パーシヴァルは円卓の騎士。
聖杯探求の旅に出て、聖杯を手に入れることのできた3人の中のひとりです。
一説には聖杯を手にした騎士。他説、聖杯とともに神に召されたガラハットを看取り、僧となって生涯を友と聖杯に添い遂げます。
ガラハットと並ぶ清廉潔白な騎士、パーシバルの人物像と苦難の末に辿り着いた聖杯の旅のご紹介です。
目次
パーシヴァル 聖杯探索を成し遂げる円卓の騎士
パーシバル( Percival )はガラハッド、ガウェイン(あるいはボールス)と共に、聖杯探求に成功した円卓の騎士のひとり。
『聖杯の物語』の物語の作者クレティアン・ド・トロワによって生みだされれた存在とされ、その名は(perce(貫く)+val(谷)「谷を駆け抜ける者」を意味します。
以降、言語・作品によってパースヴァル、ペルスヴァル、パルジファル、パルツィファル、パルツィヴァール、パルチヴァールなどに呼ばれ、多くの国で語り継がれた英雄です。
パーシバルの登場
パーシヴァルは1180年代にフランスの作家クレティアン・ド・トロワによって『聖杯の物語』の物語の中で『ペルシヴァル』として初めて登場。
トーマスマロニーの『アーサー王の死」でガラハッドに変わるまで、聖杯を手にした騎士として最も知られる英雄です。
パーシヴァルの出生
パーシヴァルの出生には諸説あり、一説ではパーシヴァルはアリマタヤのヨセフの血を受け継ぐ者。
アリマタヤのヨセフは十字架に架けられたイエスを埋葬し、イエスの血を受けた杯を聖杯として広く知らしめます。
その血をひくパーシヴァルは聖杯を見つけ出すことのできる運命の騎士であったのです。
『聖杯の物語』のパーシヴァルと聖杯
ある時パーシヴァルは「聖杯の行列」に遭遇。
けれどその時、パーシヴァルは「聖杯」とは何か、また、それは誰のために役立つのかという質問をすることなく見過ごしてしまいます。
その頃、「漁夫(いさなとり)王」は弟ゴオン・デゼールを殺した剣の破片で負傷。どのような治療も効果がありません。
パーシヴァルは漁夫王を助けるため、どのような傷も治すという聖杯を見つけ出すという使命を与えられ、数々の試練を乗り越え、「聖杯の城」で聖杯を発見。
仇討ちが成し遂げられなければ傷が癒えないであろうことを知ります。
パーシヴァルは犯人を成敗、王はめでたく快復します。
トーマスマロニー『アーサー王の死』のパーシヴァル
パーシヴァルの生い立ち
パーシヴァルはペリノア王の息子であることを意識されず、母によって田舎でひっそりと育てられました。
ペリノア王はアーサー王と開戦し、エクスカリバーを折った人物。ロット王の息子ガウェインに殺されます。
また、パーシヴァルの兄であるラモラックも父ペリノア王の仇を討つべく目的を果たせず亡くなっています。
パーシヴァルの母は騎士間の血生臭い争いを嫌い、息子を戦から遠ざけて育てました。
けれどパーシヴァルが15歳の頃、家の近くを騎士達が通ります。
パーシヴァルはその中にいたランスロットの存在感に強い憧れを抱きます。
息子の様子を察したパーシヴァルの母は、パーシヴァルが騎士になることを覚悟します。
そしてパーシヴァルは騎士になるべくアーサー王の元に向かいます。
円卓の騎士となるパーシヴァル
出典:deviantart
田舎育ちのパーシヴァルは身体能力も高く、様々な武勲もたて、素晴らしい騎士であると認められ騎士爵を授けられることになります。
その頃アーサー王とも親交の厚いカーボネックのペレス王は古傷に病み、国政も滞っていました。そして聖杯にはあらゆる病を治癒する効果があると伝えられています
アーサー王はペレス王と国を救うため聖杯探求を円卓の騎士に命じます。
聖杯探求の旅
聖杯探求の旅は困難を極めます。
パーシヴァルも旅に出立。
ある日、突然20人もの騎士に襲われることになります。
