旧約聖書にある数々の有名なお話の中のひとつに「ノアの方舟」があります。これまでに数多くの考古学者による探求がなされ、「ノアの方舟」は99%以上の確率で実在したという発表もされています。
今回はその「ノアの方舟」に焦点を当てて探ります。
本当に「ノアの方舟」は実際に起こった出来事なのか。その根拠は?もし実話であるとするなら、人類の祖であるノアとはどのような人物であるのか。
聖書の中の物語が少し違って見えてくるかもしれません。
目次
ノアの方舟とは
ノアの方舟は旧約聖書の「創世記」に登場します。イスラム教においてのノアはアブラハム、モーセ、イエス、ムハンマドに並ぶ五大預言者のひとりです。
ノアはアダムとイブの息子セトの子孫、ノアにはセム、ヤペテ、ハムの3人の息子がいました。
ノアの方舟あらすじ
出典:ウィキペディア
人々は増え、世界は悪で満ちていました。
神は、大洪水によって堕落した者たちを一掃することを決意します。
そして神は「神と共に歩んだ正しい人」であったノアに方舟の建設を命じます。
ノアは当時600歳であったと伝えられています。ノアは120年の間、人々に悔い改めるよう訴えます。けれど、ついに方舟に入った人間はノアとその家族の僅か8人でした。ノアは神からの命に従いゴフェルの木を使って三階建ての巨大な方舟を建設しました。
ノアが全ての動物のつがいと自分の妻、息子たちとその妻を船に乗せるとまもなく雨が降り出します。
40日の間、昼夜大量の雨は降り続き、大洪水となって人々を飲み込んでゆきます。
雨が止んだ後も150日の間方舟は水の上を漂います。やがてノアの方舟はアララト山に乗り上げます。
そしてまた40日が経過した後、ノアはカラスを放ちます。カラスは留まるところがなく帰ってきます。次に鳩を放ちますが同じように戻ってきます。その7日後、もう一度鳩を放すと、鳩はオリーブの葉をくわえて戻ってきました。
さらに7日後鳩を放ちます。鳩は戻っては来ませんでした。
ノアは地上から水が引いたことを知り、方舟を降ります。そしてその地に祭壇を築き、神に捧げものをします。
神はノアとその子孫たちを祝福し、今後二度と全ての生物を絶滅させるような大洪水は起こさない事を契約し、その証として空に虹を掲げます。
実際にあった惨劇? 様々な神話に残る大洪水
ヒンドゥー教のプラーナのマツヤ
出典:ウィキペディア
マツヤはヒンドゥー教の主神ビシュヌ神の化身、サンスクリット語で「魚」を意味します。
ある日、太陽神スーリヤの息子マヌ王が祖先の霊に水を捧げていると、手の中に角を生やした小さな金色の魚マツヤが飛び込んで来ます。そして「大きな魚に食べられないよう守ってほしい」と願います。
マヌはその魚を瓶に入れて育てると魚はすぐに大きくなりました。そこで池に、川に移し変えますがそれでも魚はどんどん大きくなります。海でも入り切らない大きさになってマヌは初めてマツヤがビシュヌ神の化身であることに気づきます。
マツヤは7日後に大洪水が起きることを予言します。全ての命を破壊することになるためマヌに船を用意して七人の賢者と全ての種子を乗せるよう警告します。
マヌはそれに従い、やがて大洪水が起こります。ビシュヌ神であるマツヤは船をヒマラヤの山頂に運びマヌ達の命を助けます。こうしてマヌは生き残り、人類の始祖となり、地上に再び生命を蘇らせます。
ギリシャ神話のデウカリオーンの洪水
デウカリオーンはプロメーテウスとクリュメネー、ヘーシオネーあるいはパンドラとの息子でプティーアーの王。
ゼウスはある時子供を生贄に捧げる人間の所業に嫌気がさし、人間を絶滅させるよう大洪水を起こします。恐ろしい速さで海の水嵩が増し、わずかな山の頂上以外は全て海に飲み込まれてしまいます。
けれど、デウカリオーンは父プロメーテウスから警告を受け、いち早く方舟を作って妻ピュラーとともに乗船し洪水を生き延びます。
