エキドナはギリシャ神話最大最強の怪物テュポンの妻。そして名だたる多くの怪物を生み出したことで知られる半人半蛇の怪物です。
今ではアニメやゲームの世界ではお馴染みのキャラ。
娼婦の象徴といわれたエキドナ、『Re:ゼロから始める異世界生活』のエキドナからはイメージできない、その実態に迫ります。
出典:app.famitsu
怪物たちの母 エキドナ
出典;matome.naver
エキドナの名前の意味は「蝮(まむし)の女」、その名の通りエキドナは上半身が煌めくような美女で下半身が蛇の怪物です。
怪物の母といわれ、キリスト教では娼婦の象徴ともされています。
洞窟に住み、美しい上半身だけを覗かせて旅人を誘っては喰らっていたといわれるエキドナ。下半身は醜く、とぐろを巻く大蛇で、まだらな鱗があり、背中には翼が生えています。
元来はスキタイ地方の地母神であったと伝えられますが、出自は著者によって異なり、はっきりとしていません。
最も有名な説として、古代ローマの詩人ヘシオードスの『神統記』では、ポセイドンとメデューサの息子スクリューサーオールと、海神オーケアニデスの娘カリロエーの間に生まれた子。他に地母神ガイアと冥界タルタロスを親とするもの、ガイアと海神ポントスの子ポルキュースと、妹である海の怪物ケートーを親とするものなど諸説あります。
テュポンとエキドナ
出典:pm1.narvii
エキドナの最大の特徴は、ギリシャ神話の中でも最も多くの怪物を産み出したその多産ぶりにあるといえます。
エキドナの夫は地母神ガイアがゼウスを制するために産んだ子テュポン。ティターノマキアとギガントマキアの戦いに勝利したゼウスに最後に立ちはだかったギリシャ神話最強の怪物です。
テュポンは星に頭が届くほどの巨体で鳥の翼を持ち、下半身はエキドナと同じでとぐろを巻いた毒蛇。
そのためか、二人の間に生まれた怪物は翼があったり、蛇が身体の一部を構成していたりとまさしく怪物の様相を呈したものが多いようです。
- ケルベロス、地獄の番犬
- オルトロス、二頭の獅子
- ヒュドラー、9つの首を持つ大蛇
- ラードーン、黄金の林檎を守る、100の頭を持つドラゴン
- キマイラ、ライオン・ヤギ・蛇の尾を持つ火を吐く獣
- スキュラ、「オデッセイア」に登場する怪物
- エトン、プロメーテウスを襲った鷲
- デルピュネー、半人半蛇または竜の怪物、ゼウスの手足の腱を隠した洞窟コーリュキオンの番人
- 金羊毛の番竜、アルゴ探検隊が向かうでコルキスの黄金の羊の毛皮を守る竜
- パイア、巨大な猪カリュドーンの母
- ケートス、鯨の胴体に犬の頭部を持つ海獣
一度はゼウスを圧したものの、オリュンポスの神々との戦いにテュポンは破れてしまいます。ゼウスの投げつけたエトナ火山の下敷きにされ、永劫テュポンは封印されることになります。
娼婦の象徴、怪物の母エキドナ
しかし、その後にもエキドナの多産は続きます。自分の子供であるオルトロスと交わり、
- ネメアーの獅子、ネメアの谷に住む人喰いライオン
- スピンクス、ライオンの身体と人間の頭部の怪物
- タゲス
を生みました。
さらにエキドナは怪物だけでなく英雄であるヘラクレスとの間にも子を設けています。馬を取り返す難行を受けていたヘラクレスを脅し、トランシルバニアの遊牧民となったアガテュルソス、ゲローノス、スキューテスの3人の子をなします。
アガテュルソスはアガテュルソスの始祖、スキューテスは「スキタイ」の語源になったとされています。
こうしてエキドナは夫を変え、時には我が子とさえ交わって子を為し続けたことから、中世のヨーロッパでは娼婦の象徴とされました。ギリシャの倫理観では子と交わることは忌み嫌われていたためです。
『神統記』では不死とされるエキドナですが、その最後についてはさだかではなく、百眼の巨人アルゴスに睡眠中に殺されたとも伝えられています。
出自とともにその最後も曖昧であるため、エキドナのイメージが多産であることが強調されてしまっています。
アニメやゲームの中のエキドナ
出典:pinterest
『Re:ゼロから始める異世界生活』リゼロのエキドナはデザイン的な蛇の要素はありません。知識を求める強欲の魔女とされており、白髪の見た目から、聖書に登場し、イブをそそのかす白蛇の要素がミックスされています。知識、執着心、蛇の要素からエキドナの名がついたのでしょうか。
出典:pbs.twimg
上半身は美女、下半身は蛇というエキドナの見た目を余すところなく再現した、『パズドラ』のエキドナ。ゲーム配信初期からのキャラクターですが、定期的にテコ入れされ活躍の機会をもらっています。
『FF14』のエキドナ、上半身は女性型で、下半身は鎌のような足になっています。蛇に吊られて逆さまになっていたり分裂して蛇が出てきたりと、蛇の要素もたくさんです。実はFFには3のころから登場しており、当時から逆さまの蛇女といったデザインでした。
エキドナ まとめ
出典;eresuto
女神から怪物へと変貌し、怪物の母となったエキドナ。
エキドナ自身のエピソードは多くはないものの、ギリシャ神話やローマ神話、近年のゲームなどのコンテンツに欠かせない怪物たちを産み出しています。
元来の地母神の役目である多産、繁栄の役割は十分に果たしているのでは。