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ダグザはトゥアハ・デ・ダナーン(ダーナ神族)の長老であり、ドルイドの王でもある最高神。
広い知識に長け、魔術にも精通し、死と再生をもたらす優れた戦士。
温和で平和を愛する豊穣の神でもあります。優美とは言い難い外見であるのに愛される存在であったとか。
そんなダグザを考察します。
目次
ダグザ 様々な側面を持つ万能の神
ダグザ (Dagda)の名前は「良き神」に由来します。別名はエオヒド・オラティル(偉大な父エオヒド)、ルアド・ロエサ「大いなる知恵の権力者」。
ダグザはダヌを母神とするアイルランドに上陸した4番目の種族ダーナ神族(トゥアハ・デ・ダナーン)の最高神、長老にあたる指導者、神々の父の役目を持つ偉大な神。
強さ、知恵、魔法の能力を兼ね備え、豊穣と再生を司り、温厚な性格、寛大で慈悲の心を持った善神です。
巨人族フォモールとの戦いの後ルーの後任としてトゥアハ・デ・ダナーンの王を務め、マグ・トゥレドの二度目の戦いにおいて、敵の投槍によって受けた傷が原因でその120年後に死亡します。
万能の神ダグザ
ダグザは粗野な外見とは別に、万能の神としての側面を持ちます。
ケルト神話は自然のサイクルや季節の変化を崇拝します。ケルトの神々は天候、作物の成長など自然の力を操る力があると信じられていました。
ダグザの神格
ダーナ神族の長でもあり、ドルイドの王でもあるダグザは知識、収穫、時間、そして運命の神。
生産をもたらす豊穣神としての神格を始めとして、広い知識に長け、魔術にも精通し、死と再生をもたらす優れた戦士でもあります。
ドルイドの王としての側面では優秀な司祭でもあります、
ダグザはそのドルイドの王としての能力も加わって、全ての神々を統べる最高神として君臨します。
彼はケルト地方に放浪者として知識を広めた神としても知られています。
また、ケルト文化で冬の季節の始まりとして祝われるサムハインの祭り。
この間には死者の魂が生者の世界に戻ることができ、ダグダは死者の霊が生者に害を及ぼさないようにすることのできる神と信じられ、サムハインの祭典中には多くの民から崇められています。
戦士としてのダグザは巨人族フォモールと対するモイ・トゥラ(マグ・トゥレド)の戦いにおいては「全ての神々の偉業を私一人でやってのけてみせる」と公言、偉業を成しています。
戦いの後ルーから王権を引き継ぎ、ダーナ神族を束ねます。このマグ・トゥレドの二度目の戦いでの投槍によって受けた傷が原因で死亡していますが、それは120年の後のこと。
ダグザの家系
ダグザはフォモールの王エラタと母神ダヌの息子
彼にはヌアダとオグマという二人の兄弟がいると考えられています。
ヌアダはトゥアハ・デ・ダナンの初代王、オグマはダーナ神族の工匠。
また、アイルランドを40年間統治したルーもダグザとは兄弟関係であるとも考えられています。
ダグだの妻たち
ダグザは勝利をもたらす勇者に加護を授ける軍神モリガンと交わることでフォーモールの戦いで勝利を手にしています。
彼の三人の妻はブレグ(偽り)、メング(狡さ)、メイベル(醜さ)。これら三人の妻との間に三人の娘を授かり、三人とも“ブリギッド”と言う名であったといいます。
ボイン川の女神で義理の妹にあたる女神ボアーンとの間には愛の神オェングス。
小枝かごや浴槽から潮が引いても水が漏れないようにする能力で知られているアインジ。
エルクマールという名の娘もダグザの妻として知られています。
ダグダの子供達
ダグザは数え切れないほど多くの子供達を誕生させています。
なかでも戦・霊感の神オグマ、開拓と地下の神ミディール、美と愛の神オェングス、豊穣の神ブリギッド、戦神ボォヴは世に知られた神々。
▪️ブリギッド
アイルランドの豊穣の女神であるブリギッドは、後に同じ名前のキリスト教の聖人と習合し多くの信仰を集めています。
▪️オェングス
オエングスは、マカン オクとしても知られ、アイルランドとスコットランドの多くの神話で語られています。
ダグダとエルクマールの妻・川の女神ボアンとの間の子。
ダグダは夜には帰ってくる夫に知られないよう、ボアンの妊娠中9か月間太陽を閉じ込め昼が続くようにしました。
ミディールの元で成長したオエングスはダグザ(あるいはエルクマール)の王宮「ブルー・ナ・ボーニャ」(一昼夜の意味)に住んでもいいかと尋ねます。
