ガラハッド、アーサー王の円卓の騎士の中でも「最も穢れ(けがれ)無き騎士」と賞賛される英雄です。
サー・ランスロットの不義の子として生まれ、ランスロットに優った唯一の勇者。
聖杯探索に成功し、天に召されたガラハットとはどのような騎士であったのか、聖杯探索の旅で出会う出来事とは。
「世界で最も偉大なる騎士」と謳われるガラハットのご紹介です。
目次
ガラハット、世界で最も偉大な騎士
ガラハッド卿(Galahad, ギャラハッド、ガラハド、ガラード)はサー・ランスロットの子。円卓の騎士の一人となり、聖杯を見つけた穢れなき3人の騎士のうちの1人でもあります。
ガラハッドはアーサー伝説の中に比較的最近、13 世紀の古フランスのアーサー王叙事詩に初めて登場しています。
聖杯伝説の中でガラハッドは朱色の十字架が付いた白い盾を手に入れますが、これは教皇ユージン3世がテンプル騎士団に与えたのと全く同じ紋章のものとされています。
ガラハッドの物語はアーサー王伝説の中で、彼の卓越した純粋さ、正義感、そして聖杯を探し求める神聖な使命を強調していると認識されています。
このガラハッドの登場以降、聖杯探求の物語はアーサー王物語の中心的なテーマとなってゆきます
ガラハッドの誕生
ガラハットはサー・ランスロットとペレス王の娘エレインの間に生まれました。
エレインは魔法によってランスロットが慕う王妃グィネヴィアに変身し、ランスロットと一夜を共にしガラハッドを出産。
ガラハッドは修道院に預けられて育てられることになります。
魔術師マーリンは「彼は父であるランスロット卿を凌ぐ武勇を身につけ、聖杯を発見する」と予言します。
ガラハッド、円卓の空席「危険な席」に座した騎士
15歳になったガラハッドは父ランスロットに会いにゆきます。
そしてガラハッドはランスロットを公正な戦いで打ち負かします。これはランスロットという円卓の騎士団の中でも最も偉大な騎士の一人が初めて敗北した瞬間です。
ガラハッドは五旬節の祝典の際にアーサー王の宮廷を訪れます。
その際老いた騎士に同行され、聖杯の探求者として成功する唯一の人物に捧げられている空席の椅子、危険な席「シージ・ペリルラス」を見せられます。
ガラハッドは、シージ・ペリルラスに関連付けられた試練を乗り越え、他の誰もが生き残れなかった危険な椅子シージ・ペリルラスに座して生き残ります。
これを知ったアーサー王はガラハッドを川岸に連れて行き、石に刺さった魔法の剣を見つけます。
その石には「私を持ち去ることのできるのは私の側に立つべき騎士のみ」という刻まれた銘があります。
ガラハッドは容易にその剣を石から引き抜き、彼の特別な価値を示します。
アーサー王は剣を石から引き抜く功績を讃え、ガラハッドを史上最高の騎士と宣言。
選定の剣
岩に刺さって流れ着いた剣。
本来はエクスカリバー同様に「泉の精霊」の秘宝のひとつ。ある少女によって持ち出され最終的にベイリン卿の手に渡りました。
この剣は「真の騎士」にしか扱えないと言われ、「持ち主の最愛の者を斬り殺す」呪いがかけられた、魔剣のような一面を持つもの。
ベイリン卿はその呪いによって死に至ります。
この剣をアーサー王は円卓の騎士たちに抜かる試練を与えます。
まずランスロットに命じますが、グィネヴィアは不義の関係にあったランスロットは自ら辞退。
次に勇猛な騎士であるガウェイン卿が挑戦、けれど剣は抜けずに終わっています。
ガラハッドの聖杯の探求の旅
聖杯にはあらゆる病を治癒する効果があると伝えられています。
アーサー王とも親交の厚いカーボネックのペレス王は古傷に病み、国政も滞っていました。アーサー王はペレス王と国を救うため聖杯探求を円卓の騎士に命じます。
ガラハッドの到来と彼の業績に触発され、円卓の騎士団のすべてが聖杯を探しに出発します。
その時ガラハットにはアリマタヤのヨセフ(キリストの遺体の引き取り人)が自らの血で描いた「緋(あか)い血の十字」の描かれた白い盾が与えられます。
白い盾
ガラハッドを象徴する聖遺物。「最高の騎士」のみが持てる盾。