9日間水上を漂い、ようやく水が引くと、方舟はパルナッソス山に漂着。デウカリオーンはピュラーとともにゼウスに祈りを捧げました。
ゼウスはこれに応えヘルメスを遣わし、デウカリオーンの願いを聞き届けるよう命じます。デウカリオーンが人間を蘇らせるよう願うと、「母親の骨を後ろに投げるよう」にとお告げがあります。
デウカリオーンは「母親」とは地母神ガイアのこと、「骨」とは大地にある石のことだと解釈し、二人は石を拾って背後に投げます。するとデウカリオーンが投げた石から男性、ピュラーが投げた石からは女性が誕生。こうして再び地上には人間が栄えるようになります。
『ギルガメシュ叙事詩』のウトナピシュティム
不死を追い求めていたギルガメシュ王はメソポタミア文明での地上の楽園といわれるティルムンでウトナピシュティムに出会います。
ウトナピシュティムは、神が大洪水によってすべての生命を破壊すると警告し、船を作って彼の家族や友人、財産や家畜を守るよう指示したことを語ります。
7日目に船は完成。ウトナピシュティムは船に全ての動物と家族を乗船させます。
そして嵐が起こります。嵐は6日と7夜止むことはなく、洪水は大地を洗い流し、人は粘土に変わってしまいます。
ウトナピシュティムは7日後に鳩を放ちます。鳩は止まるところがなく戻ります。次に燕を放ちますが同じようにウトナピシュティムのもとへ戻ります。最後にカラスを飛ばします。けれど今度は帰って来ませんでした。
ウトナピシュティムたちは船を降り、ウトナピシュティムはその地に酒を注ぎ、供物としました。
神はみずからの行動を悔やみ、ウトナピシュティムに不死を与えます。
ノアの方舟が実話であると推理される根拠
船の構造
方舟の大きさは「長さ300キュビト、幅50キュビト、高さ30キュビト」であることが聖書に記されています。
この比率は、「30:5:3」になります。これは現代の造船にも用いられる黄金比率。この比率は、高さ30メートルの高波に遭遇しても持ちこたえられる強度であることが確認されており、大型船舶を造る最適な比率なのです。
箱船の大きさを、現代のメートルに換算すると、135m x 22.5m x 13.5m 。
実際に箱船に乗ったと考えられる動物の種類はおよそ8000種類と推定され、16000という数の動物が乗っても船に占める割合はおよそ50%程度であると推測されます。
つまり、実際に地上に生息する生物全てを乗せることのできる船をノアが作った可能性があることを数字が示しているということになります。
アララト山に出土したノアの方舟の遺跡
出 典:true-ark
ノアの方舟の遺跡についてはこれまでに数々の発表がなされています。
その中でも、99%の確率で本物の方舟の遺跡であると推測されるものがあります。
2010年、トルコと中国の考古学者団体がアララト山の標高4000メートル地点でノアの方舟の跡地を発見したと発表。発見された木片の年代測定を行った結果も、ノアの方舟伝説と一致するおよそ4800年前のものであることがわかっています。
現地でも標高4000メートルの位置に家を建てることはなく、にもかかわらず、跡地の内部は複数の部屋に分かれており、動物たちを収納していた部屋ではないかと考えられています。
ノアの方舟 まとめ
もし、ノアの方舟が実話であるとするなら、ノアは船の製造について具体的なアドバイスを神から指示されていたことになります。その神とは当時の人間の知識をはるかに超えた何者か。
世界にはそんな不思議がいたるところに存在します。ナスカの地上絵、ピラミッド、ストーンヘンジ。
つまり、当時の文化水準をはるかに超えた、高い知能の何者かの存在を、聖書や神話が語り継いでいる、そんな仮説が成り立つように思うのですが、いかがでしょう