出典:deviantart
雨がひとしきり降るこんな時期、雨を司る神について探ってみました。
けれど、主な神としては以外に少なく、日本の暴風神でもあるスサノオ、そして、この、ヒンドゥー教の軍神インドラ。
インドラはスサノオ神同様、荒ぶる神、民衆の信仰厚い英雄神。
そんなインドラに注目です。
目次
インドラ、雷を象徴する英雄神
インドラ(Indra)はバラモン教・ヒンドゥー教・ゾロアスター教の武神。
インドではデーヴァ(神々)の王、正式名はśakro devānām indraḥ。「神々の帝王であるシャクラ」を意味し、別称、シャクラ、サッカとも呼ばれます。
雷霆、天候を司るデーヴァ(神)族、軍神、民衆に信仰厚い英雄神。
バラモン教とヒンドゥー教の聖典ヴェーダ文化において最も偉大な神の一柱。天空神ヴァルナ、風神ヴァーユ、ミトラともにアーディティヤ神群の主柱とされます。
古代インドの叙事詩『ラーマーヤナ』には天空神として語られ、「リグ・ヴェーダ」では彼に捧げられた讃歌が全体の四分の一をしめるという神。
インドラは雷、雨、豊穣を司る天空神ディヤウスと地母神プリティヴィーの間に生まれます。妃はアスラ(神族または魔族)の娘シャチー(インドラーニー)
仏教においては『釈迦提桓因陀羅(Sakra-devanam-Indra)』、『帝釈天』として知られています。
雷霆神の性格が強く、皮膚も髪も髭も茶褐色(あるいは金色)、茶褐色の髪をなびかせ天翔ける英雄神。
- アイラーヴァタ、「乳海攪拌」時に生まれてきた聖獣の白象
- ウッチャイヒシュラヴァ、7つの頭を持った空を飛ぶ馬。ヴァーハナ(神の乗り物)とされ、その御者はマータリ
- サラマー 愛犬。冥界の番犬サーラメーヤの母犬
- パランジャ(ヴァジュラ) 工巧神トヴァシュトリの造った、雷を操る金剛杵(法具)
- シャクラダヌス、アスラ(魔族)の大群を一撃で全滅させたという弓
- パランジャ 雷剣
を所有します。
インドラの都はアマーラヴァティー。この都市は、神々、聖者、英雄として死んだ者のみが住まいます。
戦って死んだ勇敢な戦士は、死後、魂を水の精アプサラスがこの場所に運んでくれるといい伝えられています。
インドラの起源
インドラの起源は古く、紀元前14世のミタニ・ヒッタイト条約文の中に“Indar,Indara”の名で記されています。
もともとはアーリア人がインドに伝えた神。
ゾロアスター教ではダエーワ(悪魔)とされ、アーリア人の移動とともに小アジアやメソポタミアにいたる広い地域で信仰されます。
インドラの誕生
インドラは、大地の女神プリヴィティーと、天空の神ディアウスの間に生まれます。
けれどインドラの能力を知った両親は、彼を恐れて捨ててしまいます。
成長したインドラは、人間たちを干ばつで苦しめていた蛇(ナーガ)族であるヴリトラの討伐にあたります。
長い死闘の末、技巧神トヴァシュトリがつくった武器ヴァジュラでヴリトラを倒します。
このときよりインドラは英雄神として讃えられ、父親ディアウスを倒し、その地位を不動のものとします。
軍神・英雄神インドラ
インドラは、暴風神ルドラの息子たちマルト神群を従え、ヴリトラとの戦いで十万のラクシャサ(悪鬼)を倒します。
インドラが金剛杵ヴァジュラでヴリトラを切り裂いた時、神々でさえインドラの力に畏怖の念を抱いたとされます。
神酒ソーマを愛し、暴風の化身マルト神群を従えて、二頭立ての戦車に乗って空を駆ける英雄神。
インドラがが退治した悪魔は数多く
- アヒ、蛇
- ヴァラ、悪魔
- ヴリトラ、人々を苦しめる凶暴にして尊大な蛇
- ダーナヴァ、アスラ(魔族)神族の一派7賢人のひとりカシュヤパ仙とその妻ダヌ(聖仙ダグシャの娘)との間に生まれた100人の子供たちとその一族
- トリシラス、工匠トヴァシュトリの3つの頭を持つ息子
- ナムチ、ダイティヤ王の娘シンヒカーとダーナヴァの王ヴィプラチッティの子、もとはインドラの友であったアスラ
- ヴィローチャナ、アスラ(阿修羅 魔族)族の王
- マハーバリ、アスラ神族の王。ヴィローチャナの子
- メーガナーダ、インドラジット(ラークシャサ 羅刹)。羅刹王ラーヴァナとマンドーダリーの子、魔術に長けた戦士。