それにふさわしくない者が手にすると、漆黒の騎士が表れ大怪我を負わせる“呪われた盾”。
「盾に認められたものは聖杯を得る」と伝えられるもの、その盾にガラハッドは持ち主と認められます。
カルボネックではこの盾の血の十字架が、「キリストの血縁者としての証」となって、ガラハッドに聖杯を獲得させることができます。
聖杯探求の旅は困難を極めます。
「騎士の中の騎士」と称されるランスロットは神の意志で聖杯に拒まれ、「円卓の騎士」を代表するサー・ガウェインですら自尊心を失い挫折。
そんな中、ガラハットはパーシヴァル、ボールス、そしてパーシヴァルの妹ディンドランと行動を共にすることになります。
ソロモンの船に乗った際に、ガラハッドはダヴィデの剣を入手します。その剣は伝説のソロモン王の剣。
船の持ち主であるペレス王さえ鞘から抜くことの叶わない剣でしたが、ガラハッドはこの剣を見事鞘から引き抜いて剣の持ち主となります。
ダビデの剣
伝説のイスラエル王・ダビデの剣。
「ソロモン王の船」に存在した伝説の剣で、船の持ち主であるペレス王さえ鞘から抜くことの叶わない剣。
その後、呪われた老女に出会い、パーシヴァルの妹ディンドランは老女を助けるために自らが犠牲となります。
その事が原因し、ガラハットはパーシヴァルとボールスとはしばらく離れ、ランスロットと旅を続けることになりますが、後に二人と再会、再度行動を共にします。
3人はカルボネックに到着し、そこでついに「聖杯」に到達。
ガラハッドが折れた剣を修復すると、アリマタヤのヨセフが現われその功績を祝福します。
さらにイエスが3人の前に姿を現わし、ガラハッドに「サラスに行けば「聖杯」がもっとはっきり見えるだろう」と告げます。
ガラハッドは「聖杯の槍」(ロンギヌスの槍)についている血を取り、「不具の王」の傷を癒します。
血を流す聖槍
ロンギヌスの槍
この神秘的な槍は常に血滴を垂らし、その血液があらゆる傷を癒すと信じられています。
しかし、この槍で傷つけられた者は、その傷が二度と癒えないとも言われており、槍による攻撃は相手に永遠の苦痛をもたらします。
この槍で負った傷は、槍の滴る血でしか治療できないのです。
ベイリン卿と漁夫王が対決した際、漁夫王は槍によって負傷。
ベイリン卿は槍を使用したことで「嘆きの一撃」という反動を受け、城の瓦礫に埋もれて重傷を負っています。
ガラハッドは漁夫王の曾孫、漁夫王を槍の血液で癒し、苦痛から解放しています。
天に召されたガラハット
神のお告げに従い、3人はサラスに向かいます。
そこではサラスの王エストラウスによって捕らえられ投獄生活をおくることになります。
けれど聖杯の力で守られていたため窮することはありません。
そうしている間にサラスの王エストラウスは死去。その国をガラハットが治めることになります。
ある日、ガラハットの前にアリマタヤのヨセフが現れ、ガラハットは「聖杯」をはっきりと見ることになります。
そしてガラハットは自ら望み、その許しを得、天に召されてゆきます。
現代でも円卓の騎士としてお忙しいガラハット
Fate/GrandOrderではギャラハッド。マシュ・キリエライトと融合したサーヴァントです。英霊としての格は魔術王ソロモンに並ぶといわれています。
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ソーシャルゲーム「オトギフロンティア」のガラハッドはキュートな女の子。実はキャメロット警視庁セクターラウンド所属の新人刑事
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アーサー王の死 中世文学集1 (ちくま文庫) [ トマス・マロリー ]
まとめ
聖杯探求に命を捧げたガラハット。なぜ自ら死を選んだのかが謎です。
旅の途中、命を失った者の後を追ったのか、神のいる天が自分にふさわしい居場所であると思ったのか、全ての天命を全うして終わりの時がきたと感じたのか、一切のコメントが無いのが気になります。