ひとりで20人では多勢に無勢、ついに死を覚悟した瞬間どこからか赤い十字の紋章の付いた白い楯を持つ騎士が現れ、危うく助けられます。
騎士は次々と敵を倒し、逃げる敵を追いかけ森の中に消えてしまいます。
その騎士は後に再会することになる聖杯を手にするガラハット卿でした。
悪魔の誘惑
敵の襲撃で馬を失ったパーシヴァルは途方にくれたままいつの間にか眠ってしまいました。
そしてふと気がつくと目の前に美しい女性が立っています。
「私が望む時私の望みを叶えてくださるなら馬を貸しましょう」と女性は申し出ます。
パーシヴァルが承諾すると女性はどこからか漆黒に輝く美しい馬を連れてきました
パーシヴァルが騎乗すると馬は勢いよく走り出し、そのまま大河の激流の中にまで入って行こうとします。
パーシヴァルは激流を見て、思わず十字を切ります。
すると馬は苦しそうにパーシヴァルを振り落とし、そのまま激流の中に消えてしまいました。
次の日の朝にもパーシヴァルは悪魔の誘惑を受けることになります。
パーシヴァルはいつの間にか海に近い荒地にいます。
そして海から美しい夫人を乗せた一隻の船がやってきます。
夫人は陸に上がるとパーシヴァルに力を貸してほしいと頼みます。 そしてパーシヴァルの武具を外し、誘惑しようとします。
その時、パーシヴァルの剣が鞘から地面に落ち、剣の柄のキリストの像がパーシヴァルの目に付き、パーシヴァルは思わず十字を切ります。
すると、婦人は恐ろしい叫び声をあげて船に乗り、逃げ去ってしまいました
聖杯発見! そしてその後
悪魔が去った後、気がつくとパーシヴァルは見知らぬ海岸に立っていました。
そして同じく聖杯を探す旅をしているボールス卿とギャラハッド卿と再会。3人は再会を喜びあい、船に乗って海を沖へと進むことにしました。
数日後、一行は大きな渦潮に遭遇、渦潮の近くに浮かんでいた船に乗り移ってみると船には銀の卓があり、その上に紅い布に包まれた聖杯が置かれています。
3人はついに聖杯を探し当てたのです。
そして船は3人を乗せ、サラス市へと運んでいきました。
サラス市では王が死に、その後にガラハットが王に就任。ボールス卿とパーシヴァルもサラス市に留まることになります。
けれどしばらくするとガラハットは自らの意志で聖杯とともに天に召されてゆきます。
パーシヴァルは僧となり、やがてパーシヴァルもまた天に召されてゆきます。
残されたボールス卿はパーシヴァルをガラハッド卿の墓のそばに葬ると、アーサー王の待つキャメロットへと旅立ちました。
パーシヴァル 現代でも騎士としてご多忙
ソーシャルRPG「グランブルーファンタジー」ではイベント『亡国の四騎士』で本格登場。 『ローエングリン』を手に入れると仲間できます。
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七つの大罪シリーズ『七つの大罪 黙示録の四騎士』では主人公。聖騎士黙示録の四騎士の一人、少年パーシバルと仲間たちの旅路を描く冒険譚。
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アーサー王の死 中世文学集1 (ちくま文庫) [ トマス・マロリー ]
パーシヴァル まとめ
マリニーの中での聖杯は「穢れのない者」でなければ見つけ出すことはできません。
最高の英傑ランスロット卿も騎士の鑑と称されたガヴェイン卿もその資格がなく、あえなく脱落。
つまり『純潔(童貞)』でなければ聖杯にはお目にかかれなかったのです。
そして、清いままに聖杯とともに神に召されたガラハッド、それを看取り自らも後を追ったパーシヴァルはまさにケルト神話の美談。
…….けど、やっぱ、美形男子が早死にするのはもったいない、です