- ヴィシュヴァルーパ トヴァシュトリ神の生み出した3つの頭を持つ怪物。インドラはトリタ神に討伐を命じています。
などの名が挙げられます。
雷霆・天候を司る暴風の化身、天空神インドラ
インドラはアーリア人の神なので、その地域に住まう神を倒し、地位を奪うことで、土着の人たちの信仰を広げてゆくことになります。
ヴリトラは雨を閉じこめる悪魔、その悪魔を雷で退治することで雨が降り、大地が潤う。
これは乾期から雨期への移り変わりを神話化したものと考えられます。
または、ヴリトラは蛇(ナーガ)であり、水を司る土着の神。その神を倒したことでその地位を得たとも考えられています。
ヴリトラとの戦いは、天地開闢、そして、水を司るヴリトラが雷雨・太陽を象徴するインドラに倒されることで、乾いた大地に水をもたらす自然現象が神格化されたたものと考えられます。
インドラの衰退
けれど、バラモン教が土着の要素を取り入れてヒンドゥー教へと変わっってゆく段階で、インドラは次第にシヴァにその地位を奪われてゆきます。
軍神という地位もシヴァの息子であるスカンダに取って代わられてゆきます。
現在では、インドラは世界を守護する神ローカパーラ。
四方を司る神の内、インドラは「東方の守護神」の地位に位置づけられています。
初期の時代、インドラは敵を倒し、信仰者に慈悲を与える寛大な神として描かれる一方で、粗暴な性格とも指摘されていますが、後代になるにつれ、その性格も変化してゆきます。
インドラは妻シャチーとは強奪し陵辱した後結ばれ、しばしば夫のある女性とも関係を持ちます。そして、インドラは両性具有者。ウリシャナシュヴァの妻となり、家族と暮らしたともされます。
インドラは敗北も経験します。
天界・空界・地上界の三界を支配したアスラ王マハーバリに破れ天界追放。デーヴァの敵ヴァーマナ(ヴィシュヌの化身)の力を借りて支配権を取り戻しています。
羅刹王ラーヴァナ王の子メーガナーダに破れ、「インドラジット」(インドラに打ち勝つものという意味)の異名も与えています。
帝釈天
仏教に取り入れられたインドラは仏教の守護神である天部の一尊の帝釈天。
梵語名(サンスクリット語)「śakro devānām indraḥ」の「indra」を「帝」、「śakra」を「釈」と表したもの。別称に天主帝釈・天帝・天皇と呼ばれます。
四天王などを配下とし、須弥山の頂上に住み、十二天の一尊として東方守護の役目を担います。
釈迦が釈迦族の王子・シッダールタとして生まれる以前からたびたびその修行を守り,釈迦が仏陀となって後は説法の場に登場。
梵天(ブラフマー)と並んで仏教の二大護法善神(仏法・仏教徒を守護する天部の神々)。
日本では日蓮が法華曼荼羅に記した神の一尊。
柴又帝釈天として知られる題経寺にはには日蓮が彫ったとされる板本尊収められ、閻魔大王のような独特の帝釈天、冠を被り、細い刀身の直剣を持つ、髭面の男神が描かれています。
インドラ、今でも変わりなく、仙人、魔神、神(デーヴァ)
「NARUTO」では大筒木インドラとして登場、忍の始祖たる六道仙人の息子兄弟の兄。自ら印と術を開発した天才児。
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女神転生シリーズのインドラは「真・女神転生』で種族は”魔神”。ヴィシュヌに次ぐ高レベルの悪魔。『女神異聞録ペルソナ』ではドクロのマスクをかぶり、槍の様なヴァジュラを持つ法王のペルソナ。「D×2 真・女神転生リベレーション」では天魔インドラジットとして登場しています
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「天空戦記シュラト」では雷帝インドラ。デーヴァ神軍の総司令官です。
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インドラ まとめ
出典:deviantart
インドラ神は日本のスサノオ、北欧のトールとイメージが重なります。荒ぶる神、豪傑。
であれば、神々の世界なら両性を持っていても不思議はないのかもしれません。(スサノオ・トールは違いますが)
タブーのない世界?
あくまで、神々の世界でならのお話ですが。。。