これによって成長したオェングスは、昼と夜、つまり永遠に「ブルー・ナ・ボーニャ」に住むことになります。
ダグザ、多くの浮名を流す巨漢で赤毛の大食漢
出典:deviantart
ダグダは赤毛で長い無精ひげを生やした巨漢。
毛糸のマントを被り、馬革の長靴、丈の短い衣服からは太鼓腹やお尻が頻繁に露出いているような出立ち。巨大な棍棒を車輪に乗せて引きずっていたとも記されています
けれど、ダグザのこうした外見は「豊穣の神としての象徴的な意味」と解釈されています。
性格は寛大で英邁。大食漢で精力に満ち、奔放。多くの女神たちに慕われ、多くの子どもの父となったことでも知られています。
粥が大好物でマグ・トゥレドの戦いでは、ルーからの敵陣視察の命を受け、敵のフォモール族を訪れます。
敵陣営はダグザを足止めするため、好物の大量の粥、大量の牛乳と小麦粉、無数の山羊や豚を煮込んだものを地面に掘った大穴に流し込み「完食できなければ生きて帰れぬ」という難題を課します。
けれど、ダグザは巨大なスプーンでこれを瞬く間に平らげ、フォモール族はダグザの膨れ上がった腹を抱えて歩く姿に笑い転げたといいます。
けれど、ダグザは腹ごなしに敵陣の王女エヴァと交わり、魔術による手助けを得て、戦闘を優位に運ぶように図るという豪傑ぶりを発揮しています。
ダグザの3つの宝物
出典:deviantart
ダグダは最高神に相応しい3つの神器を所有。彼は常にこの宝物を持ち歩いていたことで知られています。
豊かさの大釜
豊かさの大釜(コイレ・アンシック)は、彼らが北の島の都市からアイルランドに到着したときにもたらされたとされるダーナ神族の 4 つの秘宝の 1 つ。
無限に人々の空腹を満たすことのできる、決して空になることのない魔法の大釜
一説にはその釜の食料にはあらゆる傷を治癒しする効果もあるとも。
「アーサー王物語」の聖杯の原型ともいわれます。
生と死を操る棍棒
ダグダの武器はlorg mór (偉大な棍棒) または lorg anfaid (怒りの棍棒) と呼ばれる、棍棒、杖、あるいは笏。一方の端は一振りで9人を殺すことができ、もう一方の端は死者を蘇らせることができると言われています。
ダグダ以外の人には持ち上げられないほど大きくて重く、人間が動かすには荷車に乗せて8人がかりで引く必要があり、敵に振り下ろせばその骨が地にめり込んだといわれます。
そのダグダの棍棒はタラの丘に埋葬されていると言われ、ダグザ王の権威の源であると信じられています。
魔法の竪琴、ウイスネ(Uaithne)
3 番目のアイテムは、「Uaithne」または「Music of Four Angles」と呼ばれるハープ、天候を自在に操ることで豊作を招き、感情や眠りを誘うことができる黄金の竪琴です。
このハープの音色には、人間の感情を操る力がありました。戦いの前の恐怖を取り除き、戦いの後の痛みを和らげたりします。また、季節にも影響を及ぼします。適切な季節の移り変わりで豊穣を招き、人々の生活を豊かにします。
これら三つの持ち物はダグザの呪術(竪琴)、戦闘(棍棒)、生産(大釜)を多大に高めることに効果を発揮しています。
神殺し、魔人となったダグザ
「真・女神転生ⅣFINAL」では主要キャラのひとり、悪魔として登場しています。死者を生き返らせる“黄泉帰りの呪力”や、周辺一帯を呪力で縛る“知識の神の力”を持つ魔神。
アドラメレクとの戦いで死亡した主人公を蘇らせ、戦う力を与える代わりに自分の“神殺し”になれと契約を迫ります。
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「機動戦士ガンダムUC」では地球連邦軍の特殊部隊「ECOAS(エコーズ)」の920隊司令部中佐ダグザ・マックールとして登場。
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ダグザ まとめ
出典:deviantart
多くの女神たちに慕われたダグザ。なるほど周囲を魅了する迫力の存在感があったものと思います。
ただ、こんな迫力の異性が身近にいたとしたら、ただの人間である筆者はまず、恐怖のために距離を保ちたいと逃げ腰になってしまいそう。
つまり神は体格だけでなく器もデカイってことなんでしょう。