トゥアハ・デ・ダナーン(ダーナ神族)は、アーサー王物語以前、エリン(アイルランド)地方を支配した神々。
太陽神ルー、隻腕のヌアザ、神殺しのダグザ 、殺戮の女神モリガンなど、多くの神が存在したトゥアハ・デ・ダナーン(ダーナ神族)。
長い統治の末、戦いに敗れディーナ・シー(妖精)になったと伝えられるトゥアハ・デ・ダナーン(ダーナ神族)のご紹介です。
目次
トゥアハ・デ・ダナーン(ダーナ神族)、4種の神器と魔法を操る神々
「トゥアハ・デ・ダナーンTuatha De Danann」はエリン(アイルランド)に伝わる神々。
アイルランドで興亡を繰り返した 5つの種族、パーホロン、ネメズ、フィル・ボルグ、ダーナ、ミレーの4番目。「トゥアハ・デ・ダナーンTuatha De Danann」は「女神ダナーン(ダヌ)の種族」の意味、大地母神ダヌを祖神とします。
人間(ミレー族)の時代に入る直前の存在として、現在に伝わる神々です。
トゥアハ・デ・ダナーン(ダーナ神族)は「侵略の書(レボル・ガバーラ)」の詩にも登場します。
一説によれば、彼らはかつてアイルランドを支配したネメズの一族の末裔で、北方より上陸した(魔法が伝授される南の島から、または西から来たなどの説もあります)種族。
フォモール族(海の巨人族)に敗戦したネメズ族のうち、北へ逃れた人々。
ファリアス、フィンディアス、ゴリアス、ムリアスという4つの都市で身につけた魔法や4つの秘宝、そして優れた知識を習得し、トゥアハ・ディ・ダナーンとして再びアイルランドへ侵攻。
魔の雲に身を隠して飛来し、コノート州へ降り立ったと伝えられています。
その時アイルランド島を支配していたフィル・ボルグ族を征服し、さらにフォモール族を倒し、約200年の間アイルランド島を統治します。
けれど、最後の征服者となったミレー(マイリージァ)族との戦いに敗れ、一部は地下に逃れ、そこに美しい国をつくって、ディーナ・シー(妖精((シー、シーブラ))になった、また 「ティル・ナ・ノグ」(老いや苦しみのない若常の地)に暮らすことになったと伝えられています。
** 四至宝(四秘宝) **
- 「運命の石(リア・ファル)」ー ファリアスの真の王が現れると叫び声を上げてそれを告げる魔法の石。
- 「ルーの槍」 ー ゴリアスのそれを持つものに勝利をもたらす無敵の槍。
- 「ヌアザの剣」ー フィンディアスの恐るべき力を持ち、それが降りおろされると何人も逃れることができない剣。
- 「ダグザの大釜」 ー ムリアスの永久に食物が満たされた大釜。
トゥアハ・デ・ダナーン(ダーナ神族)の繁栄と衰退
当時アイルランドを支配していたフィル・ボルグ族はダーナ神族が優れた知恵や技術を持っていることを不安に思い、戦いを挑みます。
ダーナ神族はこの戦いでフォモール族と同盟を結びます。
フォモール族の長は「魔眼のバロール」。恐ろしい魔眼の持ち主です。ダーナ神族を率いるのは美しく、強く、民から愛される高潔なヌアダ王。それぞれに闇と光を象徴する種族。
長い戦いの末、「第一次マー・トゥーラの合戦」でフィル・ボルグを破りダーナ神族が勝利を収めます。
けれど、この戦いでヌアダ王は片腕を失います。そのために、ダーナ神族とフォモール族の血を引くブレスが王座に就くことになります。そして、ダーナ神族はブレスの悪政に苦しまされることになります。
そのため医者の息子ミアハの出現によって元の身体に戻ったヌアダはブレスを退位させ、再び王座に就きます。
王座を奪われたブレスはフォモールに助けを求め、ともに大軍を率いてダーナ親族に戦いを挑みます。
こうして、再びマー・トゥーラの戦いが起こります。
ダーナ神族は一旦はフォモール族の力に敗れますが、その時バロールの孫である光の神ルーが登場。ヌアダはルーに全権を授けます。
この戦いでヌアザはバロールに敗れますが、バロールは血縁であるルーによって倒され、ダーナ神族に勝利をもたらします。
その後ダーナ神族のアイルランド統治は約200年続きます。
200年の後ミレー族(人間)の侵略が始まります。ダーナ神族は敗北を期し、アイルランドの支配権を失います。ダーナ神族は常若の国ティル・ナ・ノーグや地下世界、異界、海の彼方へと移り住むようになります。
そして、ダーナの神々はアイルランドの人々の伝承の中で、いつしか妖精として語り継がれるようになってゆきます。
トゥアハ・ディ・ダナーンの神々
ダヌ
ダグダの娘で生命の女神。神々の母。
ダグザ
破壊と再生の棍棒、天候と感情・眠りを自在とする金の竪琴、食料が無限に出る釜を持つ、大地と豊穣の神、知恵の神、父なる全知全能の神とも言われています。
攻撃の速さから「長腕のルー」と呼ばれる光の神。魔術、医療など、豊富な知識を持つ。 ヌアザの後を継ぐ王
ダーナ神族の王、銀の義手と不敗の剣をもつ戦神。
海神。西海の彼方にある常若の国ティル・ナ・ノーグの王。 魔法の船、馬、剣アンサラーを持つ。
ダグダの娘。火、細工、家畜、実りの神
ブレグ(偽り)、メング(狡猾)、メイベル(醜さ)という3つの面も持つ
ダグダの息子、地下の神。魔法の牛と釜を持つ。
ダグダの息子、愛と若さと美の神。
死を司る、二本の槍を扱う戦神。 妹のヴァハ、パズヴとの三位一体とされることもある、ダグダの愛人、ヌアザの妻とも。 アーサー王の姉、魔女モルガン・ル・フェイのモデル。(ル・フェイは妖精の意味)
マッハ( ヴァハ)
「赤毛のヴァハ」。戦死者の首を食べるとも言われるモリガンの妹。
現代にも語り注がれているトゥアハ・デ・ダナーン(ダーナ神族)
ロボットアニメにファンタジー世界を融合させた作品『聖戦士ダンバイン』の世界観は、このダーナ神族をイメージしたものといわれています。作中の設定や固有名詞(オーラバトラー「ダーナ・オシー 」など)に、ダーナ神族の神話をモチーフにしたと思われる箇所が多く存在します。
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ダーナ神族の4至宝のひとつ、リア・ファル、「ブレイブソード×ブレイズソウル」で王の資質を見出す力が封じられている秘石として登場しています。
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トゥアハ・デ・ダナーン(ダーナ神族) まとめ
ダグザ やヌアザ、ルーなどの英雄たちが先祖(?)いて、至宝や魔法を有しながら、人間との戦いに負ける神々、情けないようにも思います。
っていうか、なんで負けたのか、不思議に思います。
ですよね。。。