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ギリシャ神話・伝説 神・英雄・怪人

ベレロフォン(ベレロポーン)、ペガサスに乗り、キマイラを倒した英雄

更新日:

ピーター・ポール・ルーベンス作 1635年

ベレロフォンは天馬ペガサスを乗りこなし、怪物キマイラを倒した英雄。

数々の功績をあげているに

ペガサスやキマイラと比較してもネイムバリュー的にイマイチ感があります。

 

そこで改めてベレロフォンの生涯を探ります。

いかにして乗り手を選ぶペガサスを手に入れることができたのか。

怪物キマイラとの壮絶な戦闘。

 

そして、栄光の後に待ち受ける運命とは。

 

 

ベレロフォン、英雄の生涯

ベレロフォンとは

ベレロフォン(Bellerophon)は神馬ペガサスに乗りキマイラを倒した、古代ギリシャの都市・コリントスの王。

ヘラクレス以前の神話では、カドモス、ペルセウスと並ぶ英雄

コリントスとリュキアでは神として崇められていました

 

ポセイドンとメガラ王ニーソスの娘・エウリュノメーの間に生まれ、シーシュポスの子・コリントスの王・グラウコスに育てられました。((ホメロスの叙事詩)『イリアス』ではグラウコスの子)

妻は リュキア王イオバテースの娘ピロノエー。

二人の子供はイーサンドロス、ヒッポロコス、ラーオダメイアがいます。

 

ベレロフォンの名の由来

ベレロフォンは本来はヒッポノオスという名でした。

ところがある時、誤ってベレロスという名の貴族(あるいは兄弟、市民という説も)を殺してしまい、ベレロスを殺した者という意味のベレロフォン (ベレロス殺し)と呼ばれるようになります。

そうして、罪の清めを受けるため、あるいは罪から逃れるためかティーリュンスの王・プロイトスのもとに身を寄せます。

 

神話で語られるベレロフォン

ベレロフォン、ペガサス、アテナ

キマイラ討伐に向かう経緯

ティーリュンスに身を寄せたベレロフォンは王の妻、王妃アンテイア(あるいはステネボイア)に見初められ、誘惑されます

けれどそれを拒み、王妃は腹いせにベレロフォンに犯されそうになったと王に告げます。

 

困惑した王はベレロフォンに彼を殺すようにという手紙を持たせ、リュキア王イオバテースのもとに送ります。

 

イオバテース王はベレロフォンを9日間歓待し、10日目にプロイトス王の手紙を開きました。

手紙を託されたイオバテース王もまた困惑し、自らが手を下すことなく、彼の名誉も守り、命を奪うことができるようベレロフォンにキマイラ退治を命じます

というのは、これまでにキマイラ退治に向かって生きて戻った者は誰もいなかったのです。

 

天馬ペガサスとの出会い

出典:ウィキペディア

イオバテース王よりキマイラ退治の命を受けたベレロフォンは、自らの力だけでキマイラを倒せるはずもなく途方にくました。

そこで預言者ポリュイドスに助言を求めます。

 

ポリュイドスは「まずはペガサスを手に入れなさい。ペガサスを捕獲できたらキマイラも倒せるようになる。そのためには女神アテナの神殿を訪れて加護を与えられるよう祈りなさい」と助言します。

 

ベレロフォンは助言に従い、アテナの神殿を訪れ、昼夜祈りました。

そしていつの間にか眠ってしまいます。

すると眠りの中にアテナが現れ「あなたにこの黄金の轡(くつわ)を与えます

これでペガサスは捕獲できます」と告げます。

目覚めたベレロフォンの前に黄金の轡(くつわ)が置かれてありました。

 

そしてついにペイレネーの泉のほとりで水を飲むペガサスを見つけ、そっと近づきます。

ペガサスはベレロフォンに気付くと、逃げもせず、頭をもたげ、ベレロフォンに従いました

 

キマイラとの戦闘

ジュゼッペ・チェーザリ作((1602年)

こうしてペガサスを手に入れたベレロフォンはキマイラ退治に向かいます。

 

