは妖術を扱う邪悪な魔女として描かれました。

母・イグレインがアーサーの父・ユーサーと再婚した後 (イグレインは当初、コーンウォール公・ゴルロイスの妻でしたが、彼女に一目惚れしたユーサーがゴルロイスに化けて交わり、アーサーが誕生したという経緯があります) 、修道院に入ったモーガン・ル・フェイは、堕落した修道院教育と魔術師・マーリンの指導の下、妖術を身につけます。

モーガンはアーサーを嫌い、彼の偉業を何度も阻害しています。

円卓の騎士の一員であるランスロットの恋人・エレインの美しさに嫉妬し、彼女を幽閉して熱湯で茹でる責め苦を負わせます。

また、持ち主を癒し、不死にさせる聖剣・エクスカリバーの魔法の鞘を盗み、湖の中に投げこむというような悪事を行います。

モーガン・ル・フェイが聖剣エクスカリバーの鞘を捨てたことにより、アーサーは不死でなくなり、後にアヴァロンで命を落とすことになりました。

アイルランドの伝説でのモーガン・ル・フェイは、死者を再生する魔法の大鍋を守るアヴァロンの支配者でもありました。

モーガン・ル・フェイと円卓の騎士たち

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モーガン・ル・フェイは、13世紀後半の『ガウェイン卿と緑の騎士』にも登場しています。『ガウェイン卿と緑の騎士』は、モーガン・ル・フェイの妖術によって全身緑色の姿にされてしまったベルシラック公とガウェインの物語です。

また、他の伝説として、モーガン・ル・フェイは現在のフランスのブルターニュ地方にあるブロセリアンドの森に「帰らずの谷」という異界を作ったといいます。そこに恋に不実な騎士たちを捕らえていましたが、谷の番人である2頭のドラゴンを倒し、モーガン・ル・フェイの妖術を打ち破ったランスロットによって騎士たちは解放されました。

ちなみに、モーガン・ル・フェイの「ル・フェイ」はフランス語で妖精を意味する「la fée」からとられており、それがそのまま名前として伝わったといいます。

ちなみに古い時代の巫女としてのモーガン・ル・フェイは、マリオン・ジマー・ブラッドリーのファンタジー小説『アヴァロンの霧』としても描かれています

アヴァロンの霧〈1〉異教の女王 (ハヤカワ文庫FT)