出典:deviantart
ヴァイキングをはじめとしたゲルマンの戦士は、非常に勇敢でした。
それは「彼らが死を恐れなかったから」。
これが彼らが強くあった理由のひとつでしょう。
勇敢な戦士は死後、エインヘリャルという魂になり、ゲルマン神話の主神であるオーディンの館・ヴァルハラに迎えられます。
それは栄誉なことで、戦士は皆そんな死に方を望んだため。
今回は、そんなエインヘリャルについてご紹介。
当時のゲルマン戦士の死生観や考え方が分かるかも
目次
エインヘリャル 選ばれた勇者の魂
エインヘリャルとは
エインヘリャル(einherjar)とは、北欧神話に登場する、ヴァルハラに迎えられた、戦場で勇ましく戦い死亡した勇者の魂をいいます。
北欧の神々は、ラグナロクで巨人族と戦い、終焉を迎えることが宿命づけられており、その際、神々と共に戦うのがエインヘリャルです。
ヴァイキングなどのゲルマン戦士の間では、死後、エインヘリャルとしてヴァルハラに迎えられることが栄誉なことであり、憧れの最期であるとされました。
そのため、戦場で死を恐れることなく戦うことができたといいます。
死した勇者はワルキューレによって選別され、ヴァルハラの館につれられます。
エインヘリャルとなった戦士たちは、ラグナロクの際、ヴィグリッドの野での大戦に進軍する日のため、日夜殺し合うまでの激しい鍛錬を続けます。
勇者がエインヘリャルになるまで
オーディンは地上で戦争が起こると、ワルキューレを派遣し、戦場で勇敢に戦い死した戦士を見定めさせました。
その際、ワルキューレを率いる愛の女神・フレイヤは、オーディンと戦死者を分け合う権利を持っており、まず、戦死者を自身の宮殿・フォールクヴァングに運びます。
そして、セスルームニルという大広間で戦士を選び取ります。
(それがなんの目的であったのかは不明)
その後、残った勇者たちがヴァルハラに迎えられました。
ヴァルハラのオーディンは古ノルド語でヴァルファズル『戦死者の父』とも呼ばれます。
そして、そこに迎えられた戦死者は全てオーディンの子、養子となり、エインヘリャルと呼ばれるようになります。
エインヘリャルの生活
エインヘリャルはラグナロクに向けて、毎日、夜明けから朝食まで戦闘訓練を行い、戦士としての腕を磨きます。
そして、朝食の時間になると、戦闘訓練で死んだ者は復活、傷ついた者は回復し、ワルキューレの給仕のもと、ヴァルハラで盛大な宴が催されました。
ヴァルハラには、はちみつ酒の乳を流すヘイズルーンというヤギがおり、このはちみつ酒とビールがエインヘリャルの主な飲み物になりました。
また、同じくヴァルハラには何度料理されても夕方には元に戻るイノシシ・セーフリームニルがおり、料理人・アンドフリームニルがこれを大鍋・エルドフリームニルで煮てエインヘリャルに振る舞いました。
エインヘリャルは、この宴で活力を得て、翌朝になると再び戦闘訓練を行ったといいます。
一年の大半が雪で覆われる北欧の地は、農作物の収穫も少なく、農民たちは食料を確保するために他国へ侵略に出なければなりませんでした。
これがヴァイキングです。
そんなヴァイキングにとって、毎日素晴らしいご馳走を美しいヴァルキュリアの給仕で与えられ、楽しく飲み食いできる、これはまさに楽園での憧れの生活。
ヴァイキングが死を恐れなかった理由の一つでもありました。
エインヘリャル、現代でもヴァルキュリアと対?
リズムゲーム「アイドルマスターシンデレラガールズ スターライトステージ」では、アイドルたちのユニット名として登場。エインヘリャルの別表記であるアインフェリアの名前です。「生存本能ヴァルキュリア」という曲を力強く歌い上げます。
ーーーーーーーーーー
ゲーム「ヴァルキリープロファイル」では、メインキャラクターとして登場。本作がワルキューレを主人公としたゲームであり、彼女たちに選別され、戦闘要員として共に戦います。
ーーーーーーーーーー
エインヘリャル まとめ
出典:deviantart
当時の北欧の人々にとって、戦いを好まぬものは臆病者として皆から蔑まれたといいます。
そうして、死んでも楽しい楽園での生活が待っている。
私でさえ、もしその地の男子に生まれたら勇敢に戦って死にたいと望んだだろう思います。
けれど、ただ単に戦いを好まぬものが臆病者扱いされるのは、違うなっとは思いますが