キマイラはライオンの頭と山羊の胴体、蛇の尻尾、口からは火炎を吐き、強靭な肉体を持つ怪物。

ガイアの怒りから生まれた巨大な怪物テュポーンと、上半身は美女で下半身は蛇、有翼の怪物・エキドナの間に生まれました。

しばしばリュキアに現れその火炎によって森や田畑を焼き、村々を襲い家畜や人間を獲物にしていました。

 

ベレロフォンは、キマイラを見つけるとペガサスの背から弓を放ちます。

キマイラの火炎は天馬には届かず、矢は次々に命中します

そして、ベレロフォンはとどめにキマイラが火炎を吐く際、先端に鉛の塊を付けた槍を投げ火炎の熱で溶けた鉛で喉を塞ぎます。

キマイラは窒息し、ついに絶命します。

ベレロフォンはキマイラの頭と蛇の尻尾を切り落とし、王のもとに持ち帰りました

 

英雄になるベレロフォン

無事にキマイラを退治して帰ってきたベレロフォンを見てリュキア王イオバテースは驚きます。

そして再びベレロフォンにソリュモイ人を征服するよう命じます

けれど、ベレロフォンはこれを制圧し、続くアマゾネス討伐の命も難なくこなしてしまいます

そして、ついにはイオバテース自らが雇った傭兵たちも皆殺しにしてしまいます。

 

イオバテース王もついにベレロフォンは神に愛された英雄であることを認め、ベレロフォンに自らの娘ピロノエを与え、王国の継承者とすることを約束しました。

 

そして、ベレロフォンは託された手紙にベレロフォンの殺害を託されたことを知り、再びプロイトス王のもとに戻り、王に誤解を訴えました

王は真実を知った後も妻アンテイアをペガサスに乗せ逃がそうとしますが、アンテイア(ステネボイア)はペガサスに拒まれ亡くなります。

 

このアンテイア(ステネボイア)の末路について

(古代ギリシャの三大悲劇詩人のひとり)エウリピデスの『ステネボイア』では

ベレロフォンはステネボイアに復讐するためティーリュンスに戻ります。

その頃、ステネボイアはベレロフォンが死んだものと思い、生贄を捧げようとしていました。

ベレロフォンは妃の愛に応えるよう見せかけ、ステネボイアをペガサスに乗せ、カーリア(トルコの古代都市)に向けて飛行する途中、突き落としています

 

そして迎える末路とは

けれどその後、ベレロフォンは名声が高まるにつれは自らの力をおごり、神々の住むオリンポス山に昇る資格があると思い、ペガサスに乗って天に昇ろうとします

この行為はゼウスの怒りに触れ、雷霆に打たれ(あるいはゼウスの放った虻(アブ)にペガサスが驚き)、落馬

 

地上へと落ち、視力を失い、足が不自由となり、荒野を彷徨うことになってしまいます。

 

惑星になったペレロボーン

出典:ウィキペディア

「ペガスス座51番星b」

太陽以外の恒星の軌道を回る惑星として初めて発見された太陽系外惑星

地球からの距離はおよそ50光年。木星の半分ほどの質量を持つ惑星

木星のような巨大ガスでできた惑星です。

灼熱状態に加熱され、大気は高温のため赤く発光し、珪酸塩の雲が漂っている星と考えられています。

発見は1995年。惑星の観測に携わったジェフリー・マーシーが「ベレロフォン」と命名。

ペガサス座にあるこの惑星の呼び名とされました。

 

 

禿げたオッサン、女戦士にもなる、変幻自在なベレロフォン

テレビシリーズにもなった『神々と人々の日々』はギリシャ神話が舞台の不条理ギャグコメ。

その中でのベレロフォンは禿頭に毛が二本。中年太り、ブリーフいっちょのとぼけたオッサン。

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ソーシャルカードゲーム『神撃のバハムートのベレロフォンは神属性の女戦士。レアリティはレジェンド。

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ベレロフォン まとめ

ジョバンニ・バティスタ・ティエポロ作

成功をおさめた者の「おごり」は世の常。

おごらずにいるという事の方が難しいのかもしれません。

周囲からチヤホヤされ、欲しい物は手に入る。

神に選ばれた存在と思い、全てが叶うと錯覚する。

そして転落、

ありがちな展開です。

 

まあ、全てが叶うと思えるほどの成功をおさめたことが無いんでわからないですが。

なるほどなぁ〜、と思う結末です。

 

 

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