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ガヴェイン、ランスロットと並ぶ円卓の騎士 その生涯。「緑の騎士」との関係は

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出典:deviantart

サー・ガヴェインは、アーサー王伝説に登場する円卓の騎士の一人です。

騎士道の鑑であったとされ、ランスロットに並ぶ実力者

太陽の満ちればその力が増大する「太陽の騎士」

誕生、成長期、「サー・ガヴェインと緑の騎士」で伝えられる彼の冒険、そして壮絶な最後までをご紹介です。

 

 

ガヴェイン 太陽の騎士の異名も持つ円卓の騎士

ハワード・パイル作

ガウェイン(Gawain)は、「アーサー王物語」に登場する円卓の騎士のひとり

円卓の騎士最強とされるランスロットに並ぶ、武勇と礼節を兼ね備えた「忠義の騎士」として名高い騎士。

マビオギオンの『キルッフとオウェイン』に登場するウェールズの英雄グワルフマイが起源であるとされます。

グワルフマイは直訳すると「五月の鷹」。ケルトの社会では五月は夏に当たり、グワルフマイはケルト神話の太陽神と関係があると見なされています。

その影響か、ガヴェインには正午にかけて力が増して平常の3倍になり、太陽が沈むと弱くなるという特殊な能力が備わっていたと伝えられています。

またガヴェインは『ガウェインの結婚』や『アーサー王のターン・ワザリング冒険』などケルトの様々な物語に登場しています。

 

家系

ハワード・パイル 作

ガヴェインはオークニー国のロット王とアーサー王の姉であるモルゴース(アンナ)との息子、つまりアーサー王の甥にあたります。

弟に

  • ガヘリス― ガヴェインの従者を務めた円卓の騎士の一人
  • ガレス ― 円卓に騎士の一人、ガヴェインとランスロットの対立の原因となった人物
  • アグラヴェインー円卓の騎士の一人ランスロットと王妃の不義を知り、ランスロットに倒される
  • モルドレッド(異父弟)

息子に

  • フローレンス
  • ロヴェル
  • ガングラン 無名の美男子として貴種流離譚の一種『フェア・アンノウン』や『ガングランの冒険』などが残されています

 

ガヴェインの成長期

ジョン・エヴェレット・ミレー作

ガウェイン(Gualguanus)は中世の歴史家ジェフリー・オブ・モンマスの『ブリタニア列王史』に登場。

アーサー王の甥。12歳のときにローマ教皇スピルキウスの小姓として派遣され、騎士の爵位を得ます

 

12〜13世紀の韻文騎士道物語『アーサーの甥、ガウェインの成長記』ではガヴェインの誕生から青年期に至る冒険が描かれています。

 

誕生

ユーサー・ペンドラゴン(アーサー王の父)の娘アンナ(モルゴース)はオークニーのロット王との子を妊娠。結婚前のアンナは生まれてきた子供に「ワルウアニウス Waluuanius (ガウェイン)」と名付け、エメラルドの認印指輪(シグネットリング)と、子供の素性を証明する手紙を添え、商人に託します。

けれど、漁師ウィアムンドゥスが連れ去り、自分の子供として育てます。

 

7年後、漁師はガウェインと共にローマに移り、ガリアの貴族を装いローマ皇帝と教皇の友人にまでになります。

そして皇帝にガウェインの出生を証明する指輪と手紙を託します

 

ガヴェインは15歳の時には騎士となり、その非凡な才能を発揮し大競技場の模擬試合にも勝利赤い上着を羽織ったガヴェインはこの時より「陣羽織の騎士」と呼ばれるようになります

 

ガヴェインはその後も幾つもの冒険を経ます。

 

海賊王・ペルシア軍との戦い

ある時ガヴェインの船団は海賊王(ミロクラテス)の島に辿り着きます。

海賊王は捕えたローマ皇帝の姪を妃としていましたがガヴェインは王を討ちとり妃を救出

助けられた妃は王となる力を得るとされる「王の剣」と「黄金の鎧」をガヴェインに授けます。

 

