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プロメテウス、ゼウスに背き、人間に火を与えた人類の祖。その罰とは

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ヤン・コシエール 『火を運ぶプロメテウス』

聖書で人間を作ったのは全知全能の神ですが、ギリシャ神話ではプロメテウスが人間を粘土から作ったという説があります

「プロメテウス」でイメージするのは、やはり、リドリースコット監督の映画。人間の起源であるという想定が印象に残ります。

その「プロメテウス」はギリシャ神話に登場する巨人族、人類最初の女性であるパンドラの誕生にも深く関わる男神。

今回はそのプロメテウスのご紹介です。

プロメテウスは人類の創造主あるいは救世主なのか、注目です。

 

 

プロメテウス、人類の祖、あるいは人類の救世主

ジャン=シモン・ベルテレミーとジャン=バティスト・モーゼース

プロメテウスはギリシャ神話、ティータン(巨人)族の一柱。父はウラノスとガイアの子イーアペトス。アトラスパンドラの夫となるイアペトス、エピメテウスの兄弟。

その名はギリシア語で"pro"(先に)と"mētheus"(考える者)がつながった、「先見の明を持つ者」を意味します。

名前が表すよう、優れた知恵者で、タイタン族とオリュンポスの神々の戦い「ティータノマキア」の際、未来を予見し、同胞の敵となって神々の勝利に貢献。

そのため、戦争の後も冥府タルタロスで拘束されることなく自由を保っていました。

 

ゼウスとプロメテウス、善か悪か、プロメテウスの行い

ピーテル・パウル・ルーベンス作 『縛られたプロメテウス』

プロメテウスは悲惨な状態の人間に同情し、人間に非情なゼウスに人間への配慮を取り成そうと試みますが取り合ってもらえません。

そこで、神が人間と神との犠牲獣の配分を決めようとしたとき、その役割を任せられるよう懇願します。

プロメテウスは牛の肉と内臓を食べられない皮で包んだものと、骨を脂肉で包んで美味しそうに見せたものを作り、神にそれを選ばせます。

ゼウスは後者を選び、欺かれた神は怒り、人間から火を取り上げてしまいます

この時から、犠牲獣の美味な部分は人間が食する定めとなりますが、人間は肉や内臓のように死ねばすぐに腐ってしまう運命を持つようなります。

 

ゼウスに火を取り上げられた人間は、自然界の猛威や寒さに怯え、夜は暗闇の中で野獣を恐れ、火を用いて食物を料理することも知らずにいます

それに同情したプロメテウスはヘーパイストスの作業場の炉の中にオオウイキョウという植物を入れて点火し、その火種を人類に与えます

そしてまた人間はプロメテウスから多くの技術や知識を与えられます。

けれど、火と知識を手に入れた人間は、ゼウスの予言通り、その火を使って武器を作り戦争を始めようになってしまいます。

 

プロメテウスが受けた罰とその結末

カール・ハインリッヒ・ブロッホ作 『ヘラクレスによって解放されたプロメテウス』

プロメテウスの欺きを怒ったゼウスは、権力の神クラトスと暴力の神ビアーに命じて、プロメテウスをコーカサスの山頂に鎖で縛り、生きながらでデュポンエキドナの子巨大な鷲エトンに肝臓を食べられるという残酷な刑を与えます

プロメテウスが不死であったために肝臓は毎夜再生を繰り返し、死ぬこともできず、永遠に近い歳月を苦しみ続けなければなりません

そしてそれは3万年の間続くことになります。

 

3万年の後プロメテウスはヘラクレスによって解放されます

ヘラクレスの毒矢に当たって死ねず苦しみ続けるケイローンが自らの不死を放棄し、それを得て自由の身となります。

後にプロメテウスはゼウスと和解し、「ゼウスがテティスと結婚すると父より優れた子が生まれ、ウラノスクロノスが王位を追われたように、ゼウスも我が子によって王位を奪われる」という予言をゼウスに与えているという説があります。

 

人間に課せられた火の代償とは

ゼウスは人間にも火を使うことの代償を与えます

それは人類最初の女性パンドラの誕生

ウスはへバイストスに命じ、粘土で人間界で最も美しい女性パンドラを作らせ、プロメテウスの弟エピメテウスの妻とします

このときパンドラは結婚の祝いの品として神々から壺(パンドラの箱)を与えられます。

それは世のすべての禍いが入った箱。

好奇心からパンドラはそれを開けると、たちまちすべての禍いは世に放たれてしまいます最後に「希望」を残して


 

「プロメテウス」 ホントに人類の創造主?

「ブレードランナー」や「グラディエーター」などの名作を数多く制作する名匠リドリー・スコット監督の「プロメテウス」。その暗く迫力の映像美に魅入られる、SFファンなら見逃せない作品のひとつです。ストーリーは「プロメテウス」が人間の創造主であるのかという謎を解き明かしてゆきます。

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プロメテウスの名は映画の題材になる以外にも、現実世界でも様々な国の空母や宇宙船などの名として広く使用されています。また人気漫画「ONEPIECE」では火の玉ホーミーズとして登場。居村眞二原作「ウルトラ超伝説」ではウルトラの戦士のひとりとして活躍しています。

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プロメテウス、そしてパンドラに続く罰

ハインリヒ・フリードリヒ・フューガー作 『火を盗んだプロメテウス』

聖書でもギリシャ神話でも、神にとって人間は決して神と同等の知識や人格を持てる存在ではないのだという認識がみて取れます。

けれど、戦争で権力闘争するのは神々も同じ。なのに人間だけがその罰として全ての禍い(わざわい)を背負わなければならないのは神様の身勝手なような気もします。

プロメテウスに思慮が足りなかったとは思えないのですが。。。

 

 



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