ギリシャ神話といえば、ゼウスをはじめとしたオリンポス12神にまつわる神話が中心に語られています。しかし、彼らの物語はいわば、世界が成立した後の話、創世記とは程遠いのです。
今回は、ギリシャ神話の原初の女神、ニュクスをご紹介します。
ニュクスは世界が創られたとほぼ同時に生まれ、ゼウスさえ恐れた夜の女神。
ギリシャ神話の原初、ニュクスが創る人間の理解を超える神々の創生、ご覧ください
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原初の女神にして多くの災厄の母・ニュクス
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ニュクスは、ギリシャ神話に登場する夜をつかさどる女神です。
原初の時代、世界はぽっかりと口を開けたような何もない空間でした。最初に、その隙間にカオス (混沌) が存在し、やがてこれから生まれようとする神々や世界を構成する種のようなものが固まりになって漂っていました。
その中から生まれたのが、大地の女神・ガイア、冥界自体を意味する神・タルタロス、闇の神・エレボス、愛の神・エロス、そして、夜の女神・ニュクスです。
ニュクスの出産
エロスの導きにより、ニュクスは兄である闇の神エレボスと交わり、光の神・アイテル、昼の女神・ヘメラ、冥府の渡し守・カロンをもうけます。
夜と闇から光と昼が生まれ、こうしてようやく暗黒であった世界に明るさが生まれます。
その後、ニュクスは1人で多くの神を産みます。生まれた神々は、以下の通りです。
- 死の神・タナトス
- 定業の神・モロス
- 宿命の神・ケール
- 夢の神・オネイロス
- 不平の神・モモス
- 苦悩の神・オイジュス
- 復讐の女神・ネメシス
- 欺瞞の女神・アパテー
- 愛欲の女神・ピロテース
- 老年の神・ゲラース
- 眠りの神・ヒュプノス
- 争いの女神・エリス
- 運命の女神三姉妹・モイライ
また、世界の西の果てにある「ヘスペリデスの園」と呼ばれる果樹園 (ヘラクレスの12の功業で有名) を管理するニンフ・ヘスペリデスは、一般的にアトラスの娘とされていますが、ヘシオドスの『神統記』では、ニュクスの娘と表記されています。
ニュクスの子どもたちは、「人間の存在のありよう」を表しています。これらの神の大部分がパンドラの箱の中の災いとされていることが特徴的です。
ゼウスも恐れた夜の神ニュクス
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ニュクスは、絵画などでは黒いヴェールをまとった姿で描かれる、陰うつで激しい性質です。その影響力は絶大で、最高神・ゼウスにさえ恐れられていました。
ある日、ヘレクレスの冒険を邪魔するためにへーラーの命を受け、眠りの神ヒュプノスがゼウスを眠らせたことがありました。
怒ったゼウスがヒュプノスを捕らえようとします。けれどヒュプノスはニュクスの元へ逃げたため、ニュクスの報復を恐れたゼウスは手出しできなかったといいます。
ニュクスは娘である昼の神ヘメラとは表裏一体の存在。2人は世界の果てに宮殿を共有しています。夜の間はニュクスが世界を巡ってヘメラは宮殿に待機し、反対に、昼の間はヘメラが世界を回り、ニュクスが宮殿に待機します。
ニュクス、名前の使われ方はさまざま
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隠れた秀作との評判も高い「ニュクスの角灯」は明治の日本を舞台に「神通力」を持つ1人の少女の成長を描いた歴史ロマン漫画。
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「女神転生」シリーズでは、種族「夜魔」の最上位の存在として登場。紫のドレスをまとった美女の姿をしています。
「バイオハザード」シリーズでは、アウトブレイクFILE2のラスボスとして登場。なんでも取り込んでしまう肉塊の生物兵器です。
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ニュクス まとめ
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ゼウスさえ恐れる原初の女神・ニュクス。
古い起源を持つ女神だからこそ、神話は少ないですが、混沌の中で夜(ニュクス)が生まれ、エロス(愛)を介し、闇と夜が光と昼を生んだ。
なんとなく明るい未来を暗示させるような、想像を超えた次元のお話のようにイメージします。
原初、まさにカオス(混沌)の世界のお話となると、単なる人間ごときには理解の域を超えたスケールなのだとだけはわかります。