ローマ軍はエルサレムに到着。ガヴェインはペルシア軍の代表騎士ゴルムンドゥスという大男と決闘

この勝利により、ペルシア軍は敗戦しエルサレムから撤退陣羽織の騎士の功績はローマ中に知れ渡ります。

 

アーサー王との出会い

次にガヴェインの船団はブリタニアへ向います。

皇帝はガヴェインに出生の秘密が入った小箱を託します。

ガヴェインはアーサー王(アルトゥルス)に謁見し、出生の秘密の入った小箱をアーサーに献上します。

アーサーは甥であることを喜びますが、円卓の騎士がなしえなかった冒険に、単独で挑み成功せよという難題をガヴェインに与えます。

異教徒の王から攻撃を受けた「乙女の城」の女城主の救援

異教徒王の征伐はアーサー王も成し得なかった難題です。けれど、ガヴェインはこれを難なく成し遂げ、異教徒の軍隊を壊滅させます。

ガヴェインは、異教徒王の首を戦旗にくくりつけ、女城主と共に凱旋。

アーサー王は、陣羽織の騎士がロット王とアンナの息子ガウェイン(ワルウアニウス)であることを世に公表しました。

 


 

ガヴェィンの結婚

ウィリアム・ヘンリー・マーゲットソン作「ガウェインと嫌な女」

『ガウェイン卿とラグネルの結婚』は、15世紀後半に成立したと思われる中世文学「嫌な女」に綴られた物語の一つ

 

ある時アーサー王のもとに邪悪な騎士に城を奪われたと若い女が助けを求めて来訪

アーサーが奪われた城に入ると、全身の力が抜けてしまいます。

そこに邪悪な騎士が現れ、「世の中の婦人たちが一番望むものは何かという答えを今年の暮れまでに持ち帰ってくること。この約束を破ったなら貴公の国を渡すことになる」という約束を交わしアーサーは解放されます。

王は確たる答えがないまま12月の半ばを過ぎてしまいます。

アーサー王は森に入り真っ赤な服を着た謎の醜い女に出逢います。

アーサーは美しく礼儀正しい騎士を夫にすることを約束して、女から答えを得ます

王は、約束通り再び奪われた城を訪れ、醜女から聞いた「自分の意思を持つこと」という答えを返します。それを聞いた騎士は「それは自分の妹だ。」と悔しがりながらも約束を果たします。

自身の城に帰ったアーサー王は、ガウェインに森の醜女のことを話します。ガウェインは自分が結婚すると同意

結婚式の後二人きりになったさすがのガウェインも嫌気が差し、「あなたは年上で、顔が醜く、おまけに上品でないのが嫌です」と正直に話します。

妻は「年を取っているということは、若い人よりも考えが深いのです。

醜いから他人に奪われる心配がないでしょう。また上品か下品かは、生まれつきで決まるわけではありません」と返答。

的を得た妻の答えにガウェインがふと妻を見ると、妻はいつの間にか美しい女性に変貌しています。

妻は、悪い魔法使いに呪いをかけられており、「若くて優れた騎士を夫にする」ことで呪いが解けたのだと話します。

そして、「昼美しく夜醜くなるか、昼醜く夜美しくなるか、どちらが良いか」とガウェインに尋ねます。ガウェインは、自分だけが眺めていられる夜美しくなるのが良いと答えますが、妻は昼は大勢の人に会うことになる昼に美しい方が嬉しいと反論。ガヴェインがそれに同意すると二つ目の呪いも解け、妻は一日中美しい女性に戻ります

同時に騎士の呪いも解け心の広い騎士に戻ったといいます。

 

ガヴェインと緑の騎士

作者不明

「サー・ガヴェインと緑の騎士」は作者不詳の韻文物語で、1400年ごろにイギリスで書かれたとされています。

 

アーサー王たちが宮廷で新年を祝っていると髪や衣服、皮膚まで全身が緑一色の「緑の騎士」が現れ、「首取りゲーム」の勝負を挑みます。

ガヴェインが緑の騎士の挑戦を受けることになります。

まずガヴェインが無抵抗の緑の騎士の首に一太刀を加え、一年後に緑の騎士が無抵抗のガヴェインの首に一撃を与えるというもの

はたして、ガヴェインの一撃が緑の騎士の首をはね飛ばします。

しかし、緑の騎士は落とされた自分の首を拾い上げ、「1年後、緑の礼拝堂で待っている。そこでお前に仕返しの一撃をくれてやる」と言い残し、宮廷から去っていきました。

ガヴェインは約束を果たすために「緑の礼拝堂」に向かう旅に出ます

途中、夜の宿として立ち寄った城の城主に翌日ガヴェインが得たものと城主が狩りで得たものを交換しようと」いう提案を受けます。

城主は狩りに出かけ、その留守にガヴェインは城主の后に誘惑されます。ガヴェインは上手く逃げるための軽いキスを数度交わします帰宅後城主は狩りで得た獲物を、ガヴェインは数度の軽いキスを交換します。

一年後の約束の日、再び緑の騎士と相対したガヴェイン。緑の騎士はしかしガヴェインに攻撃するそぶりだけ見せ、ほんのかすり傷しか与えません

そこで緑の騎士は旅の途中立ち寄った城の城主であることを明かします。そして、旅のなかでガヴェインが自身の勇気と誠実さを、緑の騎士に対してすでに示しているための結果であることを告げます。

見事緑の騎士との約束を果たし、宮廷に帰ってきたガヴェインは皆から称えられました。そして、ガヴェインが冒険の結果身に付けるようになった緑の帯を、円卓の騎士たちも真似て身に付けるようになったといいます。

 

ガヴェインの死

ハワード・パイル作

サー・トーマス・マロリー著「アーサー王の死」では、ガヴェインはランスロットとの一騎討ちに敗れ、その傷が原因で命を落とします。

 

ランスロットはグウィネヴィアとの愛のために、結果的にガヴェインの三人の弟たちを殺すことになります。

ラーンスロットに対して強い友情を抱いていたガヴェインですが、殺された弟たちのためにランスロットに一騎討ちを挑んだのです。

 

15世紀の騎士トーマス・マロニー著『アーサー王の死』でその詳細が語られています。

ガウェインは午前中の3倍の力で圧倒しようとしますが、ランスロットはその時守りに徹し、午後敵の力が萎えたところで反撃に転じます。

ガウェインは頭を一撃され戦闘不能に陥ります。ランスロットは立ち去ろうとしますが、ガウェインは再びランスロットに挑み再度重傷を負うことになります。

この頃、モルドレッドの反乱が発覚、アーサー王はその制圧に向かうことになります。

ガウェインも負傷の身でドーヴァーの戦い参戦。再三の負傷で瀕死の状態にまで陥ります。

アーサー王の腕に抱かれたガウェインは、死の間際、ランスロットを赦し、モードレッド軍と戦うアーサー王に加勢するよう頼むのでした。

 

 

ガヴェイン ゲームやアニメでも戦士

円卓の騎士たちが多く扱われている「Fateシリーズ」には、セイバーのサーバントとして登場します。忠義の厚い理想的な騎士として描かれており、人気のキャラクターです。

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グランブルーファンタジー」のガヴェインは全身赤で統一された甲冑に黒いマントの出で立ちで、両刃の長斧を武器とする呪われた甲冑を纏った若き騎士。人助けを目的として島々を渡り歩いています

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『コードギアス』シリーズのガウェイン「コードギアス 反逆のルルーシュ」に登場するナイトメアフレーム

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ガヴェイン まとめ

出典:deviantart

サー・ガヴェインは円卓の騎士の中ではラーンスロットに次ぐ実力キャラ? 武勇と礼節を兼ね備えた騎士だけに物語の主人公としても人気です。

アーサー王の物語は円卓の騎士それぞれはとても誠実な人格者揃いなのに、物語の結末は裏切りや不義密通の泥沼劇。こんなイケメンたちが無駄死にするのは勿体無い、なんて思ってしまいます。

 

 

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